ガットラ「『地球人抹消宣告』か・・・。 ゴッツォめ、大きく出たな」 アフロデ「いかがいたします、ガットラー総統?」 ガットラ「ヤツらの目的は、『地球人』自体にあるようだな・・・ しかし、我らの悲願のためにも、『地球』を穫ったのは、 アルデバロン軍だという実績が必要だろう」 アフロデ「では?」 ガットラ「うむ、かねてより計画していた人工太陽作戦を実行に移す。 アフロディア、お前にスピリットガットラーを任せる」 アフロデ「はっ!ありがたき幸せ。 このアフロディア、命に代えても作戦を成功させ、 今度こそ、憎き裏切り者マリンを・・・」 ガットラ「アフロディア、マリンに気を取られすぎるな」 アフロデ「?」 ガットラ「まあ良い、健闘を祈るぞ」 退室するアフロディアの背にガットラーは独り呟く。 ガットラ「自身の疑問をマリンにぶつけることで、握りつぶそうとするか・・・。 アフロディア、お前はやはり女だ・・・」 ゴッツォの「地球人抹消宣告」から1週間が経過した。 当初のパニックも静まり、街には秩序が取り戻されようとしていた。 これは、「宣告」のあまりの壮大さが逆にリアリティを奪ったことと、人々の良心の結果と言える。事実、混乱に乗じた暴徒の群れは市民達の手により鎮圧されていた。 突きつけられた最期通告は、逆に人々の心を1つにして、新たな力となっていった。 加えて、PLFの決起により、バルマー内部は今や混乱の極みにあった。 依然としてバルマーの圧倒的な有利は変わらなかったが、希望は残されていた。 そして、重慶のPLF基地に待機するブルーフィクサー隊にも、起死回生の反攻作戦が伝えられる。 ダン 「Vオペレーション?」 代償 「そうです。 狙いをバルマー中枢に絞った最終戦略です。 我々の同志の破壊工作によって、広域戦略兵器の使用が不可能となったバルマーは、 各星系軍や地球の協力組織を時間稼ぎにして、本隊の戦力温存を図っています。 なぜなら、今から1ヶ月後には本国からの増援が到着するからです。 そうなっては、こちらに勝ち目はありません」 ゴウ 「で、そのVオペレーションとは?」 代表 「『V』はクサビを意味します。 つまり、少数精鋭部隊によるバルマー中枢の撃破です。 我々の願いである自星の解放のためにも、一般兵との戦闘はなるべく回避したいのです。 既に、地球側の幾つかの部隊の協力も取り付けています」 ダン 「それで、我々はどうすればいいのです?」 代表 「まずは、バルマーに協力しながらも独自の行動を見せているアルデバロン軍の撃破です」 マリン 「!」 代表 「不可解なことなのですが、我々もS1星の存在を知らなかったのです。 これは仮説ですが、彼らは別の次元から来たのかもしれません。 とにかく事実として、彼らの科学力、とりわけ兵器はバルマー帝国をも凌ぎます。 数は少ないとはいえ、決して侮ることは出来ません」 オリバー「だが、ヤツらの要塞は亜空間にある。 いくらバルディオスでも1機では無理だ」 代表 「それについては、考えがあります。 しかし、その前に彼らの「人工太陽作戦」を阻止しなければなりません」 1人の男が作戦室に入室する。 タケル 「あ、アナタは!?」 代表 「紹介します。 諜報部のエージェントのマーグです」 マーグ 「初めまして。 もっとも、そちらのタケル君とは既に何度か会っていますが」 マーグ名乗るその男は、タケルの危機を何度も救い、五神のコントロールクリスタルを持っていた男であった。 タケル 「いったい、アナタは何者なのです?」 マーグ 「先ほどの紹介通り、PLFの諜報部員です。 では、アルデバロン軍の「人工太陽作戦」を説明します」 タケルの問いをいなし、マーグは説明を始める。 「人工太陽作戦」。それは、北極、南極の両極点の氷を莫大な熱量を発する「人工太陽」で溶かし、大陸の大半を水没させる作戦である。 雷太 「そんなことになったら、地球はどうなっちまうんだ!?」 マーグ 「計算では、地球上の施設はほとんど壊滅。 地球の総人口は30%まで減少します」 マリン 「ガットラーめ! 人の命を何だと思っている!?」 マーグ 「現在の防衛軍で、アルデバロン軍と互角に戦えるのはブルーフィクサー隊しかありません。 北極は我々が死守します。 あなた方は敵の主力である南極の防衛をお願いします」 ダン 「了解しました」 鉄也 「俺達も南極防衛に参加する」 マーグ 「私は一足先に南米のブルーフィクサー基地に向かいます。 タケル君、キミの疑問はその時に答えよう」 タケルも同意する他なかった。 重慶を発つ準備を進める中、リンダは父プラート博士にしばしの別れを告げる。 リンダ 「お父さま、お兄さまは・・・」 ラング 「言うな、リンダ。 マイヨは自分の信念でギガノスにいるのだ。 親兄弟と言えども、それを止めることはできん・・・」 それぞれの思いを胸に、ブルーフィクサー隊は南極へ向かう。 雷太 「しかし、さっきも言ってたけど、 いったいS1星ってのは何なんだ?」 マリン 「だんだん、俺も分からなくなってきた・・・」 オリバー「まずはヤツらの作戦を阻止することだな。 そろそろ南極だ」 一面に広がる氷の大地。 迎撃準備を整えたブルーフィクサー隊の眼前で空間が歪む。そして、姿を現すアルデバロン軍巨大戦闘母艦「スピリットガットラー」と機動兵器大隊。 アフロデ「ちっ!こちらの作戦が漏れていたのか!? まあよい!人工太陽発射! 全軍でヤツらを迎え撃て!」 スピリットガットラーから発射された人工太陽は瞬く間に赤熱する。 ケンジ 「スゴいエネルギーだ!」 ミカ 「計算の結果、人工太陽は10分でチャージが完了します!」 タケル 「アレでまだ準備段階なのか!?」 ナオト 「あんなデカブツ、とっとと叩き潰してやるぜ!」 ミカ 「熱量によって、周辺はかなりの高温になっています! 接近には充分気を付けてください!」 人工太陽に向けて突撃するブルーフィクサー隊。 しかし、アルデバロン軍の大部隊がそれを阻む。 さらに、現れるドップラー軍団のメカサタン。 タクマ 「お前達は地球が壊滅してもいいのか!?」 ダン 「無駄だ、タクマ。 ドップラーは自分達さえ良ければ、 地球もそこに住む人々もどうでもいいのだ」 アフロデ「くっ!あのような輩の力を借りねばならないとは・・・」 敵の2面作戦はブルーフィクサー隊を追いつめる。 しかし、それぞれの決意は、圧倒的な戦力差を跳ね返す。 マリン 「とどめだ!サンダーフラッシュ!!」 破壊される人工太陽。 アフロデ「おのれ、マリン! かくなる上は貴様だけでも!」 マリン 「やめろ、アフロディア! お前達は負けたんだ! 降伏して、直ちにS1星の民間人を解放しろ!」 アフロデ「うるさい! 裏切り者の貴様が、S1星のことに口を出すな!」 マリン 「まだ分からないのか! ガットラーはS1星1億の民を破滅に導こうとしているんだぞ! この戦いに未来があると思ってるのか!?」 アフロデ「・・・私の帰る場所は総統の下だけだ!」 人工太陽を破壊されたアルデバロン軍も最後の特攻を試みるが、ブルーフィクサー隊の前に撃破されるのであった。 戦闘終了後、PLFから通信が入る。 ジェミー「北極も人工太陽の破壊に成功したそうです!」 ダン 「よし。これよりブルーフィクサー隊は基地へ帰還する」 帰還する一行は、破損した敵の脱出カプセルを発見する。 マリン 「アフロディア!」 そこには気を失ったアフロディアの姿があった。 オリバー「するとコイツがアルデバロンの指揮官か!?」 雷太 「コイツらのせいで地球は・・・、許せねぇ!」 マリン 「待ってくれ! アフロディアはケガをしている」 雷太 「マリン!お前、こいつをかばうのか!?」 マリン 「・・・」 ダン 「指揮官であるのなら、アルデバロンの情報を聞き出すことも出来る。 まずは、ブルーフィクサー基地に連れていく。 異存はないな、マリン」 マリン 「・・・はい」 横たわるアフロディアは、戦場で会う非情の指揮官とはあまりにかけ離れていた。 その表情は、弱々しくはかなげでさえあった。 その傍らでマリンは、ガットラーとの決着の時を感じるのであった。 続く ◆ゲーム進行 ・冒頭、アフロディアに「人工太陽作戦」の指示を与えるガットラー。 アフロディアの内面を量るガットラー。 ・「地球人抹消宣告」後の地球の様子がブルーフィクサー隊の会話で語られる。 ・Vオペレーション概要、マーグ紹介、人工太陽作戦説明。 ・タケルをいなすマーグ。 ・出発の際、マイヨについて語るリンダとプラート博士。 ・S1星の正体について語るマリン達。 ・タイトル後、味方ユニットは配置済み。 その後、空間が歪みアルデバロン軍出現。 巨大母艦「スピリットガットラー(アフロディア搭乗)」、戦闘メカ、透明円盤多数。 ・アフロディアの指令の後、マップ後方に「人工太陽」出現。 人工太陽は攻撃・移動手段はないが、高HP、高装甲。 周辺1ヘックスはターン始めに1200のダメージ。 (装甲によって軽減可能・敵味方問わず)。 この効果範囲は2ターン毎に1ヘックス拡大される。(つまり最大周囲5ヘックス) ・勝利条件は「10ターン以内に人工太陽を破壊。 ならびに敵の全滅」 ・数ターン後、増援としてドップラー軍団のメカサタン出現。 タクマは停戦を呼びかけるが無視される。 ・アフロディアとマリンが戦闘すると、会話イベント発生。 人工太陽とスピリットガットラーの倒す順序で、会話は多少異なる。 ・戦闘終了後、「北極防衛成功」の報。 ・アフロディアの脱出カプセルの発見。 いきり立つ一行を止めるマリン。 ・ブルーフィクサー基地への帰還。 ◆解説 「バルディオス」においては悲惨な結果に終わった「人工太陽作戦」です。 ここでは、PLFとブルーフィクサー隊の活躍によって阻止に成功しています。 しかし、もしアルデバロン軍とバルマーが完全な協調態勢にあったならば、 恐らく人工太陽作戦は成功していたでしょう。 このシナリオで、side-Bは大きく「バルディオス」の流れから逸れました。 これは、「if」の世界の強調であり、、 僕自身が、「バルディオス」という作品の存在意義を 「地球がボロボロになった話」とは見ていないためであります。 これについては、次回から徐々に明らかになっていきます。 マーグは「PLFの諜報部員」の立場をとっていますが、 別の組織からの任務もおびており、そのため広範な情報網を持っています。 PLFもその正体を疑問に思いながらも、 有用性によりマーグには深い詮索をしていないわけです。 マーグの本当の活躍については、「改2」に期待してください。 マリンとアフロディアもクライマックスに近いです。 アフロディアにとって、マリンは「あこがれ」です。 母星にさえとらわれず、自分の信じた道を進むマリンは、 ガットラーと「軍人」であることに縛られたアフロディアにとって、 不快であると同時に、強く惹かれる存在となっていきます。 その根底には、自分の存在と、この戦争への疑問があるわけです。 ですから、アフロディアとマリンの関係は、 「悲劇の恋愛」ではなく「歩み寄れない同志」というスタンスです。 (無論、後者に前者が加わっていきますが) この解釈についてご意見のある方は、レスをお待ちしています。 さて、次回はついに「side-B:地上編」の最終回です。 これまで散りばめられたきた様々な想いが、1つに結集されます(予定)。 それではお楽しみに。 ◆次回予告 ブルーフィクサー基地に連行されたアフロディア。 敵指揮官に人々の怒りが集中する。 そして明かされる驚くべきS1星と地球の真実。 今、ブルーフィクサー隊は未来のために戦う。 新SRW改:side-B 第21話「未来への道」 お楽しみに |
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