欧州「移民受け入れ」で国が壊れた4ステップ

これから日本にも「同じこと」が起きる

そんななか、欧州諸国の移民問題の惨状を描き、話題を呼んだ1冊の本の邦訳が先頃出版された。イギリスのジャーナリストであるダグラス・マレー氏が著した『西洋の自死――移民・アイデンティティ・イスラム』(中野剛志解説、町田敦夫訳、東洋経済新報社)である。

欧州諸国は戦後、移民を大量に受け入れた。そのため、欧州各国の「国のかたち」が大きく変わり、「私たちの知る欧州という文明が自死の過程にある」と著者のマレー氏は警鐘を鳴らす。

昨年、イギリスで出版された原書は、350ページを超える大著であるにもかかわらず、ベストセラーとなった。その後、欧州諸国を中心に23カ国語に翻訳され、話題を巻き起している。イギリスアマゾンのサイトでみると、現在、レビューが750件以上もついており、平均値は4.8である。イギリス人に大きな支持を受けているのがわかる。

著者は本書の冒頭に次のように記す。「欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは、自死することを決意した」。「結果として、現在欧州に住む人々の大半がまだ生きている間に欧州は欧州でなくなり、欧州人は家(ホーム)と呼ぶべき世界で唯一の場所を失っているだろう」。

本書では、「英国をはじめとする欧州諸国がどのように外国人労働者や移民を受け入れ始め、そしてそこから抜け出せなくなったのか」「その結果、欧州の社会や文化がいかに変容しつつあるか」「マスコミや評論家、政治家などのインテリの世界では移民受け入れへの懸念の表明がどのようにして半ばタブー視されるように至ったか」「彼らが、どのような論法で、一般庶民から生じる大規模な移民政策への疑問や懸念を脇に逸らしてきたか」などが詳細に論じられおり、非常に興味深い。

入れ替えられる欧州の国民と文化

イギリスをはじめとする欧州各国では、大量移民の影響で民族構成が大きく変わりつつある。本書で挙げられている数値をいくつか紹介したい。各国のもともとの国民(典型的には白人のキリスト教徒)は、少数派に転落していっている。

2011年のイギリスの国勢調査によれば、ロンドンの住人のうち「白人のイギリス人」が占める割合は44.9%である。また、ロンドンの33地区のうち23地区で白人は少数派である〔ちなみに、この数値を発表したイギリスの国家統計局のスポークスマンは、これはロンドンの「ダイバーシティ」(多様性)の表れだと賞賛したそうである!〕。

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  • NO NAME01e2ad030def
    諦めたら負け。

    移民法は成立したが運用など全く決まってはいない。

    まぁいい加減なもんだ。

    安倍国難自民党を倒せばまだ取り返しがきくだろ。

    ボ~ッとしてる場合かよ。
    愚民諸君。

    少しは怒ったら?


    up187
    down62
    2018/12/30 15:50
  • NO NAME01e2ad030def
    モノマネ大好き日本も同じ道を辿ることになる。

    安倍を支持した罰だよ。

    愚民国家日本、哀れ。

    (爆)
    up199
    down95
    2018/12/30 12:50
  • NO NAMEb0dcf4be01f1
    欧州は、もう一度、レコンキスタをやることになるでしょう。
    世界に文明が誕生して以来、民族の不幸の原因は、すべて、他民族による大規模移動によるものです。
    平和を希求するのであれば、民族の移動を許してはなりません。

    そもそも、多文化共生は、地球規模で見れば達成されています。
    それを、わざわざ狭い日本でやろうとするのは、文化破壊に他なりません。

    アメリカですら、部族化が起こっています。
    同じ文化風習を持つ集団が、地域を分けて住むというのは、人類の知恵なのです。

    日本に移民は要りません。
    up123
    down38
    2018/12/30 15:52
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