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(岡)まんぷくヌードルの売り上げが伸びません。
当初の予想の1/3です。
(萬平)スーパーや小売店ではもう まんぷくヌードルは売らない。
えっ!全く新しい販売ルートを考えろ。
(神部)新しい…。
100円で まんぷくヌードルを買ってくれるお客さんは 必ずいるはずだ。 必ず。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(真一)特別販売ルート。
(岡)100円出しても まんぷくヌードルを買うてくれそうな客層というとホテルやタクシー会社など 深夜に営業する人たちではないかと考えました。
おお なるほど。そこに売り込みをかけるわけか。
それが 特別販売ルート。略して特販ルートです。
(世良)まだ略す段階やないやろ。
深夜に仕事をしている人たち…。
(森本)病院もありますよね。あと警備会社とか。
駅の売店は どうや。警察や消防署もいいんじゃないか?
そんな程度でどんだけ売れるっちゅうねん。
僕も そう思います。営業部だけでは人手が足りませんね。
ああ 開発部の社員にも手伝ってもらおう。
えっ…。もう待て待て待て待て待て。
まんぷくヌードル作るのにわざわざ工場建てたんやど。
何万個 何十万個売れてやっと初めて儲けが出るんちゃうんかい。
そんなタクシー会社やら消防署やらに売れたかて たかが知れてるやろ。
いや いいんですよ 世良さん。これは 長い目で見なければなりません。
まんぷくヌードルのよさを分かってくれる人に届ける。
まずは そこからだ。(岡)はい。(森本)はい。
はいやない。 僕の出番がないやないか。
そのうち来ます。そのうちて…。
(源)僕らも営業を!?
ホテルやタクシー会社に売り込みに行くんや。
(洋子)ホテル…。
(久坂)そんなやり方でいくつ売れるっていうんですか。
(西野)まんぷくヌードルは画期的な商品なんですよ。
そうです!これは 会社の方針や。
企画開発部も一緒になって手伝ってくれと社長に言われたんや。
(ため息)
特別販売ルートを略して特販ルート。
ああ。 岡君が考えてくれたんだ。そうですか。
(鈴)タクシー会社とか病院とかにまんぷくヌードルを持っていくの?
売り込むんですよ。富山の薬売りみたいに?
あれは 薬を補充するんやないの。
おんなじようなもんでしょう 萬平さん。まあ…。
せやけど しょっちゅう しょっちゅう病気やケガをする人はいないわ。
でも 食事は毎日よ。ということは 補充も毎日。
せやけど 何て言うの?
買い手が少なすぎるっていうか規模が小さすぎるというか。
いや 僕だって 正直じれったい気持ちはあるんですよ。
でも まずは まんぷくヌードルの価値が分かってくれるお客さんから始めてコツコツ市場を広げていくしかない。
今は我慢なんです。我慢。
萬平さんが よくよく考えて決めたんやから大丈夫よ お母さん。
せやけど 私には もう 時間がないのよ…。
えっ?また それを言う。
もう いつまでも元気でいられるとは思てません。
咲かて 夢で私を誘てくれたし。
せやからそんな怖いこと言わんといて。
まだまだ長生きしますよお義母さんは。
どうして そんなことが言えるの。
どうしてって…。
どうして?お母さん。
明日は 分かりません。
(タカ)夜中じゅうまんぷくヌードル売り歩くの?
帰りは明け方になるかも。
茂さんは 企画開発部でしょ。
社長には社長の考えがあるんやろ。まあ 俺には理解できへんけどな。
え…。
まんぷくヌードルは 俺たちの自信作や。
あんな商品は 今まで どこにもなかった。
せやけど高い値段つけたせいで売れへんのや。
俺たちが営業に回されたところで何の意味もないわ。
萬平おじちゃんのやり方に 反対なん?
せやけど まんぷくヌードルを 世の中の人に知ってもらいたいという気持ちは社長も一緒なんや。
茂さん…。心配すんな タカ。
考えは分からんけど 俺は社長を信じる。
そう決めた。
そしたら行ってくるわ。
行ってらっしゃい。
この度 まんぷく食品から発売されたまんぷくヌードルといいます。
値段は 1個100円なんですがお湯を注ぐだけで出来る画期的な商品なんです。
(内村)100円ですか。
ほんまに便利ですから。夜勤の運転手さんには 絶対喜ばれます。
最初からカップに入っていれば公園で食べることもできます。
野球場でも食べられる。歩きながらでも。
そこまでしてラーメン食いたいか 君らは。
いや 食べたくなるようにするんです。
よしっ。
ふう…。
(より子)お義母さんがさ 変なの。
(時江)おしゅうとめさんが?最近 妙に優しいの。
(環)絶対 何かあるわ。気ぃ付けた方がええよ。
(時江)あら 立花さん。
(より子 環)こんにちは。こんにちは。
まんぷくヌードルが おいしくて。
しかも 歩きながらでも食べられるから便利 便利。
それに 時間の節約にもなるんですよ。
(3人)はあ…。
あ~… 用を思い出した。 ほな また。
(竹内)おお 何や おばちゃん 進んでんな。(高井戸)おお かっこええわ。
ほな さいなら。
(真一)売り上げは 更に落ちてしまいました。
でも 中身は違います。先週までは もの珍しさからまんぷくヌードルを買ってくれるお客さんがほとんどだったんでしょうが今は 本当に まんぷくヌードルを必要としてくれるお客さんが買ってくれてるんですから。確かに そのとおりです。
ですが まんぷくヌードルの製造ラインは一旦ストップさせた方がええと思います。
えっ?もう 在庫が相当たまっているので。
そうか…。
(ため息)
今夜も 夜中まで仕事するの 源ちゃん。
とにかく 新規開拓。
一軒一軒 頭を下げて売り込むしかないんや。
僕が もう少し若ければ一緒に回るんだけどな。
萬平さん 社長でしょ。昼間の大事なお仕事もあるんやから。
そうや。 僕みたいに深夜まで働いて昼過ぎに会社に出るなんてできへんやろ。
私は 源ちゃんの体が心配やわ。
大丈夫やで おばあちゃん。夜働いてる人は反応がええんや。
お代わり。はい はい。 フフフ。
夜中にやってる食堂なんてどこにもないからな。
うん…。
せやけど いつまでこの売り方を続けるんですか 萬平さん。
このままやと特別な人たちのためだけの商品になってしまいますよまんぷくヌードルは。
そやから 私がそう言うてるんやないの 最初から。
ホテルに売れれば お客さんにまんぷくヌードルのよさが伝わりそのお客さんが知り合いに広めてくれる。
転機は必ず来るんだ。
食器なしで 手軽でどこでも食べられる…。
ん?
いや ほかに ないんやろかまんぷくヌードルの売り文句は。
ほかに?うん。 まんぷくヌードルはもっともっとすごい商品やと思うんです。
ほら 萬平さん 前に言うてたでしょう。
まんぷくヌードルは日本の食文化を変える商品やって。
あの ねえねえ あの 商品を買うてくれる人たちのことを何て言うんですか。
購買層。うん そう。
夜中に働く人たち以外に もっと その大きな購買層がある気がするんです。
それは 誰?
それが分かれば苦労しませんよお義母さん。
誰やろ…。・(ドアが開く音)
・(幸)ただいま。やっと帰ってきた さっちゃん。
ただいま。お帰り。
何だ その派手なコートは。ええでしょ 自分で買うたんやから。
今まで何やってたの 幸。友達とボウリングに行ってた。
ボウリング?うん。 今 大ブームなんよ ボウリングは。
ええなあ 学生は。はよ 手洗て ごはん食べなさい。
もう食べた。食べた!?
うん。 友達と一緒やったんやもん。
いや~ もう連絡くらいしなさいよ。そうよ さっちゃん。
遊ぶために大学に通わせてるわけじゃないぞ。
授業は ちゃんと受けてます。宿題があるやろ。 レポートとか。
それは うまくやってるわよ。うまくって何だ。
(幸)ちゃんとやってます。アルバイトや遊びにかまけてだらしない生活をするんじゃない女の子が。
女の子やから何?ん?
女の子やから何よ。幸。
ウーマンリブって知ってる? お父さん。ウーマンリブ?
女性解放運動。女性解放?
女やから これは駄目 あれは駄目っていうのは もうナンセンス。
男女は平等やの。ちょっと待って。話がややこしくなってる。
そやから お父さんは 画期的なまんぷくヌードルを作ったって言うてるけど若い私たちが何を考えてるかは全然知らないやない。
もう頭が古いんよ。
何!幸!
言い過ぎやぞ お前。俺の頭が古い?
そうよ。やめて!
ケンカは私が死んでからにしてちょうだい。
私は もう 長くはありません。
私の目の黒いうちは ケンカはやめて。
また どこか悪いの? おばあちゃん。長くないって どういうこと?
お母さん。もう その話は。
とにかく ケンカはやめて。
誰のおかげで大学に行かせてもらってると思ってるんだ あいつは。
幸かて きっと分かってますよ。
自由でいられるのは あと1年。社会に出る前までやって。
でも 卒業したらまんぷく食品に入れてくれなんて言いだすんじゃないだろうな。
・℡こんな時間に。
ああ いやいや 僕が出るよ。
はいはい はいはいはい。 はいはい。℡
はい 立花です。℡(源)あっ 父さん。
なにわタクシーさんが50ケース買ってくれるって!
50ケース?運転手さんたちに大好評やそうです。
おお そうか。 よくやったぞ 源。神部君は?
部長。
代わりました。
よく頑張ってくれた 神部君。ありがとう。
いえ… 礼を言わないといけないのは僕の方です。
えっ?℡社長のおかげでまんぷくヌードルを売らせてもらったおかげで僕は 肌で感じました。
まんぷくヌードルを必要としてくれるお客さんと顔を合わせて本当に この商品が求められていることを実感しました。
そうだよ。 その50ケースは本当に求められて売れたまんぷくヌードルだ。
はい。℡将来につながる 50ケースだぞ。
はい。 頑張って どんどん売ります。
失礼します。
次 行くぞ。はい!
どうしたんですか 萬平さん。おお。 神部君と源がまんぷくヌードルを50ケース売ったそうだ。
まあ!声が弾んでたよ。
はあ~ よかったですね。ああ。
いや ほんまに よかった 萬平さん。
ああ。