【首都スポ】[高校野球]21世紀枠・石岡一 9回完封まであと1球から逆転負け2019年3月26日 紙面から
◇センバツ高校野球<第3日> 盛岡大付3-2石岡一初出場初勝利まであと一歩だった21世紀枠の石岡一(茨城)に甲子園スタンドから惜しみない拍手が起こった。9回2死まで、盛岡大付(岩手)をリードしたが追いつかれて延長11回、2-3でサヨナラ負け。農業系の学科があり、最速147キロのエース岩本大地投手(3年)は造園科。昨夏の甲子園で準優勝した金足農(秋田)に続く“農業旋風”を狙ったが力尽きた。 ◇ 茨城のやんちゃな野球少年だった岩本は、夢の甲子園のマウンドに上がった。「大応援団がいて、声援もすごくて力になりました」。快挙は目前。これまでに21世紀枠で出場した50校のうち、初戦突破は13校で、完封勝ちはわずか4校。2-0の9回裏、2死二、三塁。カウント1ボール2ストライク。勝利まであと1球だった。 だが、岩本のスタミナは切れかかっていた。甘く入った直球は、盛岡大付の小川に仕留められ右前に転がった。捕手の中山が振り返る。「内角の直球を見せてから外のスライダーで勝負するつもりだったが、その直球が真ん中に甘く入ってしまった」。勝利を信じていた石岡一アルプス席は言葉を失った。 そして延長11回1死満塁。岩本が投ゴロを本塁へ悪送球しサヨナラを許した。「勝ちたい気持ちが強くて、ゲッツーを取ろうと焦ってしまった」。170球を投げ力尽きたエースを、主将の酒井は優しい言葉でねぎらった。「あれはミスではない。野手が援護してやれなかっことがミス」。川口政平監督(44)は「21世紀枠出場に、選手たちも感謝してプレーした。勝ちきれなかったが、ここからまた石岡一の歴史が始まる」と涙ぐんで声を詰まらせた。 普通科のほか、造園科と園芸科がある農業系の高校。昨秋の茨城県大会では明秀日立、土浦日大と強豪私学を破って4強入り。農業を通じた新しい文武両道を示す可能性を評価されての21世紀枠選出だった。昨夏の甲子園では、同じく農業系の金足農が、吉田(現日本ハム)を擁して準優勝し、“農業旋風”を巻き起こした。吉田のように勝ち星は挙げられなかったが「自分の直球とスライダーを織り交ぜれば、全国レベルのチームも抑えられるとわかった。自信にしたい」と岩本。打線も鍛え、夏の茨城を制し再び甲子園に戻って、今度こそ旋風を巻き起こす。 (広瀬美咲) ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。 PR情報
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