普段、音楽を聴く際には、イヤホンやヘッドホンを使用していると思いますが、
その際、避けて通れない現象が、この「頭内定位」です。
そもそも頭内定位って何?
イヤホンやヘッドホンを使って音楽を再生した時、
厳密には耳の横で音が鳴っているはずなのに、
頭の中で再生されているように感じると思います。
あれを頭内定位と言います。
苦手としている人も多く、
これの所為でイヤホンやヘッドホンは使わないという人も
少なくありません。
個人的には細かい音も聞けるため、
スピーカー等で聞くよりも好きなのですが……
まぁ、この辺は人それぞれってことですね。
慣れてる人は、そんなもんでしょ? という感じで聴いているものだと思います。
余談ですが、スピーカーのように外側から音が鳴っているように聞こえることは
「頭外定位」と言います。
何で頭内定位が発生するの?
詳しい原因は知りません(笑)
人体の不思議、ではないでしょうか。
と言ってしまうと話が終わってしまうので、
私の想像ですが、原因を話してみようかなと思います。
あくまで「私の想像」です。その点、ご留意ください。。
頭内定位の原因ですが、結論から言うと、「錯覚」だと思っています。
錯覚と言うと語弊があるかもしれませんが、
それに近しいことなのではないかなと思っています。
順を追って説明すると……
そもそも「音の位置を把握できる仕組み」とは
人間の耳は、当然ながら頭の左右についています。
この二つの耳が受け取った音の情報をうまく処理・判別して、
音がどの方向から来ているのか、その距離はどれくらいなのか等を判断しています。
まず方向について
音源から音が左右の耳に届く時間により、
その音源がどこから鳴っているのかを脳が判断しています。
音源が正面にある場合は、音が耳に届く時間は左右均等です。
※イメージ図
音源が若干右側にある場合、音が左耳に届く時間が、右耳より若干遅いです。
※イメージ図
音源が右側にある場合、上記よりもさらに左耳に音が届く時間が遅くなります。
※イメージ図
正確にはもっと複雑な要因があり、
脳は判断していますが、ここでは一旦置いておいて、
基本的には上述した耳に届く時間で脳が判断しています。
では距離はどうか
人間の耳が音源の距離を把握できる要因は、厳密には判明していないみたいです。
でも、私の想像では、その音の残響度合いが大きく影響し
判断しているのではないかと思います。
※残響音とは、音が壁等の障害物にあたり、跳ね返った音のことです。
一旦障害物に当たってから耳に届くため、
大本の音より耳に届く時間が遅くなります。
音源が近い場合、
残響した音が耳に届くより先に、大本の音が耳に届き、
その後、残響音が耳に届きます。
音源が遠い場合、
大本の音が耳に届いてから残響音が耳に届くまでの時間が、
音源が近い場合より短くなります。
この大本の音と残響音との時間差から
ある程度の距離を測っているのでは無いでしょうか。
これらの情報や部屋の形、障害物の量等から
脳が距離を判断しているものと思われます。
また、経験も判断する材料になっているとも思われます。
話を「頭内定位」に戻しましょう。
スピーカーで音を聴く場合は、上述した情報が鼓膜から脳へ伝えられる為、
どこから音が鳴っているか脳が正常に判断することができます。
ただ、イヤホンやヘッドホンだとどうでしょうか?
カナル型のイヤホンは耳栓のように耳を塞ぎ、
密閉型のヘッドホンは、耳を覆ってしまう為、
音源は鼓膜のすぐ近くにあり、
加えて耳を密閉しているので残響音が無い状態が作られてしまいます。
この『残響音が無い音が鼓膜の近くで鳴っている』という状況が
脳にとっては、
「あれ? 残響音がない? ってことは身体の中で鳴ってるのか?」と
錯覚していると私は考えています。
例えると、「骨伝導」と同じ原理で脳は音を判断しているのだと思います。
これが「頭内定位」の原因だと思います。
以上、頭内定位については簡単に書いてみました。
実際、開放型のイヤホン(インナーイヤー型)やオープン型のヘッドホンだと
頭内定位は密閉型ほどでは無いと感じます。
別に音楽を聴く上で頭内定位が無いといけないわけではないし、
ヘッドホンやイヤホンで、頭内定位を意識したものもたくさんあります。
苦手なのは仕方ないとして、大切なのは「楽しむ」ことだと思いますので
頭内定位が気になる人は、その解消法を模索しつつ
気にならない人は今までどおり、音楽を楽しむのが良いと思います。
といったところで、今日はこの辺で。 ノシ
---2017/9/17 追記---------------------------
「頭外定位」について、記事を出しましたので
リンク貼っておきますね♪
こちらも是非♪
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【本日の一言コメント】
最後の「骨伝導」の例えは、ぱっと思い付いたにしては、的を射てると思う(ドヤァ)
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前方定位の本質
ヘッドホンの音はどこから聞こえているか認識できない場合に頭の中から聞こえるようで、実際には音の出所が非常に不明瞭です。
音の定位は音の時間差で左右定位を認識しますが、更に正確に実際の録音音源の音大きさを基準とし、左右時間差を補正する形で遠近定位を認識しているようです。
これらのことを仮定として前方からの音と同じ物理特性を持った音を聞くことができるヘッドホンを試作したところ前方に楽器の音が浮かび上がり反響音が部屋に響くような音を再現することに成功し、数年かかりましたが手作り商品として販売を開始しました。
遠近定位することで前後の音が重ならず澄んだ楽器の音色となり奥行きある響きが再生できるようになりました。
1本のマイクで録音された歌声などの音源では奥行きはありませんが、遠近定位によって耳が焦点を合わせることができ、非常に鮮明な音となります。