七人の侍が集う移民政策研究所がゆく
老い先の短い人間が少年のような大きな夢を描いてはいけないという法はないだろう。大志をいだくのは青年の特権というわけでもあるまい。44年間、移民政策のことばかり考えてきた老人にしか書けないユートピア物語もある。日本と世界の若者に夢と希望を与える移民国家ビジョンである。
私は60を超えてから日本の危機を救うため移民国家百年の計を立てた。人口危機を日本飛躍の好機ととらえ、移民立国をして日本民族と世界の諸民族が一つになる人類共同体論を積極的に唱えている。それは和の心が豊かな日本的思考から生まれた移民革命思想である。それはまた、アメリカ第一主義を唱えるトランプ政権の暴挙で自由の女神の精神が大きく揺らぐ米国に猛省を促すものである。人類の夢である世界共同体構想の前途は遼遠であるが、少なくとも理想を現実にするための方向性を示すところまではきたと思う。
一般社団法人移民政策研究所は、賢人雅士が天下国家のことを清談し、移民国家の理想を追い求める頭脳集団である。移民政策研究所の7人の理事のうち5人が70代である。いずれも円熟した人柄のボランティア活動家である。
日本の精神風土の下では「移民革命は成らず」と一般に受け止められているせいか、この10年ほど私に近づいてくる人はめったにいない。今のせちがらい日本においてこの7人の侍は希少価値があるのではないか。本来、革命は年寄りには向かない荒っぽい仕事であるが、老練の革命家が隠居仕事として新しい国づくりに挑むのもいいじゃないか。
老人には経験智と大局的に物事を見る目がある。世界の未来を空想するのが楽しみの老輩たちは心身ともに元気で天寿をまっとうできるのではないか。