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特養おやつ死亡事故で准看護師に有罪判決 長野地裁松本支部

 長野県安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、ドーナツを食べた直後に意識を失い、その後死亡した利用者の女性=当時(85)=への注意義務を怠ったとして、業務上過失致死罪に問われた准看護師山口けさえ被告(58)の判決公判が25日あり、長野地裁松本支部は求刑通り罰金20万円を言い渡した。

 弁護団は「過失が認められれば介護の現場は萎縮し、利用者の生活の質を保てなくなる」と主張。全国の介護関係者らから無罪を求める署名が約45万筆集まるなど、注目を集めていた。

 判決理由で野沢晃一裁判長は、女性は歯が無かったことから「ドーナツを細かくできず窒息の可能性がある」と死因の低酸素脳症などの原因に窒息があると認定。咽頭に残っていたドーナツ片は小さすぎるなどとして窒息はなかったとする弁護側の主張を退けた。

 事故の数日前から女性のおやつはゼリーに変更されており、野沢裁判長は、提供するおやつを確認する義務を怠ったと認定。おやつの変更を介護士から知らされておらず、介護士の申し送り事項を確認する勤務形態でなかったと、あずみの里職員が証言したが、この職員が無罪を求める集会に参加したことを理由に「信用できない」と断じた。

 一方、女性に異変が生じた時、山口被告は他の利用者の食事介助中で、女性に気を配るのは困難だったとし、見守りを怠った過失は認めなかった。

 判決後、木嶋日出夫弁護団長(72)は「実現不可能な義務を課しており、現場を知らない判決」と批判。弁護側は即日控訴した。

 判決によると、13年12月12日、あずみの里の食堂で女性におやつのドーナツを配膳して窒息させ、約1カ月後の14年1月16日に低酸素脳症などで死亡させた。

 女性の死亡を巡り、あずみの里は損害賠償金を支払う形で遺族と示談している。

(中日新聞)

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