第19話「地球人抹消宣告、そして」



 2度の窮地を救った剣鉄也により、ブルーフィクサー隊は中国大陸の奥地「重慶」に導かれる。
 その胸には、ズフィルードとバルマーの圧倒的な力が刻み込まれていた。
 地球連邦が事実上瓦解し、これまで以上に統制を失った現在、地球側は各地単独でバルマーに対抗せねばならない。
 そして、そのような戦略なき単独の反撃は玉砕でしかなかった。
 打ちひしがれるブルーフィクサー隊の中でもゴッツォに撃墜されかかったゴウのショックは大きく、前回の戦闘から無言のままであった。
 一行を連れ、グレートマジンガーとビューナスAは巧妙に隠された施設に降り立つ。
レオ  「こんなところに、これほどまでの設備が用意されているとは・・・」
ラング 「驚いたかね?」
リンダ 「お父さま!」
 案内された一室で一行を出迎えたのは、リンダの父でありドラグナーの開発者であるラング=プラート博士であった。
リンダ 「いったい今までどこに!?
     それに、ここはいったい・・・」
ラング 「ワシの事を話す前に、まずは会ってもらいたい人達がいる」
 プラート博士の言葉を合図に数名が入場する。その出で立ちはまちまちであったが、一つだけ共通することがあった。
ケーン 「バルマー!?」
タクマ 「彼らは捕虜なのですか?」
ラング 「いいや、彼らは同志だ。
     そして、我ら『PLF』の中枢メンバーでもある」
ダン  「『PLF』?」
ラング 「『星間解放戦線』の略称じゃよ。
     バルマーの支配から、自分達の星を解放しようとする人間達の集まりだ」
マリン 「ということは・・・」
ラング 「そう。
     バルマーから見れば、彼らは反逆者だよ、マリン君。
     組織の中には、キミと同じS1星人もいる」
リンダ 「なぜ、そのような組織にお父さまが?」
ラング 「MAが防衛軍に不採用になった時、ワシを独自にスカウトした人物がおる。
     そして、彼は『PLF』の中枢メンバーでもあるんじゃ」
ダン  「つまり、この組織は地球防衛軍とバルマーの反体制派の連合ということなのでしょうか?」
ラング 「いいや、『PLF』は防衛軍という組織とは表立っての協闘はしていない。
     言うなれば、自分の星を愛し、理不尽な力に立ち向かう個人の集合体なのじゃよ」
代表  「説明ありがとうございました、プラート博士。
     ブルーフィクサー隊の皆さん、我々のご主旨は理解していただけたでしょうか?」
 歩み寄る「PLF」の代表者。姿は異なれど、その姿勢はなんら地球人と変わるものはなかった。
 その時、突如、基地内に非常放送が響きわたる。 兵士  「たいへんだ!
     ゴッツォが地球圏全体に何かメッセージを送ろうとしている!」
代表  「何だって!?」
 室内に備え付けられたモニターのスイッチを入れると、そこには冷たい目をした若い男が映し出される。
代表  「ゴッツォ!」
レオ  「すると、こいつが敵の司令か!?」
 その男、ゴッツォがおごそかに言葉を発する。
ゴッツォ「聞くがいい。銀河の諸悪の根源、地球人達よ。
     私の名はジュデッカ=ゴッツォ。
     貴様達地球人と敵対するバルマー帝国辺境銀河第8艦隊総司令である」
 突然の敵司令の言葉にパニックに陥る人々にゴッツォは続ける。
ゴッツォ「我らバルマーは、諸悪の根源たる地球人の存在を、
     この銀河から抹消することを決定した。
     今日ここに、地球人抹消を宣告する!」
 その言葉の意味することが理解できず呆然とする一行。
ゴッツォ「一ヵ月の猶予を与える。
     その間に我らバルマーに下るもよい。
     抵抗して死ぬもよい。
     政府や国家ではなく、個人にその選択の自由を与えよう」
 ついにバルマーの総攻撃の宣言に、声を失うブルーフィクサー隊。
 同時に、北京に敵の大部隊接近の報が入る。
レオ  「ついにこの日が来たか・・・」
タップ 「ちくしょー、ちくしょー!
     地球は終わりなのかよ!」
ローズ 「アタシ達、死んじゃうの・・・」
 これまで沈黙を保っていた剣鉄也は、そのまま部屋を出ていこうとする。
ケーン 「アンタ、どこ行く気だよ?」
鉄也  「北京だ」
ケーン 「正気かよ?
     あんな大部隊に勝てるのか?」
鉄也  「お前なら死ぬだろうな」
ケーン 「何!?」
鉄也  「最初から負ける気でいるヤツに勝利はない。
     俺は戦うために、ここにいる。
     そして、俺を待っている人達がいる。
     だから、戦って勝つ」
ゴウ  「・・・そうだ・・・。
     まだ負けちゃいない・・・」
 鉄也の言葉とゴウの絞り出すような闘志が、ブルーフィクサー隊を結んでいく。
ケーン 「うおお!やってやるぜ!」
タクマ 「こんなところで立ち止まっている暇はないぜ!」
タケル 「おお!最期の時が来るまで戦うぞ!」
マリン 「この地球のために!」
ダン  「よし、ブルーフィクサー隊発進!」
代表  「我々も出撃だ!」
 ダンの指令を待つまでもなく、一行は愛機に向かって走り出していた。
ラング 「ドラグナーには追加武装を施しておいた。
     それと損傷の激しかったR-Oはこちらで修理させてもらった。
     純正パーツではないが、パワーアップしているはずだ」
ゴウ  「サンキュ!博士!
     お礼はリンダちゃんにしておくよ!」
 軽口を叩くゴウには、いつもの闘志が蘇っていた。

 グレートマジンガーとビューナスAを加えたブルーフィクサー隊は、北京でバルマーの大部隊を迎え撃つ。
 前回戦ったズフィアα・βを含む敵部隊は強大であったが、一行はそれぞれの決意を胸に戦う。
 そして、増加兵装によってパワーアップしたゼロサスが戦場を駆ける。
 新装備「ショットストライカー」が敵を貫き、「デュアルT-LINKキャノン」が敵を撃つ。
 結集した力の前に、バルマーは撃破されるのであった。

 重慶のPLF基地に帰還した一行は作戦室に迎えられる。
 そこに、ブルーフィクサー隊司令の月影長官から通信が入る。
月影  「諸君、任務ご苦労だった」
オリバー「結局はオペレーション・サーカスは失敗でしたがね」
ダン  「それで、これから我々はどうすれば?」
月影  「そのことだが、諸君らはそのままPLFと共に敵の大規模作戦を阻止してほしいのだ。
     詳しくは、そちらの代表から聞いてくれ」
ダン  「了解しました」
月影  「現在、防衛軍は完全に指揮系統が崩壊している。
     諸君らも独自の判断が求められるだろうが、この地球と宇宙のために戦ってくれ」
クイン 「それとマリン、少し気になることがあるので、
     次の作戦が終了したら、一度こちらに戻って来てください」
マリン 「分かりました」
月影  「それでは、諸君らの健闘を祈る」
 新たな任務をおびるブルーフィクサー隊。
 バルマーの総攻撃を前に、今、戦局は大きな転換期を迎えていた。
                               続く

◆ゲーム進行
・冒頭、鉄也の案内で重慶へ向かうブルーフィクサー隊。
・秘密基地の一室に通される一行を迎える   博士。
 続いて、代表者を招き入れ、「PLF」を説明する。
・ゴッツォの「地球人抹消宣告」。
・北京に接近する敵大部隊に1人で立ち向かおうとする鉄也。
 ケーンと鉄也との会話を経て、闘志を取り戻すゴウ。
 続けて、出撃する一行。
・タイトル後、バルマー大部隊との戦闘。
 ズフィアを含むバルマーユニットとメカサタンで構成。
 グレートマジンガー、ビューナスAも操作可能。
・ドラグナーは追加装備(=武装パワーアップ)。
 (カスタム化ではない)
  ●ドラグナー1 2連105ミリハンドレールキャノン(プラズマ弾)
    射程:1~6 攻撃力:2100 弾数:4
  ●ドラグナー2 脚部ミサイルポッド
    射程:1~5 攻撃力:2200 弾数:2
    グラフィックは全弾発射のイメージ。
  ●ドラグナー3 3連105ミリハンドレールキャノン(プラズマ弾)
    射程:1~6 攻撃力:2100 弾数:4
・ゼロサスはパワーアップ(=R-Oカスタム)
 グラフィックも変化。
 V2アサルトとバスターの中間的イメージの武装強化。
 追加武装は下記の通り。
  ・ショットストライカー 小型で貫通性の高いストライクシールド。
    射程:1~4(P) 攻撃力:2000 弾数:6
  ・デユアルT-LINKキャノン 2連になったT-LINKキャノン。
    射程:2~8 攻撃力:3500 EN:50
   (改造によりマップ兵器化)
・戦闘終了後、月影長官との通信。
 新たな任務を下されるブルーフィクサー隊。

◆解説
 「コロニー落下」「地球連邦崩壊」「地球人抹消宣告」という
 「改」における大きな節目です。

 話が「side-B」ということもあり、
 本筋から離れた敵の作戦をブルーフィクサー隊は潰していきます。
 その情報源となるのがPLFですが、
 月影長官達とPLFをつなぎ、さらに広範な情報網を持つ「黒幕」的存在は
 次回登場予定です。

 R-O(=ゼロサス)はカスタム化しますが、ドラグナーはしません。
 これは、「改2」を前提とした処置ですのでご了承ください。
 代わりに、レールキャノンの弾丸を「プラズマ弾」にしてパワーアップしています。
 「プラズマ弾」は簡単に説明すると、物体をほぼエネルギー体にして打ち出すことで、
 弾速と破壊力を飛躍的に向上させるものです。

 R-Oカスタムについてですが、
 本機はRーOの最終型ではないですし、ゴウの最終的な機体でもありません。
 (side-Bにおいては、乗り換えはありませんが)
 それについては、今後続いていく「改」シリーズでお確かめください。

 プラート博士が語る防衛軍の大物で、
 PLFとつながっている人物は今後の伏線です。
 剣鉄也や炎ジュンのスカウトも彼が動いています。
 正体の分かった方は、こっそりと僕に予想を教えてください。

 第16話「砂漠の魔神」に続いて、ケーンと鉄也にカラみが多いのは、
 「『巻き込まれた民間人とプロの戦士』の対比」という僕のシュミの結果です。

 さて、side-Bも残り7話となり、クライマックスに突入します。
 本編より話数が少ない分、これまで以上に急展開となるでしょう。
 今後、更新のペースは鈍りますが、気長にお楽しみにください。

◆次回予告
 PLFに協力する謎の男に胸騒ぎを覚えるタケル。
 その男のもたらすS1星人の「人工太陽作戦」。
 阻止のために極点へ飛ぶブルーフィクサー隊。
 迫るタイムリミットの中、マリンとアフロディアの対決の時が来る。
 新SRW改side-B 第20話「極点の死闘」    お楽しみに

第20話「極点の死闘」へ

トップへ戻る

励ましのお便り(笑)はこちらへrag@angel.ne.jp


無料ホームページ・無料電子メールアドレスは便利だよー。