日本相撲協会は27日、大阪市内で臨時理事会を開き、大相撲春場所で10勝を挙げた関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=の大関昇進を承認した。
大阪市内のホテルでの伝達式で貴景勝は「大関の名に恥じぬよう、武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず、相撲道に精進して参ります」と口上を述べた。
口上について26日に貴景勝は、過去に大関昇進した力士たちの伝達式の映像も参考のために見たことを明かしていた。「勉強というか、興味があって見ました。琴奨菊関の『万里一空』はどういう意味か調べて、いい言葉だなと」。「(緊張するかは)その場所になってみないと分からないけど、ありがたい事でもある。しっかりと自分の思いというものを言いたい」と話した。
貴景勝は、春場所の千秋楽で勝てば昇進、負ければ見送りの大一番で、カド番大関・栃ノ心(31)=春日野=を押し出して10勝目を挙げた。昇進目安の、三役で直近3場所合計33勝を上回る34勝に到達。身長175センチは、平成に誕生した大関の中で初の170センチ台。平成最後の本場所で、個性派の日本人大関が誕生した。また、新しい元号で初めての場所となる夏場所で新大関として臨むことになる。
◆大関に昇進すると
▽月給 250万円で三役から70万円アップする。横綱は300万円。
▽降下 2場所連続の負け越しで関脇に陥落。落ちた場所で10勝以上すれば大関に復帰。
▽待遇 年3回の東京場所は自家用車で両国国技館の地下駐車場まで入れる。移動時も飛行機はファーストクラスで新幹線はグリーン車。
▽化粧まわし 房に位の高さを表す紫色の使用が可能。
▽横綱昇進には 2場所連続優勝か、それに準じる成績が必要。鶴竜、稀勢の里(現・荒磯親方)と直近の2横綱は、昇進直前場所の初Vで上がった。
◆貴景勝 光信(たかけいしょう みつのぶ)
▼生まれ 1996年8月5日、兵庫・芦屋市。22歳
▼本名 佐藤貴信。名前は元横綱・貴乃花と戦国武将の織田信長から1字ずつ取られた
▼出身校 兵庫の名門・仁川学院小、報徳学園中を経て埼玉栄高へ
▼所属 千賀ノ浦部屋。初土俵は旧貴乃花部屋で2014年秋場所
▼しこ名 戦国武将の上杉謙信の家督を継いだ上杉景勝が由来
▼スーパー中学生 中学時代は強すぎて稽古相手がおらず、宇良のいた関学大に出稽古していた
▼ライバル 幕内・阿武咲(阿武松)。中3だった11年、全国中学校相撲選手権決勝で対戦。貴景勝が勝利して中学横綱に
▼好物 1日10個のゆで卵を食べる。「安価にたんぱく質を摂取できる。筋力を落とさないために食べると落ち着く」
▼趣味 昼寝
▼得意技 突き、押し