第25話「決戦!亜空間」



 バルマーと地球の決戦の時が来た。
 アクシズを地球に落下させるバルマーとネオ・ジオンの最終作戦を阻止すべく、ロンド=ベルを中心にバルマー本隊を攻撃する地球防衛軍。
 その戦闘地点から離れた宙域で、地球の命運を賭けたもう1つの戦いが始まろうとしていた。
月影  「諸君らはこれより、かつて人類が体験したことのない
     未知の戦場へ向かってもらう」
 ブルーフィクサー隊隊員に激励の言葉を送る月影長官。
 バルマーとアルデバロンの協調体制は今や半ば崩壊の状態にある。しかし、バルマー本隊との決戦に亜空間からの援護が加えられれば、地球に勝機はない。
 それ以上に、自然環境を激変させてまで地球を欲するガットラーは、あまりに危険な存在であった。
月影  「ブルーフィクサー隊出動!
     10分後に亜空間へのゲートを開く!」
 それぞれの愛機に乗り込み、宇宙空間で待機するブルーフィクサー隊。
 ゼロサスで戦い続けてきた日々とT-LINKをゴウは静かに思い出していた。
 戦争の中で様々な出会いを繰り返したケーン達の胸には、今は決意があった。
 仇敵ガットラーとの決戦を前にしながら、マリンは不思議に落ちついていた。
 タケルは星の向こうにいる兄と自分の使命をぼんやりと考えていた。
 鉄也は1つの戦い終局を感じながらも、その先の戦いを思っていた。
 タクマは未だ意識不明の父を思っていた。
 そのダンガードAのコクピットに突如、通信が侵入する。
断鉄  「タクマ、ダンガードAのサブコクピットを開けろ」
タクマ 「父さん!?」
 待機するブルーフィクサー隊にダンの戦闘機が接近する。
月影  「一文字君、その身体ではムリだ!」
タクマ 「父さん!ここは俺達にまかせてくれ!」
断鉄  「思い上がるな、タクマ。
     まだまだお前にダンガードAを任せるわけいにはいかん」
タクマ 「!」
断鉄  「・・・タクマ、自分の身体のことは自分が一番良く分かっている。
     残り少ない限られた時間で、父として、そして隊長として
     出来る限りのことをお前達に残したいのだ」
タクマ 「父さん・・・」
 ダンガードのハッチを開けるタクマ。
断鉄  「よし、各自、突入の覚悟は出来たか!
     恐らく、この戦いが最後の戦いだ!
     死ぬことは許さん!」
ゴウ  「これこれ。
     この怒鳴り声を聞かないと調子出ないんだよ」
 そして、亜空間突入の時が来た。
クイン 「空間湾曲装置、起動します!」
 ブルーフィクサー隊の眼前でゆっくりと空間が裂けていく。
月影  「各自、健闘を祈るぞ!」
断鉄  「ブルーフィクサー隊突入!」
 断鉄の指令を合図に空間の裂け目に突入する各機。
ジェミー「各機、通常空間から完全に消えました!」
 静寂の宇宙に残されたブルーフィクサー基地で、月影達に出来るのは待つことだけであった。

ガットラ「ついに来たか、マリンめ・・・。
     全機発進!
     亜空間をやつらの墓場にしてやれ!」
 亜空間では要塞アルゴルを中心にアルデバロン全軍がブルーフィクサー隊を待ち受けていた。
 全戦力をあげて激突する両軍。
断鉄  「全機、要塞を狙え!」
マリン 「覚悟しろ、ガットラー!」
 未知の戦場である亜空間に戸惑っている猶予はなかった。
 迫るアルデバロン軍の総攻撃は数こそ多くはないとはいえ、その攻撃の苛烈さはこれまでの比でなかった。
 しかし、勝利以外の道が残されていないのはブルーフィクサー隊も同じである。
 守るべき人達への思い、使命感、決意。そして、ブルーフィクサー隊の勝利を願う人々の祈り。それらは確かな力となって一人一人に勇気を与えていた。
マリン 「サンダーフラッシュ!!」
 そして、ついに要塞アルゴルの戦闘ブリッジは爆発する。
雷太  「やった!俺達の勝利だ!」
オリバー「ん?マリン、どこへ行く!?」
  マリン 「すまない!
     恐らくガットラーはまだ生きている。
     ヤツだけは俺のこの手で倒させてくれ!」
 分離してニューパルサバーンでアルゴルに突っ込むマリン。
 崩壊を始めた船内でマリンはついにガットラーと対峙する。
マリン 「ガットラー!」
ガットラ「マリンか・・・。
     どうやらワシの負けのようだな」
マリン 「民間人を解放して、降伏しろ!」
ガットラ「すでに我々が亜空間に留まるだけのエネルギーは尽きかけていた。
     最後の作戦であった人工太陽作戦が失敗した時に、
     敗北は決まっていたのかもしれない」
マリン 「貴様のエゴが民間人、そしてアフロディアを破滅に導いたんだ!」
ガットラ「アフロディアか・・・。
     あやつもワシの下に帰ってこなかった・・・」
マリン 「何!?」
ガットラ「マリン、このスイッチが何だか分かるか?
     これは我々が占拠した地球上の核融合施設の爆破スイッチだ」
マリン 「貴様!この期に及んで!」
ガットラ「動くな、マリン」
 無言でにらみ合う2人の視界に人影が映る。
マリン 「アフロディア!」
 それは、ブルーフィクサー基地を脱出したアフロディアだった。アフロディアの手にした銃はまっすぐマリンを狙っていた。
ガットラ「おお、アフロディア!
     さあ、その銃で宿敵マリンを撃つのだ!」
アフロデ「・・・」
ガットラ「アフロディア!」
マリン 「アフロディア!」
      ズギューン!
ガットラ「・・・アフロディア・・・」
 アフロディアの放った銃弾はガットラーを打ち抜いていた。
アフロデ「総統・・・、私は・・・」
ガットラ「アフロディアよ・・・。
     お前がマリンと会ったあの日から、S1星を発ったあの日から、
     いつかこの日が来ることを感じていた・・・」
アフロデ「総統!」
ガットラ「お前の心を縛り付けたワシと、解き放ったマリン・・・。
     お前が変わっていく様をワシは見ているだけしか出来なかった・・・」
アフロデ「総統・・・」
ガットラ「ワシはお前とマリンに感謝せねばならないかもしれない。
     母なる星を汚す大罪を止めてくれたのだからな・・・」
マリン 「S1星が地球の未来であることを知っていたのか?」
ガットラ「人工太陽作戦の寸前だったがな・・・。
     マリンよ、ワシは軍人として自らの行いを悔いるつもりはない。
     そして、最後の決着をつけさせてもらうぞ」
 ガットラーの言葉を合図にしたかのようにアルゴルの船体に衝撃が走る。
ガットラ「さらばだ!マリン、アフロディア!」
 その混乱に乗じて部屋の奥へと消えるガットラー。
ゴウ  「マリン!大丈夫か!?
     応答しろ!」
オリバー「マリン!アルゴルは通常空間にシフトしようとしている!
     俺達もそれを追って、通常空間に戻るぞ!」
マリン 「了解!
     アフロディア、行くぞ!」
アフロデ「・・・マリン。
     私はどうすればいいのだ・・・」
マリン 「お前もお前自身の方法で未来を築くんだ!」
 アフロディアを連れて、アルゴルを脱出するマリン。
 バルデイォスに再チャージした瞬間、アルゴルを中心とした全ての物体は通常空間へ移動した。
 そこで一行を待ち受けていたのは、ギガノス、ドップラーの大部隊と向き合うブルーフィクサー基地であった。
月影  「ブルーフィクサー隊、一時、帰還せよ!」
 月をバックに最後の決戦が始まろうとしていた。
                                 続く

◆ゲーム進行
・冒頭、月影長官から戦況の説明と最後の激励。
・タイトル後、マップは宇宙空間。
 出撃機選択の後、断鉄合流。
・マップ、亜空間に切り替わり。
・ガットラーの指令で出撃するアルデバロン軍の大部隊。
 ガットラーは要塞アルゴルで待機(アルゴルに移動能力はない)。
・勝利条件は「アルゴルの破壊」。
・バルディオスがアルゴルに攻撃を加えると、ガットラーとマリンの会話イベント。
・アルゴルが破壊されると、アルゴルは「居住ブロック」となり
 マップグラフィックが変化する。
 バルディオスは強制分離して、マリンとガットラー、アフロディアのイベントへ。
 バルディオスが撃墜されていた場合、マリンは「脱出装置」でアルゴルに向かう。
・イベント終了後、バルディオス再合体。
 その後、シナリオ開始マップに切り替わる。
・ブルーフィクサー隊はマップ端の基地周辺に集結。
 逆端にはギガノス、ドップラーの大部隊に残存のアルデバロン軍が加わる。
・月影長官の帰還指令で本シナリオ終了となる。

◆解説
 アルデバロン軍との決戦の回です。
 「亜空間」という特殊な戦場ですが、特に地形効果はなく、
 タイムパラドックスのような特異な現象も起きません。
 これは、亜空間での戦闘の意味を「誰にも邪魔されない戦場」と
 定義したかったためだけだからです。

 マスクを外した断鉄とタクマがいっしょに戦うのは原作にもない話ですが、
 せっかくの対面ですので、ここは最後の見せ場としてステージを用意しました。

 僕の中でのガットラー像は「権力に苦悩する男」です。
 もし、ガットラーが権力を手にしていなければ、
 アフロディアへの接し方も違ったでしょう。
 また、地球がS1星の過去だと知った後の行動も違ったものになったでしょう。
 しかし、彼はそうすることが許されない立場にあります。
 それゆえ、敗北を悟った後に、真意に反する核の起爆スイッチを
 持ち出さねばならなかったわけです。
 原作において、ガットラーは部下ネグロスが核の起爆スイッチを押すのを
 止めようとするのですが、事故によりスイッチは押されてしまいます。
 改では、確かにガットラーはスイッチを持ち出しますが、
 恐らく彼はスイッチを押せなかったでしょう。
 原作においても、改においても、ガットラーは地球を愛していました。
 (この「愛」は、マリンが地球に感じるものと、ちょっと違いますが)
 アフロディアとマリンによって、爆破を阻止されたガットラーは、
 後は敗軍の将としての責任を果たすだけになりました。
 母なる星を汚すことを止められた時から、
 ガットラーは「バルディオスのガットラー」から、
 「改Bのガットラー」へ微妙に変化しています。
 次回は、その戦いの決着が待っています。

 次回はside-Bの最終回です。
 様々なドラマに決着がつき、改2へとつながる展開をお楽しみに。

◆次回予告  機を見てバルマー本隊に荷担しようとるすギガノス=ドップラー軍団。
 己の中の決着をつけようとするガットラー。
 それぞれの思いの果てに待つのは、希望なのか?絶望なのか?
 全ての未来を賭けて、ブルーフィクサー隊は飛ぶ。
 新SRW改:side-B 最終回「明日への旅立ち」     お楽しみに

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