暑いとテストの点数が下がる?新たに分かった気温と成績の関係

(写真:アフロ)

学問に忍耐はつきものですが、こと気温に関しては、暑すぎない快適な温度のもとで勉強したほうが成績が良くなるという研究結果がでています。

暑いと成績が悪くなる?

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のパク助教授らが、13年間にわたり、1,000万人に及ぶ米国人学生のPSAT(アメリカ版の大学入試センター試験の模擬テスト)の点数を調べたところ、気温が高い年は成績が低くなる傾向が見られました。

研究によると、年間平均気温が0.55℃(華氏1度)上昇すると、生徒のテストの点数が1%下がったといいます。成績の低下は気温が24℃を超えると現れるようになり、気温が上がるごとに、顕著になっていきました。

こうした高温がもたらすテストへの悪影響は、学校や自宅でのエアコンの普及率が低い低所得者層やマイノリティの生徒に大きく見られたということです。

気温と数学の成績の関係

この他に、気温と数学の成績に関する興味深い研究があります。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のジビン教授らが、8,000人の数学の試験の点数と、試験を受けた部屋の気温との関係を調べました。その結果、気温が21℃を超えると学生の数学の点数が低下し、26℃以上になるとより顕著に下がることが分かりました。また軍事研究からも、気温が高いときは低いときに比べて、複雑な課題に取り組んだ兵士にミスが出やすいという結果が出ています。

気候とIQの関係

では暑いところに住む人と、そうでない場所に住む人とに、学力の差があるのでしょうか。

セントラル・ミシガン大学の心理学者ライアン教授は、年平均気温と学生のIQには反比例の関係があると言っています。つまり、年平均気温が低いと、学生のIQが高い傾向があるというのです。

同じようにカリフォルニア心理学専門大学院のテンプラー氏が、120か国以上の気候と国民のIQを調査したところ、気温が低い国の国民は気温が高い国に比べ、IQが高いという傾向が見られたそうです。

これらの結果には議論の余地もあるものの、筆者自身も暑いとやる気も根気もなくすことから、少なくとも暑さは勉強時間や集中度に影響をもたらすことがいえると思います。

勉学に必要なもの

苦学の末、黄熱病研究など偉業を成し遂げた野口英世は言いました。「誰よりも3倍、4倍、5倍勉強する者、それが天才だ」と。たしかに努力は勉学に最も大事な要素ですが、暑すぎない環境を作ることもまた、成績アップの鍵となるのかもしれません。