提督の憂鬱 作:sognathus
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青葉「さぁ、皆さんいよいよ最後の試合の始まりです!」
青葉「あ、弥生ちゃん大丈夫ですか? ちょっとアレは刺激が強かったですかね」
弥生「大丈夫......ちょっと驚いただけだから。進行していいよ」
青葉「分かりました! では榛名さんお願いします!」
榛名「分かりました! 各グループの出場選手はスタート位置に着いて下さい!」
出場選手一同「......」
榛名「いきますよ? よーい......」
榛名「スタート!」
パシッャーン
ズオッ!
イムヤ「誰にも追いつかせはしないわよ!」
青葉「おっと、前回に続き今回も一瞬でトップに躍り出たのは潜水艦です!」
青葉「イムヤさん速い! 格好はアレですが、流石はリーダー! これはもう勝負になるのかというレベルです!」
弥生「本当に速い......時速15km」
青葉「ゴールまでたった12分ですか......これはもう圧勝かなぁ」
長門「ゴールできたらの話だがな......は!」
ゴオオオオオオ
青葉「長門さんが出てきました! 金剛さんが見せた戦艦のパワーですね!」
弥生「今回はどちらかというとマリアさんに近い泳ぎ方。力任せに波を分けるから周囲の海が凄く荒れてる」
青葉「しかも長門さんはマリアさんより力がありますからね、これは周りの人も......おっとイムヤさんも影響を受けているようです!」
イムヤ「きゃぁっ。海中にまで余波が......息を乱そうってわけね!」
北上「わっぷ、長門さんやるなぁ。ま、こっちも負ける気はないけどね......よっっと!」
青葉「あ!北上さんが追い上げてきてます。乱れた波の影響を、文字の如くバタフライで躱してますね」
弥生「息継ぎの時軽く体が浮くくらい飛んでる......」
弥生「艦娘だからこそできる泳法だから、厳密にはバタフライじゃないかも......」
長門「むっ、北上か。流石だな! まさか追いついてくるとは」
北上「チッチッチ。わたしが目指してるのはイムヤさんだから。悪いけど、長門さんはただの通過点だよ!」
鳳翔「くっ、皆の姿を追うのでやっとですね......。このままでは差が開くばかり、どうにかしないと」
青葉「鳳翔さんが苦労してるみたいですね」
弥生「鳳翔さんも遅いわけじゃないけど、今回はメンバーは特にレベルが高いからキツイかも......」
青葉「おや、鳳翔さんに近づく姿が......!あれは加賀さんですね」
弥生「どうしたんだろう」
加賀「鳳翔さん、どうしたんですか?」
鳳凰「あ、加賀さん。私、みんなの期待に応えられそうになくて......」
加賀「なるほど。確かにあれに追いつくのはキツそうです」
加賀「......鳳翔さん、一つ提案があるのですが」
鳳翔「え?」
青葉「お、あそこに見えるのは加古さんと矢矧さんと......あれ、駆逐艦の子もいますね」
弥生「こっちも何か話し合ってる感じ......何を話してるんだろう」
初春「――というのはどうじゃ?」
矢矧「なるほど」
陽炎「確かにあの波を乗り切るにはこれしかなさそうね」
加古「イムヤもその内体制立て直すだろうから、もう時間はないね」
初春「それでは、皆同意ということで良いな?」
矢矧「ああ、一時的にだけど協力するわ」
陽炎「仕方ないわよね」
加古「いいねぇ。皆驚きそうじゃん!」
初春「それでは参るぞ?」
長門「く、抜かせるか!」
北上「ナガモンもしぶといねぇ」
長門「っ、ナガモンて言うなぁ!」
イムヤ「うまい具合に2人とも白熱してくれてるわね」
イムヤ「眼中に入ってないのは酌だけど、隙は突くかせてもらわ――て、また余波!?さっきより大きい!」
長門「なんだ?」
北上「戦艦は一人だけのはずだけど......」
青葉「こ、これは先ほど話し合ってた4人が驚くべき行動を取っています!」
弥生「皆一緒に陣形を組んで泳いでる......」
青葉「加古さんと矢矧さんを先頭にして駆逐艦二人が少し下がって両サイドを泳いでますね。」
弥生「皆同時に同じ速さで泳ぐことで一つの群艦になってる......」
青葉「なるほど。これだけの艦隊が固まって一斉に泳ぐわけですから当然波も......」
長門「なるほど。あいつら......そう来たか!」
北上「わわわ。これは無理!流される~」
イムヤ「ちょ、ちょっとこっちに来ないでよ!」
初春「よし、追いついたな! それでは皆の衆ご苦労!」
初春「これよりは解散して。また敵同士じゃ」
加古「よっしゃぁ! あとは突っ走るのみ!」
矢矧「ここからが本番だ!」
陽炎「乱戦上等! こちとらそういう戦場を駆け回ってきたのよ!」
青葉「おー、上手い具合に混戦になってますね」
弥生「全員が同じスタート位置に立った......」
加賀「いいえ」
鳳翔「残念ながら違いますよ」
2人以外の全員「!?」
スイィィィィ......パシャッ
加賀「完全」ブイ 鳳翔「勝利です♪」ブイ
青葉「な、なんと2人同時に潜水でゴールしたあぁぁ!?」
弥生「一緒に潜水することによって倍の推力で泳いだって事......かな」
長門「くっ、だが2人同時という事は2位と3位は空いているという事だな。それなら......!」
北上「それ無理だよ。もうイムヤゴールしてるし」
長門「な!?」
長門「な、なら3位を」
北上「それも無理。なんか初春さんが途中から『本気』出したみたいであっという間にゴールしちゃった」
長門「 」
北上「ヤハギン達も呆然としてるね。あはは。こりゃあ勝てないわ」
第五ゲーム結果
1位:加賀 14m05s
2位:鳳翔 14m05s
3位:伊168 14m25s
4位:初春 16m17s
5位:矢矧 16m30s
6位:加古 16m32s
7位:陽炎 16m40s
8位:北上 18m08s
9位:長門 18m10s
~観覧隻
提督「加賀達は金剛の記録を超えたのか。凄いな」
叢雲「それなんだけど、鳳翔さんは1位を辞退したそうよ」
提督「ふむ」
叢雲「加賀の提案で1位になれた事が理由なんだって。本人は思い出だけで十分とか言ってたわ」
提督「鳳翔らしいな」
叢雲「ええ、そうね。全くどこまで『お母さん』なんだか」
提督「それではタイムは同じでも鳳翔は2位になるのか」
叢雲「そういう事」
叢雲「ああ、あと彼女、個人成績の褒賞に関しても受け取る権利を前の試合で最高記録だった人に譲るそうよ」
提督「待て、それでは」
叢雲「ええ、そうよ。褒賞の授与者は金剛と加賀よ」
ちょっと無理やり感がありますかね。
でも上手く二人にお願いができる流れにしたかったんですよね。
これで本線は終わりですが、まだ提督と扶桑の試合が残ってます。