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【野球】

津田学園・前、感動与えた熱投170球 負けても中日スカウトの評価揺るがず

2019年3月26日 紙面から

龍谷大平安-津田学園 11回表、2点目を許し肩を落とす津田学園・前(伊藤遼撮影)

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 第1試合では、17年ぶり出場の津田学園(三重)が龍谷大平安(京都)に延長11回、0-2で初戦敗退。1人で投げ抜いた津田学園の最速148キロ右腕、前佑囲斗投手(3年)は、4安打2失点で涙をのんだ。第2試合では、21世紀枠で初出場の石岡一(茨城)が、盛岡大付(岩手)を9回2死までリードしながら延長11回、2-3でサヨナラ負け。第3試合では、山梨学院が1回に10点を挙げるなど、3本塁打を含む大会最多タイ記録となる24安打の猛攻で、札幌第一(北海道)を24-5で圧倒した。

 プロも注目する津田学園のエースが力尽きた。スコアボードに「0」を並べて続けて迎えた延長11回。先頭打者への死球から招いた1死一、二塁のピンチで、龍谷大平安の5番・奥村に左翼線へ決勝二塁打を浴びた。「(外角狙いが)内角高めにいった。体の開きが早かったのと、疲れから、球が抜けてしまった」と前。悔しさを押し殺し、淡々と勝負を分けた場面を振り返った。

 この日は最速141キロ。それでも自慢のスピンの効いた直球で、序盤から春夏通算101勝の伝統校を攻めた。最初のピンチだった4回1死二、三塁。2者連続空振り三振でしのぐも、その回に右手の指がつるアクシデントに見舞われた。

「感動を与える」と刺しゅうされた前のグラブ(麻生和男撮影)

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 「指がつったのは初めて。直球を投げるときは気になった。球に力がなくなった」。さらに疲労から、終盤に差しかかるにつれて、球の制御も効かなくなった。「メンタル面から疲れがきた。甲子園は1球で試合が動く。その緊張感からだと思う」。1点を争う勝負の中で、心と体のスタミナが奪われていた。

 年明けに新調したグラブには「感動を与える」と刺しゅうを入れた。夏初出場した2年前。1年生だった前は、ボールボーイで甲子園の土を踏んだ。1回戦で延長11回サヨナラ勝ちした先輩の勇姿を目の当たりにし、「自分も感動を与えたい」と思った。エースとなって戻ってきた甲子園。初戦突破はならなかったが、自己最多170球の熱投は、観客の脳裏に深く刻まれたはずだ。

 「ピンチの時のストレートは通用した。もう一度、夏に戻ってきたい」。涙を見せることなく、すぐに次の目標を見据えた。 (麻生和男)

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 ▽中日・近藤スカウト(津田学園・前について)「スピードガンの表示以上に球が走っていた。本来はもっと球速も出る。いいときは、こんなものではない。地元だし、今後も十分に注目させていただく」

【戦評】龍谷大平安が投手戦を制した。延長11回、先頭打者への死球を足場に1死一、二塁。奥村の二塁打で均衡を破り、三尾の犠飛で加点した。野沢は低めを突き4安打完封。津田学園は中盤の好機を生かせず、好投の前を援護できなかった。

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