ブルーフィクサー基地が宇宙に出て既に1週間が経過しようとしていた。 その間、地球と宇宙ではバルマーへの大規模な反攻作戦「Vオペレーション」が発動し、戦いの主導権は地球とPLFに移っていた。 しかし、バルマー本隊は未だほぼ無傷であり、その未知の戦力は依然として大きな脅威であった。 そして、独自の戦力を持つアルデバロン軍とその周辺の戦力も見逃すことは出来ない。 ドップラー軍団の攻撃によりブルーフィクサー基地も機関の一部を破損していた。これにより、亜空間突入計画は遅延を余儀なくされていた。 亜空間に潜むアルデバロン軍も、地球側の動きを察知しているはずである。 大きな障壁であるブルーフィクサー隊との決着をつけるべく、アルデバロン軍も迎撃の準備を進めていることが予測される。さらに先の人工太陽作戦からも、次の大規模な作戦が用意されていることも考えられる。 事態は急を要していた。 しかし、攻撃隊長であるキャプテン=ダンの意識も未だ戻らないままである。 一行の心を焦りが走る。 中でも、キャプテン=ダンの謎の昏倒はタクマにいい知れぬ胸騒ぎをもたらしていた。 そんな時、ダンとタクマを派遣し、ダンガードAを開発したジャスダム基地の大江戸博士より通信が入る。 大江戸 「久しぶりです、月影長官」 月影 「ご無沙汰しております。 博士のご協力もあり、ブルーフィクサー基地も無事大気圏脱出が出来ました」 大江戸 「いえいえ、こちらこそ。 パルサバーンの亜空間理論の提供によって、こちらの準備も最終段階に入りました。 それで、タクマは近くにいますかな?」 タクマ 「博士!キャプテン=ダンが!」 大江戸 「状況については聞いている。 よく聞くんだ、タクマ。 キャプテン=ダンは過去の負傷により、 その身体は明日をも知れない身なのだ」 タクマ 「そんな・・・」 大江戸 「そして、タクマ・・・」 突如、大江戸博士からの通信が途切れる。 ジェミー「戦闘濃度のミノフスキー粒子の散布を確認! 3次元レーダーに切り替えます!」 リンダ 「敵戦艦接近!プラネスターです!」 月影 「ブルーフィクサー隊発進!」 一人でダンガードAに搭乗しようとするタクマ。 しかし、すでにサブパイロット席にはキャプテン=ダンが控えていた。 タクマ 「キャプテン=ダン!安静にしていなくてもいいんですか?」 ダン 「一人で出撃するつもりか? まだまだ、お前一人にダンガードAを任せるわけにはいかない」 ダンの身を気遣いつつ発進する各機。 プラネスターから続々と出撃するメカサタンとアルデバロン軍、そしてバルマーの大部隊。 その戦力にさすがにブルーフィクサー隊も苦戦を強いられる。 それに追い打ちをかけるが如く、ドップラーの演説が各機の通信に侵入してくる。 ドップラ「俗物共め! この崇高な宇宙は選ばれた民、ドップラーとその協力者のものである」 ケーン 「黙れ!ハゲ入道!」 ドップラ「貴様ら俗物は、滅びゆく地球の大地、哀れなる箱庭のコロニーと共に 朽ちていくがよい!」 マリン 「あいつ、生まれた星を捨てる気か!?」 ドップラ「さあ、選ばれし我が軍団の精鋭よ! 我らこそ、この宇宙に生きる民」 タケル 「お前のような独裁者を認めるわけにはいかない!」 ドップラ「さあ、今こそ我らが希望の星の大海に旅立つのだ!」 タクマ 「お前の好きにはさせない!」 闘志に燃えるタクマのダンガードAを先頭に母艦であるプラネスターに突進するブルーフィクサー隊。 激戦の中、ブルーフィクサー基地にも被害が出る。 その混乱に乗じて、脱走するアルデバロン軍前線司令アフロディア。 マリン 「戻れ、アフロディア! アルデバロンにお前の居場所はない!」 アフロデ「黙れ、マリン! 私に情けをかけたことを、必ず後悔させてやる!」 そして、ついに迎撃するプラネスターのビーム砲がダンガードAをかすめる。 ダン 「ぐわっ!!」 タクマ 「キャプテン=ダン!! ・・・!」 破損したサブパイロット席をモニターしたタクマが見たのは、仮面が外れたキャプテン=ダンの素顔であった。 タクマ 「・・・父さん!?」 それは忘れることのないタクマの父、一文字断鉄、その人であった。 断鉄 「タクマ・・・。 今は戦うことに集中しろ・・・」 タクマ 「は、はい!」 ドップラ「うぬ!一文字断鉄め! 飼い犬の分際で私の計画を邪魔するか!?」 断鉄 「貴様の策略により、一度は地球の希望の芽を摘んだこの身。 貴様を倒せるのなら、この命惜しくはない・・・」 ドップラ「宇宙に旅立つのはこの私だ!」 断鉄 「希望を継ぐのは貴様でも私でもない。 正しい心をもった若い力だ・・・」 激戦の末、大破したプラネスターは後退していく。 タクマ 「父さん!」 断鉄 「タクマよ・・・。 お前達への指導のためとはいえ、正体を隠していてすまなかった」 タクマ 「父さん、しゃべらないでくれ!」 断鉄 「ドップラー軍団に洗脳され、仮面をかぶらされてた私は、 ふとしたきっかけで正気を取り戻した。 脱走した私は、ドップラーへの復讐と宇宙へ旅立つ希望のために、 この身を生きながらえさせてきた。 しかし、どうやらそれも限界のようだ・・・」 タクマ 「何を言うんだ、父さん! まだ、何も終わっちゃいない!」 断鉄 「タクマ、そして、ブルーフィクサー隊のみんな・・・。 この戦いに勝利することが終着点ではない。 勝利は、その先に向けての出発点なのだ。 多くの先人達が血を流して守り抜いた希望を受け継ぎ、 そして明日の地球へ渡してほしい・・・」 キャプテン=ダン、一文字断鉄は、それだけを述べると再び意識を失う。 再度、集中治療室に運び込まれる断鉄の容態を案じながら、その言葉を胸の中で繰り返す一行。 マリン (希望を継ぐ者か・・・。 アフロディア・・・、俺達、S1星人は果たしてその資格があるのだろうか・・・) 決戦の時に向け、宇宙は静寂に満ちていた。 続く ◆ゲーム進行 ・冒頭、戦況と前回の戦闘による作戦行動の遅延を説明するクインシュタイン。 ・ダンの身を案ずるタクマ。 ・大江戸博士からの通信。 タクマとの会話の途中で不自然に途切れる。 ・敵機接近の報。 ・タイトル後、プラネスター周辺に出現するメカサタンとアルデバロン、バルマーの混成部隊。 ・発進前のタクマとダンの会話イベント。 ・2ターン目から自軍、敵フェイズの頭にドップラーの演説が入る。 それに反応するブルーフィクサー隊の面々。 ・4ターン目の自軍フェイズ、アフロディアの脱走イベント。 ・6ターン目以降、ダンガードAがダメージを受けると、 ダンの素顔発覚イベント。 以後、ダンのグラフィックは断鉄となる。 ・プラネスターはHPが30%を切ると後退する。 プラネスターを後退させてもマップクリアとはならない。 ・敵全滅後、真相を語り意識を失う断鉄。 ・戦闘終了後、断鉄の言葉を反芻する一行。 「希望」の言葉に自らとアフロディア、S1星人を顧みるマリン。 ◆解説 「影が薄い」「タクマがダンに負けている(これは原作通りか?)」と評判だった ダンガードAシナリオです。 ここにきてドップラーの無軌道かつエゴイストぶりが、 ちくちくとブルーフィクサー隊にダメージを与えていきます。 前のシナリオでも話したように、side-Bでのドップラーとの戦いは前哨戦に過ぎません。 改2以降では、シナリオの中で再三使われています「希望」「旅立ち」「宇宙の民」といった キーワードを軸に、その中でエゴをむき出しにするドップラーが描かれます。 (ちなみに彼は思想的にギレン=ザビを崇拝しています) ダンのグラフィックを断鉄に変更させたのたは、 グラフィック上でもタクマとの親子関係を強調させたかったことと、 せっかくの対面を会話イベントだけで終わらせたくなかったためです。 予想通り断鉄の死期は近いです。 しかし、その死に様は、タクマ達に大きな何かを残していくでしょう。 前回のシナリオからの引きですが、 比較的応用が容易でかつパラダイムシフトを引き起こすオーバーテクノロジー、 「パルサバーン」の出現によって、 大江戸博士の言葉にあるように地球の技術の一端は大きく進歩します。 具体的には「ジャスダム」「ガンドール」といった超空間航法が可能な艦船が 今後、どんどん完成していきます。 それによって、地球人が宇宙に進出していくことも、「改」のテーマでありますので、 その設定が活かされる日を気長にお待ち下さい。 さて、地球ではいろいろな軍にひっついて行動していたギガノスですが、 その意図が次回明かされます。 ◆次回予告 月面付近にてギガノスからの和平の申し出を受けるブルーフィクサー隊。 しかし、会談の地点に待っていたのは大部隊の攻撃であった。 果たしてワナなのか?それとも・・・? 謀略の黒い渦が宇宙を覆う。 新SRW改:side-B 第24話「ギガノス迷走」 お楽しみに |
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