第16話「砂漠の魔神」



グンジェ「そう、恐い顔をしなさんな。
     あのD兵器にはワシ達も興味があってな」
マイヨ 「ならば、D兵器はお任せしよう」
グンジェ「さすが『ギガノスの蒼き鷹』。
     もの分かりがいい」
     ・・・・・ カール 「いいのですか、大尉?」
ダン  「そうですよ!
     こちらは宇宙からずっとD兵器を追って来たのに!」
マイヨ 「今は目先の私怨よりも、作戦を成功させることが先決だ。
     この混迷の状況の中、我らギガノスの理想を貫くために、
     泥をすすらねばならない時もある・・・」

 サハラ砂漠基地はバルマーのヨーロッパ攻撃の拠点であり、地球防衛軍はこの基地によって各方面間の連携を分断される形となっていた。
 その戦略上の重要性から、サハラ砂漠基地周辺は早くから激戦区であった。
 ヨーロッパ、アフリカ支部の挟撃、中東の国家や財閥の私兵や民間ゲリラ兵の協力等、多くの戦力がつぎ込まれながらも戦線は現在、膠着状態に陥っている。
 その状況を打破すべく、ブルーフィクサー隊は最終侵攻作戦への参加を依頼されたのである。
 砂漠での機動力低下も空戦主体であるブルーフィクサー隊には関係なかった。
 そして、バルマー側もこちらの決戦準備に備え、数日前にはギガノスのMA隊を配備していた。
ケーン 「へっ!楽勝、楽勝。
     バルマーだろうとギガノスだろうと片っ端から叩き落としてやるぜ」
タップ 「おいおい、随分と強気だな」
軍曹  「戦争をナメると痛い目にあうぞ」
 アデレード基地、希望峰基地を撃破したブルーフィクサー隊には自信が生まれていた。中でも従軍経験のないケーン達は、勝利に溺れ始めていた。

 午後3時、サハラ砂漠基地攻略戦開始。
 地上からの防衛軍MS隊の援護の中、ブルーフィクサー隊は基地を目指す。
マイヨ 「来たな、ドラグナー。
     これまでの借りを返させてもらう!」
 迎撃するマイヨ率いるMA部隊、メカサタン部隊。
 戦況は勢いに勝る地球側有利に進み、ブルーフィクサー隊は基地の手前まで戦線を進めていた。
ダン  「ケーン、前に出すぎるな!
     タップ、ライト!D1をフォローしろ!」
マイヨ 「バカめ!第2陣出ろ!」
 先行するD1を確認したマイヨの指示で、砂の中からグンジェム隊を中心とした第2陣が姿を現す。
ゴウ  「何!砂の中からだと!?」
 後続との連携を絶たれ、恐慌をきたすDチーム。
ケーン 「う、うわ!やられる!!」
グンジェ「はーはっはっは!皆殺しにしてやる!」
 砂の中からの増援を機に形勢はバルマー側に傾く。
ゴウ  「このままじゃ、ヤバいぜ!」
ダン  「全機、集結して互いの死角をカバーしろ!」
ケーン 「駄目だ!やられる!!」
 進むことも退くことも出来ないブルーフィクサー隊が死を覚悟した時、彼方から2機の機体が飛来する。
鉄也  「敗北を受け入れるな!!」
兵士  「おお、魔神だ!魔神が来たぞ!!」
兵士  「諦めるな!魔神が来たぞ!」
 鋭角的なシルエットをもった「魔神」が敵陣を切り裂き、雷撃をあびせる。
鉄也  「サンダーブレイク!!」
 同時に女性的な優美なシルエットの機体が破損した機体を修理する。
ゴウ  「・・・魔神?」
レオ  「あれはグレートマジンガーとビューナスA!!」
 超兵器の草分けとして知られる「マジンガーシリーズ」のグレートマジンガーは、各紛争終了後、パートナーロボのビューナスAと共にスミソニアン博物館に展示されていた。しかし、そのスミソニアン博物館はバルマーの攻撃で破壊されている。
 そして、グレートの博物館入りと同時に、パイロットの剣鉄也と炎ジュンに姿をくらませ今に至っていたはずである。
 詳しい事情は不明であったが、グレートマジンガーはこのアフリカでゲリラ兵の窮地を救う「魔神」として存在していた。
 それは確かな事実として、戦う兵達に勇気と希望を奮い起こしていた。
 グレートの力は敵陣を引き裂いていく。旧式と言える機体でありながら、その力は驚異的であった。
ケーン 「す、すげえ!」
タクマ 「機体の性能以上のものをパイロットが引き出しているのか?」
 グレートの出現により、戦況は再び地球側に傾く。
 切り札を失ったバルマーは、圧倒的な志気の地球側とブルーフィクサー隊に破れ去るのであった。

 戦闘終了後、グレートマジンガーとビューナスAは無言でその場を立ち去ろうとする。
ダン  「グレートマジンガーとビューナスAのパイロット、
     協力を感謝する」
鉄也  「・・・」
ダン  「出来れば事情を聞かせてもらいたいが・・・」
鉄也  「・・・」
ダン  「・・・分かった。
     もう一度、君達の協力に感謝する」
 夕暮れが迫る中、2体は無言のまま戦場を後にする。

軍曹  「バカヤロー!!
     戦争を甘く見てるから、そんなことになるんだ!」
 軍曹の罵声がケーンを打つ。
軍曹  「救援が来なければ、お前は死んでいたんだぞ!」
ケーン 「・・・」
 なおも続けようとする軍曹を制し、ダンが後を受ける。
ダン  「ケーンだけではない。
     今回の勝利はいわば運だ。
     もし、救援のタイミングがあと少し遅れていたら、我々は全滅していたかもしれない」
ケーン 「・・・」
ダン  「戦争はゲームではない。
     護るものがある限り、我々は負けるわけにはいかない。
     各自、このことを忘れるな」
ケーン 「戦争か・・・」

リンダ 「ねえ、ケーン。
     戦うのは恐い?」
ケーン 「ああ、今回は本気で死ぬかと思ったよ」
リンダ 「それでも戦うの?」
ケーン 「ああ」
リンダ 「どうして?
     お父さんに反発して?」 ケーン 「分かんねぇ・・・」
 サハラ砂漠は、ケーンの胸に苦い記憶を残して夜を迎える。
 ケーンは自らの置かれた状況「戦争」を直視しようとしていた。
 そして、戦いは続く。
                                           続く

◆ゲーム進行
・冒頭、グンジェムとマイヨの会話で、
 マイヨがD兵器追討をグンジェムに任せる。
・アフリカ支部司令からの作戦要項の説明。
・自信満々のケーン、それとなくたしなめる軍曹。
・タイトル後、味方機出撃。
 マップは完全に砂漠で、奥の方に基地がある。
 敵はファルゲン、ゲルフ×3、ダウツェン&シュワルグ部隊。
 メカサタン×数機、バルマーユニット×数機。
 勝利条件は「敵の全滅」
・ケーンが敵を撃墜すると、「チョロいぜ!」といった慢心のセリフ有り。
・敵部隊は積極的に攻撃を仕掛けてくるが、
 3ターン目からMA部隊は後退を始める。
・味方ユニットが特定のラインより基地側に到達するか、ターン数の経過により、
 砂の中から、味方部隊を包囲する形でグンジェム隊、バルマーユニットの増援出現。
 出現状況によって、マイヨとグンジェムのセリフに変化有り。
・増援出現の次ターンの味方フェイズ、ケーン達の絶望のセリフ。
 戦況がそれほど不利でない場合、
 セリフは「このままじゃヤバいぜ!」程度にとどまる。
 その後、グレートとビューナスマップ端に登場。
 兵士達の歓喜のセリフの後、2機は一気に移動。
 グレートは最も近い敵にサンダーブレイク。
 (敵のHPが少ない場合は、他の威力の弱い武器を選択)
 ビューナスは最も損傷が激しい機体を修理。
・レオによるグレートの説明。
 司令による「魔神」の説明。
・以後、2機はNPCとして行動する。
 グレートのデータは、「新」登場のマジンガーより多少劣り、
 グレートブースターも装備していない。
 しかし、鉄也のレベルならびに能力はかなり高く、
 状況に応じて精神コマンドも使用するため、
 破壊されることはまずない。
 ビューナスは確実にとどめをさせる敵ユニットが行動範囲内にいない場合、
 味方機を修理するルーチン。
・戦闘終了後、グレートを引き留めるダン。
 無言で去っていく鉄也とジュン。
・ケーンの暴走に怒る軍曹。
 その後を受けて「戦争」を語るダン。
・戦うことをケーンに問うリンダ。

◆解説
 ケーンの戦争に対する認識の甘さと、
 対比として、戦いに生きる意味を見いだす男「剣鉄也」が主軸のシナリオです。

 ドラグナー放映当時にどうしても僕がなじめなかったのは、
 ケーン達の「軽さ」でした。
 まあ、それが普通の青年が戦争に巻き込まれた時のリアリティなのかもしれませんが、
 敵(グンジェム達)が決死の覚悟で戦う中で、
 彼らの軽さにどうも違和感を感じました。
 だからといって、無理に深刻なキャラにさせたいのではなく、
 ピンチとそれに伴う「死」を感じることで、
 1度は戦争の恐さを感じてほしかったわけです。
 すっかり登場を忘れていましたが、軍曹にここで喝を入れてもらいます。
 TVでは階級が自分を越えてしまったケーンに対してやりにくそうだった軍曹ですが、
 ここでは、それには触れず怒鳴ってもらいましょう。
 ちなみにケーンの階級は、一応「契約民兵」です。

 グレートマジンガーについては、本編の外伝でやった通りです。
 当初はside-Bにも登場の予定はなかったのですが、
 世界を転戦していくオペレーション・サーカスの流れと
 ブルーフィクサー隊のピンチとその脱出とを合わせて、登場を願いました。
 これは、無論、新SRW改2の布石でもありますが、
 外伝でも語った鉄也のさまよえる魂の行き着く先として、
 こういった戦い方もあるだろうと考えたわけです。
 兵達の志気の高まりは、
 「♪ぼーくらも戦う~、キミといっしょに~♪」というわけです。

 鉄也とケーンの対比を、もっと表に出そうと思ったのですが、
 あまりに接点がないため、ほとんど活かすことが出来ませんでした。

 冒頭のグンジェムとマイヨの会話ですが、
 TVシリーズではこの二人は顔を合わせていませんが、
 大義に生きようとするマイヨの性格と作戦を考慮して、
 このような展開としました。

 冒頭の戦況説明で、「中東の国家や財閥の私兵」という表現をしていましたが、
 ご察しの通り、ガンダムWのマグアナック隊のことです。
 話の中に登場しなくても、確かに存在するロボットはたくさんあります。
 そこらは想像の世界をふくらませてください。

 さて、オペレーション・サーカスもそろそろ終着点に近づきつつあります。
 そして、ラサと言えば、アレがあるわけです。
 お楽しみに。

◆次回予告
 ついにラサ到達を目前としたブルーフィクサー隊。
 その前に立ちふさがる翼を持ったガンダム。
 戦闘の最中、現れるバルマーの大部隊。
 不可思議な敵の作戦行動の真意は?
 新SRW改side-B 第17話「迫る恐怖」 お楽しみに

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