菊池麻衣子さん
連続テレビ小説『ふたりっ子』に主演!
菊池麻衣子さんが当時の心境やNHK出演作品での思い出を語る
1996年~1997年放送
優等生で美人の姉・麗子と、落ちこぼれだが将棋の才能抜群の妹・香子。通天閣を仰ぎ見る大阪・天下茶屋に生まれた対照的な双子の波乱万丈の人生を描く。
作:大石静音楽:梅林茂、NOKKO語り:上田早苗
ふたりっ子の
誕生
エピソード01
大阪・天下茶屋(てんがちゃや)で野田豆腐店を営む野田光一と千有希(ちあき)夫婦に双子の姉妹が生まれる。
二人の子どもは「麗しく香る」という意味で、麗子と香子(きょうこ)と名付けられる。
妹の香子は破天荒でやんちゃな性格。学校の問題児で教師や両親から度々怒鳴られる。一方、姉の麗子は香子とは対照的にまじめな性格で頑張り屋。
通天閣の地下にある将棋センターの常連客で、賭け将棋を生業としている真剣師「銀じい」と出会った香子は、将棋にのめり込んでいく。
「学校も嫌い、先生も嫌い。
この町も嫌いや!私は芦屋がええ。」
―麗子
庶民的な生活に嫌気がさしている麗子は、母の実家である芦屋の暮らしに憧れていた。
「いろんなもん
捨てさせてしもうたけどな。」
―光一
「ええねん。
生まれてきて良かったって
心から感じることができたもん。」
―千有希
娘たちの授業参観に来た父・光一は、調子に乗って豆腐への情熱を熱く語り出してしまう。
学校の帰り、みんなの前で恥をかいた麗子は「お父ちゃんも香ちゃんもいない、よその家の子になりたい」と怒り出す。
入れ替わる双子
エピソード02
何をやっても優秀な麗子。それゆえに両親からは香子ほどかまってもらえず、一人で悩んでいた。
麗子が香子に成りすましていると知らない男子生徒から、麗子のことが嫌いだと告白される麗子。
香子に嫉妬した麗子は、香子の給食にチョークを入れる。チョークは男子生徒の嫌がらせだと思った香子は、男子生徒の頭にシチューをかけてしまう。
シチューをかけた香子を怒鳴りつける母・千有希。香子に「あんたなんて生まれてこなければよかったんや!」と言い放つ。
母に叱られ悲しむ香子は家を飛び出す。
「双子はのう、
どっかの国では“神の子”とか
“天使の子”いうて呼ばれとるそうやぞ。」
―銀じい
銀じいから連絡を受け、翌朝香子を迎えに行く野田一家。母・千有希は、香子を抱きしめ謝る。
麗子、香子
それぞれの進路
エピソード03
香子が銀じいと旅に出てから半年。5年生になった香子は、新世界将棋センターの常連になっていた。
「私あの町が嫌い、豆腐屋も嫌い。
ほんまはこういう家に住んで
きれいな服着てピアノ弾いて暮らしたいねん。
私はお母ちゃんみたいにはならへん。
あんな町いつか必ず出る。」
―麗子
17歳になった双子。麗子は関西でも名高い進学校に通っているのに対し、香子は区域で最もレベルの低い高校に通っている。
麗子は京都大学を目指し、香子は高校を中退しようか悩んでいた。
「世界中の誰よりも麗ちゃんを応援してる。
一生味方でおるからな。」
―マサ
京都大学入試の日。麗子に恋するバーバー黒岩の息子・マサが、麗子の応援に駆けつける。
「20年のツケは
20年かかって償ってもらいます。」
―理佐子
一方芦屋では、千有希の父・英之の亭主関白ぶりに耐えていた千有希の母・理佐子の怒りが爆発。
家庭内暴力を振るってしまう・・・。
強敵、奨励会3段の森山史郎と対局することになった香子。苦戦の末、香子は負けてしまう。
森山との敗戦がきっかけとなり、香子はプロの棋士になる決意をする。
麗子の恋
エピソード04
麗子は京大に合格したその日の夜こっそりと家を出ていった。そして芦屋の祖父母の元から大学に通うことになる。
香子は無事奨励会に入会、プロ棋士への道をスタートさせる。米原名人に弟子入りし、兄弟子の森山と再会する。
大学で財閥の御曹司の海東壮平と出会い、交際することになる麗子。
麗子が家を出て行ってから、父・光一は酒浸りの毎日だった。
祖母・理佐子の家庭内暴力を知った麗子は、母・千有希に助けを求める。これがきっかけで皮肉にも20年ぶりに千有希は芦屋の実家に戻ることになる。
麗子はバーバー黒岩の息子・マサに、フィアンセがいることを告白する。子どもの頃からずっと麗子一筋だったマサは泣き叫ぶ。
レストランに来ていた香子と森山、麗子と海東が鉢合わせする。自分が豆腐屋の娘だということを海東に隠している麗子は、香子とは他人のふりをする。
レストランを飛び出した麗子は、海東に嘘をついていたことを告白し謝る。その日から海東と連絡が途絶えてしまう。
野田豆腐店を訪れる海東。父・光一は頭を下げて、麗子のことを見捨てないでほしいと懇願する。
香子の結婚
エピソード05
海東にフラれた寂しさを紛らわすように、森山を誘う麗子。
オーロラ輝子に執拗な憧れを抱く光一は、輝子と駆け落ちする。輝子の付き人となる光一。
「君は嫌い嫌いって言いながら
本当はお父さんを求めていたんじゃないの。
お父さんが好きだったんだよきっと。」
―森山
父・光一が蒸発したのは自分のせいではないかと悩む麗子。
気落ちしている麗子の相談にのる森山。
四段に昇段した森山は師匠の米原名人に、香子と結婚前提に付き合うことを認めてもらいたいとお願いする。
香子からプロポーズ話を聞きショックを受けた麗子は、森山を訪ね「好きなんやもん!」と告白する。森山に突き飛ばされた麗子を助けたマサは、森山に殴りかかる。
「信じろよ俺を、自分を信じろよ。
できるよ、一緒に暮らそう。
一緒に将棋のことを考えて一緒に強くなろう。」
―森山
「やってみたら香ちゃん、
あかんかったら出直したらええんやから。
お母ちゃんも応援するから。」
―千有希
森山との結婚に踏み切れない香子の後押しをする、母・千有希。
女性プロ棋士の誕生
エピソード06
二十歳で結婚した香子は24歳。奨励会の三段になり、三段リーグをトップの成績でばく進中だった。
京大を卒業した麗子は、野田豆腐店と隣の家を取り壊して3階建てのビルを建設。新しい豆腐ビジネスを始めた。
新ビジネスとして豆腐化粧品を開発しようとしている麗子。しかし家族は事業拡大に反対だった。
新ビジネスの融資を頼みに行った銀行で、海東と偶然の再会を果たす麗子。海東は海東グループの常務になっていた。
雨宮秋彦は四段昇段をかけて香子と戦う相手。雨宮側に付いている銀じいは香子に、「お前は必ず負ける」と宣言する。
勝負に勝った香子。1991年3月18日午後5時3分、史上初の女性プロ棋士が誕生した。
帰ってきた光一
エピソード07
光一が大阪に帰ってくる。光一は失踪後、「光野田一」という偽名を使っていた。
「それが私の愛し方なんです、わかって下さい。
これしか生きる道はなかったんです。
ありがとう皆さま、ありがとうあなた・・・。」
―輝子
「ええ加減にしてよ
お父ちゃん!」
―千有希
野田豆腐店に戻ってきた光一に、豆腐作りの力を貸してほしいと懇願する千有希。
しかし煮え切らない光一に千有希は一喝する。
麗子、香子の
人生の転機
エピソード08
妊娠したことを森山に報告する香子。
海東とビジネスの話をする麗子は、2人きりの時間を喜んでいた。
一時期順調だった麗子の豆腐化粧品は、バブル崩壊で経営悪化となってしまう。麗子は芦屋の実家を担保に借金をもくろむが、父・光一に止められる。
自分には麗子を助けられないと思ったマサは、麗子と結婚してやってくれと海東に頭を下げる。
将棋の対局場で腹の激痛で倒れる香子。香子は妊娠中毒症と診断され、母子共に危険な状態だった・・・。
香子を心配しながらもタイトル戦に勝利した森山。試合を終え病院に駆けつけた森山に、香子は涙ながらに流産したことを告げる。
「私の目標は森山さんを倒すことや。
森山さんは私の夫やない、私の敵なんや。
別れて下さい・・・離婚して下さい。」
―香子
一度は離婚を決めたマサだったが、土壇場で麗子と別れることを拒否する。嫁の責任は亭主が取ると、海東に宣言する。
棋士の道に専念したいという香子の思いを受け入れ、離婚に同意する森山。元夫婦として敵同士として良い関係でいようと誓い合う。
家族に頭を下げる麗子とマサ。結局、芦屋の実家を担保に入れさせてもらい、夫婦二人で借金を返していくことを誓う。
それから1年後、マサと麗子に双子の女の子が生まれる。二人の子どもは、真実と玲実と名付けられる。
オーロラ輝子の幕引き
エピソード09
2001年、マサと麗子の間に生まれた双子は小学3年生、8歳になっていた。
そして人手に渡ったビルの1階部分だけを借りて、2年前、光一と千有希は念願の手作り豆腐の店「野田豆腐店」を再開していた。
玲美のように両親にかまってもらいたい真実が、わざとテストで0点を取ってきた。真実は優等生で、麗子の子どもの頃と同じ悩みを抱えている。
「子どもも大人も同じなんやな。
生きてることの苦しさは。」
―輝子
再び大阪に姿を現したオーロラ輝子と遭遇する真実。
輝子は一度は紅白にまで出たが、今は落ちぶれて酒に溺れていた。
真実は輝子に同じ寂しさを感じる。
路上に倒れていたオーロラ輝子が銀じいに拾われる。
輝子は肝臓がんの末期で余命3ヶ月であることを打ち明ける。
「施設の子やってん、私。
よう似てんな、私ら。」
―輝子
「わしは女郎の子や。」
―銀じい
輝子に会いにやってきた光一だが、銀じいに殴られ追い返されてしまう。
翌朝、輝子の容態が悪化。苦しむ輝子は、もう一度だけ「夫婦みち」を歌いたいと乞い願う。
最後の力を振り絞り通天閣のステージに立つ輝子。しかし光一の姿はなかった。熱唱した輝子はその場で倒れてしまう。
輝子の意識があるうちに会ってほしいと、光一に頭を下げる銀じい。しかし光一は、ただ死んでいくのを見守るだけなんて辛いから会いたくないと断る。
ふたりっ子の
21世紀
エピソード10
妹の玲美のように母・麗子に思い切って甘えてみる真実。しかし麗子は真実を玲美と間違えてしまう。ショックを受けた真実はその場を走り去る。
昔と違い、惨めな暮らしをする麗子は「私のお母さんと違う!」と反抗する真実に夢を捨て家族を築けたことは幸せだと伝える麗子。それでも嫌なら真実の母親を辞めると言い捨てて、麗子は家を飛び出す。
家を飛び出した麗子を探す香子や娘たち。
飛竜戦挑戦者決定戦で、「飛翔」のタイトル保持者・織田信雄に勝利した香子。香子はついに森山の持つタイトル「飛竜」に挑戦する権利を得る。
2人でタイトル戦を戦う目標に手が届いた香子と森山。森山は香子に、もう一度一緒に暮らすことを考えてほしいとプロポーズする。
森山と香子の飛竜戦は双方3勝3敗で、最終局にまでもつれ込んだ。対局2日目の早朝、香子は森山との思い出の地・鎧(よろい)を訪れる。
対局中、夫婦で名人戦を戦い2人で強くなろうと、香子に話しかける森山。香子の心は揺れ動く・・・。
己を信じ、森山に勝った香子。史上初の女性棋士のタイトル獲得となる。
香子の森山へのを未練を感じとった麗子は、迷わずもう一度やり直せばいいと、香子の背中を押す。
連続テレビ小説『ふたりっ子』に主演!
菊池麻衣子さんが当時の心境やNHK出演作品での思い出を語る
20年前、大学3年生のときに初めて受けたオーディションで合格して、4年生のときに撮影をしていました。多分落ちるし、普通に就職活動をしようと思っていたので、受かったことにとても驚きました。撮影は何もかもが初めてだったのですべてが大変でしたが、当時は若かったからできたんでしょうね(笑)。その中でも一番大変だったことは大阪弁です。10ヶ月間、大阪に住んでいて毎日大阪弁で話すようにしていました。親元を離れて大阪に移り、環境自体がガラッと変わったことで、逆に麗子という役柄にうまく切り変えることができたのかもしれません。長いスパンをかけて演じさせていただいたので、その空間で麗子が自然と育っていく感じでした。
麗子はすごく上昇志向の強い女性でした。よくスタッフさんからは香子と麗子の役が岩崎ひろみちゃんと私で逆だったと言われていました(笑)。私はどちらかというと、思ったことをストレートに言ってしまうタイプなので、香子に近かったんです。麗子は二面性があり、言っているセリフと思っていることが違うことがあり、それが演技に慣れていない私としてはすごく難しかった。はがゆい思いもしましたし、NGもたくさんだしました。それに比べてひろみちゃんは子役から芝居をしてきた方なので、「麗子を演じたい」と思っていたようです(笑)。でもお互い役が決まっていますから、「頑張ろうね」と言い合っていました。
事業を起こす姉・麗子
プロ棋士を目指す妹・香子
麗子と結婚するマサはちょっとおバカキャラなのですが、しっかりした部分もあって、麗子の本質を見て好きになっていく設定です。マサ役の伊原剛志さんが「麗子の演技がしっかりしていないと俺が本当にバカに見える。だからしっかりやってくれ。頼む」と言っていたことを覚えています(笑)。そんなことを言ってもらえるくらい仲がよかったんです。ものすごくほかのキャストどうしも仲が良くて、串揚げ屋さんに連れていってもらったりしました。お母さん役の手塚理美さんは、本当のお母さんのように面倒を見てくださいました。お父さん役の段田安則さんはひろみちゃん担当、手塚さんが私担当と、夫婦の間で決めていたらしいのですが、あまりにも私が芝居ができなくて悩んでいると、手塚さんはご自身が泊まるホテルに呼んでくださって色々と教えてくださったり、段田さんは演技に関してのお手紙をくださったりしました。
マサ(黒岩政夫)役の伊原剛志さん
母・千有希役の手塚理美さんと父・光一役の段田安則さん
『ふたりっ子』は私の原点です。大石静さんの台本が本当に面白くて、次の本がくるのが楽しみでした。世間では、香子と麗子は天使と悪魔とよく言われていましたが、大石さんは「二人でひとつの人間、ひとりの人間の中には二面性があるから、それを分けて書いた」とおっしゃっていたと思います。たしかに妹の彼氏の家に行って思わせぶりな態度をとるようなちょっと悪いヒロインはめずらしいですよね(笑)。ここまで心の弱い部分、悪い部分を出すヒロインというのは“朝ドラ”ではそれまでなかったと思います。
麗子は香子の恋人・森山(内野聖陽さん)の部屋を訪ね…
そんな麗子も大人になってからはすごくいいお母さんになるんです。子どもの頃の香子と麗子を演じているのは三倉佳奈ちゃんと茉奈ちゃんでしたが、麗子の娘役もふたりが演じていました。当時の私は「早くしなさい」「時間よ」と、子どもに言う台詞の言い方や怒り方がわからなくて苦労しました。母親としての経験値がないので、子どもがふたりいるお母さんのリアリティがどうしても生まれてこなかったんです。今は私も本当の母親になったので、何も考えずに当時のセリフが言えるんでしょうね(笑)。
家康・秀忠・家光という徳川の礎を築いた彼らの生き方を描いた作品。家康役を津川雅彦さん、秀忠役を西田敏行さん、家光役を尾上辰之助さんが演じ、親子3代の演技のぶつかりあいや、脚本家のジェームズ三木さんによる侍ことばや公家ことばを多様したせりふ回しも話題を呼んだ。菊池麻衣子さんは、家康の側室・お六を演じた。
津川さんには本当にお世話になりました。クリスマスのときにお家に呼んでいただいたり、映画を見に行ったりしました(笑)。津川さんのお嬢さんと年齢が近かったので、一緒にお食事させていただいたりと、かわいがっていただきました。私の演じた役が家康さまとすごく歳の離れた若い側室だったので、子どものように、孫のように見ていてくださったのだと思います。きっとそうやって接してくださる中で、自分の中でお六という役柄を掴んで生かしなさい、という教えがあったのでしょうね。
お六は馬に乗らなくてはいけなかったのですが、私は馬に乗ることが初めてでしたので、稽古に何度か行かせていただきました。帰りの車に乗れないくらいお尻が真っ赤になって痛くて、お尻をずらしながら運転して帰った覚えがあります。でもそれも今思えばいい経験でした(笑)。
津川雅彦さん演じる家康の晩年に寄り添ったお六
こってり大阪風味の双子物語
文/ペリー荻野
大阪・天下茶屋の豆腐店に生まれた麗子(菊池麻衣子)と香子(岩崎ひろみ)は、まったく性格が違う双子の姉妹。秀才の麗子は京都大学からビジネスの道へ、おてんばな香子は将棋のプロを目指す。やがて双子はそれぞれ恋しい相手とすったもんだの末にゴールイン。ところが、麗子のビジネスは破綻、初の女性プロ棋士となった香子はプロ棋士の夫(内野聖陽)に「私の夫やない。私の敵なんや、別れてください」と言い放つ!
毎度なんでこうなるの?と思う出来事の連続で、悲しいはずなのに笑っちゃう。こってり大阪風味の空気を大石静の脚本と“マナカナ”こと子役の三倉茉奈・佳奈、河島英五、宮川大助・花子、桂枝雀ら関西人キャストがイキイキと表現する。そんな中、抜群の存在感を見せたのが銀じい(中村嘉葎雄)。賭け将棋に生きる銀じいは将棋センターについていこうとする小学生の香子に「こどもが来るとこやない。ここは通天閣の地獄」と。着物姿の銀じいはまるで昭和の任侠映画の人物。人情ドラマを勝負の厳しさが引き締める。予想不能の面白さに満ちた異色のドラマだ。
大阪・通天閣に近い天下茶屋の商店街に生まれた双子の姉妹。優等生と落ちこぼれ、性格も目指すものも違う対照的なふたりの幸せ探しと波乱万丈の人生を描いた。
対照的な性格のヒロイン2人、二卵性双生児の麗子と香子のWヒロインで描いた『ふたりっ子』。少女時代を演じた三倉茉奈さんと佳奈さんの双子の姉妹“マナカナ”は、そのかわいさで一躍人気者となり、後半には麗子の子どもとして再登場している。
そして、18歳から30代半ばまで約20年間を変化をつけながら演じたのが麗子役の菊池麻衣子さん、香子役の岩崎ひろみさんだ。夢と現実、挫折と成功、二転三転する恋物語など一筋縄ではいかない成長物語が繰り広げられたが、その中で双子の姉妹2人が同時に挙式するという結婚式シーンは見応えがあった。麗子はウェディングドレス、香子は佐賀錦の色打ち掛け姿で華やかさを競い合った。
クランクイン当時、菊池さんは「ちょっと麗子ってスカーレット・オハラのようですよね。カッコいい“悪(ワル)”で一見わがままっぽいけど、誰もが心の中に持っている人間くささを感じる麗子はやればやるほど、読めば読むほど好きになっています」。岩崎ひろみさんも「香子のような生き方というのが、かんたんなようですごく難しい。一直線に人の目を気にせず自分が思ったとおりに動けることはすごいなぁと思うし、見習うべき事がたくさん。そんな人物を半年間、演じられるのは嬉しいですね」と、それぞれ役への思いを語っていた。その波乱万丈な人生、スピーディーな展開を見事に演じきった2人、終わってみれば平均視聴率29%という大人気ドラマとなっていた。
少女時代の香子(三倉佳奈さん)
麗子(三倉茉奈さん)
香子(岩崎ひろみさん)
麗子(菊池麻衣子さん)
双子揃って結婚式のシーン
対照的な姉妹の幸せ探しとともに、注目を集めたのが通天閣の歌姫・オーロラ輝子だ。劇中で輝子が歌った『夫婦みち』はすさまじい反響を呼び、1997年の「紅白歌合戦」にはオーロラ輝子として出場まで果たしている。当時、こうした反響にもっとも驚いていたのが輝子役の河合美智子さんだった。役が決まってから輝子のモデルとなる本物の通天閣の歌姫・叶麗子さんのショーを見たとき「ステージの迫力はもちろんのこと、叶さんが歌う姿を見つめるお客さんの目がみんなハートで、え、私にはこんな引き付ける力はないです」と、大変なプレッシャーを感じたそうだ。「とてもいい曲なので、こぶしのまわせない私より、本当はもっとうまい人に歌ってもらえればよかったのですが…」と恐縮しきりだったが、河合さんの熱演がオーロラ輝子人気に火を付けたことは間違いない。劇中歌『夫婦みち』と輝子の新曲として発表された『まごころの橋』の2曲が入ったCDは85万枚を超えるヒットとなるなど、勢いはとどまるところを知らなかった。ちなみにモデルとなった叶麗子さんは、“ダイナマイト玲子”という歌手役でドラマに出演、自身の持ち歌『通天閣情話』を披露した。
オーロラ輝子役が大反響 河合美智子さん
本物の“通天閣の歌姫”叶麗子さん
プロ棋士となる夢をかなえていく香子。ドラマには将棋界の重鎮・内藤國雄九段、谷川浩司竜王(当時)など、数多くのプロ棋士が出演して話題になったが、終盤には羽生善治名人(当時)が登場。最終回を含む2話に登場して香子と対局するというシーンが描かれた。この撮影が行われたのは羽生名人の「王将戦」の真っ只中だったが、「盤の前に座るのはいつもと同じですが、女性と対局することはないので厳しい顔をするのが難しいですね」と終始ニコニコ顔で、ドラマ初出演とは思えない落ち着きぶりを見せていた。むしろ、撮影に慣れているはずの岩崎ひろみさんのほうが緊張してしまったそうだ。
球界きっての将棋通として知られるヤクルトスワローズの古田敦也さんが棋士役で登場したことも話題になった。こちらは「ドラマは初めて、久々に緊張した」とのことだったが、なんとNGなしの一発OK。これには岩崎さんも「とても野球選手とは思えません。本物の棋士のようでした」と感心。もっとも古田さんの将棋の腕前はプロ級で、日本将棋連盟から「名誉初段」の称号までもらったほど。羽生名人と飛車角落ちで対戦した際にも勝利を収めているのだ。ヤクルトのチーム内で行われる将棋大会でも「名人位」と「王将位」の二冠王。棋士ぶりが板に付いていたのも納得だ。
古田敦也さん 実は将棋もプロ級の腕前…
香子が羽生善治名人(当時)と対局するラストシーン
羽生名人、古田選手などが登場したのは物語の終盤。時は近未来の2001年、香子は上位8人に入るA級八段、森山史郎(内野聖陽)は飛竜戦を三期防衛して九段になっている。2人が活躍する将棋界は7つのタイトルを7人の棋士が分散する“群雄割拠の戦国時代”という設定。そこで、ツワモノ揃いの棋士たちの中には戦国武将を模した役名も登場した。古田敦也さんは毛利元就ならぬ棋将・毛利元彦役。岸部一徳さんが演じたのは飛将・織田信雄。上杉謙信を思わせる王棋・上杉康治役は桂小米朝さん。そして、茂山宗彦さんは五段・羽柴秀明役と、遊び心満載だった。
上杉王棋役 桂小米朝さん
織田飛将役 岸部一徳さん
毛利棋将役 古田敦也さん
羽生善治さんは本人役
脚本を担当した大石静さんは、「(朝ドラは)保守的な枠だと言われていたけれど、終わってみればやりたいことをやらせてもらった気がします」と話している。ヒロインの離婚、近未来の21世紀を描くなど、大石静ワールド全開だった『ふたりっ子』。これは、演出を担当した長沖渉チーフ・ディレクター(当時)との徹底した話し合いの中で生まれたという。企画の打ち合わせ段階から連日10時間近く議論を重ね、「たまには、けんかもしました(笑)」というほど。しかし、それが「これほど自分を出した作品はない」という出来上がりになった。
長沖ディレクターからの「大阪の空気を吸って大阪を愛してください」という強力なアプローチに、大石さんが大阪に滞在して執筆したこともあり、「大阪の街が大好きになって、第二の故郷みたいになってしまいました」とのこと。1週目の台本は標準語だったが、2週目からは関西弁になり後半になるとほとんど直しがないほどの練達ぶり。これには長沖ディレクターも「言葉自体が生き生きとしていた」と脱帽していた。
脚本 大石静さん
ヒロイン達の未来を描いた“21世紀編”
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