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余弦定理

直角でない場合の三平方の定理


三角関数の応用は、この分野の中ではほとんどできないんですが、この余弦定理はその数少ない重要な「応用」です。

右に直角三角形が描いてあります。

三平方の定理から、

2 = x2 + y2

が成り立ちます。

ですから、xyzの二つが分かっていれば、最後の一辺は、計算で出せますね。

でも、直角三角形でなければ、こうはいきません。

2 = a2 + b2

とは言えません。直角ではないので、誤差が出ます。

後で説明しますが、その誤差が「-2・a・b・cosθ」になるんですね。

ですから、直角三角形以外では、三平方の定理は、

2 = a2 + b2 -2・a・b・cosθ

という形になるんです。

この式を余弦定理と言います。

ところで、たまたまθが90度の場合を考えてみましょう。

cos90 = 0

ですから、

2 = a2 + b2

になるでしょ?

そうです。中学校で習った「三平方の定理」というのは、「余弦定理」の特別な場合(θ=90の場合)だったんですね。

これは、証明もやっておきましょう。

その途中過程の計算方法が、結構応用出来るので、ぜひ理解して下さい。


[証明]

左の三角形を見てください。

頂点Aから、辺BCに垂線を下してみましょう。

で、左のように、各、辺の長さを、d,e,fと置きましょう。

当然、

1) a = f + e

緑色と水色の三角形は、どちらも直角三角形です。

緑の三角形について、考えてみると、三平方の定理から、

2) c2 = d2 + f2

さらに、緑の三角形に関して、三平方の定理、

3) b2 = d2 + e2

と、cosの定義、

4) cosθ = (e/b)

さらにこれの分母を払って、

4') e = b・cosθ

ができますね。

まず、4')を使ってeを消去しますと、

1') a = f + b・cosθ

3') b2 = d2 + (b・cosθ)2

で、この3')を2)へ代入してdを消去しますと、

2') c2 = (b2-(b・cosθ)2) + f2

さらに、1')を代入して、fを消しましょう。

2'') c2 = (b2-(b・cosθ)2) + (a-b・cosθ)2

2 = (b2-(b・cosθ)2) + a2+(b・cosθ)2 -2・a・b・cosθ

= a2 + b2 -2・a・b・cosθ

証明終了。


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[ベクトル履修済みの人への補足]

ところで、数学Bを既に学んだ人は気が付きませんか? この形。

2 = a2 + b2 -2・a・b・cosθ

何かに似ていませんか?

cosθ

・・・・

そうです!

この余弦定理ってのは、実は内積と同じ事なんです。

というよりは、内積が余弦定理と同じと言うべきかな?

では右の絵を見てください。

 =  - 

ですね?

これを二乗して下さい。

2 = 2 + 2 -2cosθ

ですね?

これからベクトル記号をはずすと、

2 = a2 + b2 -2・a・b・cosθ

ね、余弦定理が出ますね?


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