あいまいまいんの生物学

生物教員の端くれが勉強したりプログラミングしたり。

日頃感じたこと思ったこと、出来事など

勉強したプログラミングなどの話

授業で使えそうな生物学の知識・雑談・小ネタ

などなどを紹介していきたいと思います

生物雑学「まいばいお」は毎週火曜日更新

久々に良いコンテンツにエンカウントした&面白いと思ったこと

最近は、生物分野の教材をよりブラッシュアップするべく

教材研究と向上・改善に励む日々です。

新学期が来るのが、今から怖いなぁ…

 

さて、そんなわけで今日も色々探しながらいじっていたのですが

動物の行動の章をやっていて、こんなサイトをたまたま発見しました。

www.mus-nh.city.osaka.jp

イトヨのジグザグダンス、初めて動画で見たかもしれない。

「えっ、どれがジグザグダンス??」って感じだった。

教科書ではなんだかダイナミックに書いてあるのに、実際は左右にクイクイっとやるだけなんですね。

あと、雌にも攻撃するんだなぁって…

別にイトヨのジグザグダンスを知らなくても、雌に攻撃するという習性を知らなくても

受験にも生きていくにもなんにも支障はないんだけども…

それでも私は教える立場である以上、知っておくべきであるし、なんなら生徒に「受験だけを見て受験に足りるのみの狭量な知識を求めるの人間になっては駄目よ、本当の豊かな学びをしないと」と伝えなきゃいけないはずなのに

そんな自分すら受験知識に踊らされて生物の実際を全然見ていないんだなぁという反省を改めて感じました。あかんね。

 

 

あと、先日の土日では優れた全国の先生方と触れ合える機会があったのですが

そこで「グリフィスの実験」についても新しい知見を得ました。

グリフィスの実験といえば、形質転換を見つけたものですが

あれはかつての教科書ではもっと違う形で紹介されていたんだそうです。

今の教科書上の説明だと、「突然変異でR型菌がS型菌になってしまった」という可能性が拭いきれなくなっている、と…

言われてみて気づきました。確かにそうです。

でも実際は、グリフィスはちゃんと突然変異の可能性を削って、

「R型菌がS型菌死体から何者かを得たせいで形質が転換した」と結論づけられるように実験を練っているのです。

その方法とは…strainを上手く使うこと!

wikipediaに載っています。以下引用します。

ja.wikipedia.org

実験の概要[編集]

グリフィスは病原性を持つIII-S (smooth) と病原性を持たないII-R (rough) の2種類の肺炎レンサ球菌(肺炎双球菌とも)の (strain) を用いた。III-S株の細胞多糖類でできた皮膜(莢膜)で覆われ、これで宿主免疫系から自分自身を守るため、宿主の体内で繁殖し、病気を起こせる。これに対してII-R株は多糖類の皮膜を持たず、宿主の免疫系に負けてしまうため病原性を持たない。つまりIII-S株を接種されたマウスは死ぬが、II-R株を接種されたマウスは死なない。

この実験では、III-S株のバクテリアを加熱して死滅させたものと、II-R株のバクテリアを用いた。これらはそれぞれ単独ではマウスを殺さないとが確認された。にもかかわらず両者を混ぜ合わせたものを接種した場合、マウスは発病して死亡することを彼は見いだした。さらにその死んだマウスの血からIII-SとII-R両方のバクテリアを分離した。

当初は「III-S株の加熱物に皮膜が含まれており、これをII-R株が利用することで宿主内での生存が可能になった」との可能性も考えた。しかし加えたバクテリアのうちで生きたものはII-R株のみであるから、発見されたIII-S株はII-R株の子孫でなければならない。このことからグリフィスは「III-S株の死んだものに含まれる何らかの『転換要素』が原因となって、II-R株が致死性のIII-S株に『転換』した」と結論づけた。

菌の型について[編集]

この菌の型は大きくS型とR型に分けられる。S型はその皮膜に多型があり、免疫学的に30程に区分されていて、上記のIIやIIIはそれを表す。R型は筴膜が無いのでこのような区別は無い。元々R型はS型からの突然変異によって出現し、例えばII-S型から出たR型はII-R型と称する。R型が復帰突然変異によってS型に戻る例もあるが、この場合II-R型からはII-S型が生じるので、上の実験結果を説明できない。

 

 散々生徒に「教科書は疑ってかかりなさい、疑問を持ちなさい」と言っておきながら

自分はこんな重要なところでスルーしていたなんて…

恥ずかしすぎます。

 

でも、自分も元生徒、学ぶ一員であることに変わりはないので

こういうことを機に「やっぱり先生という立場があったって中身がすっからかんなのは変わらないんだから勉強しなきゃいけない!!!」と自分に強く言い聞かせ

今後も謙虚堅実に学び続けたいと思います。がんばるぞ!!

 

 

p.s.

卒業生が会いにきてくれました!

メンダコストラップ、お揃いだってプレゼントされました。嬉しいなぁ〜

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まいばいお4 シマウマの縞の謎 ~解答編~

シマウマのしまはなんのため(復習)

前回のまいばいおで紹介した「シマウマの縞模様の効果」の仮説は以下のようなものでした。 i-my-mine.hatenablog.com

 
➀ 捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくするため
➁ 仲間同士を見分けるため
➂ 体温調節のため
➃ 虫除けのため   ← 今回は➃ の検証です!

 

➃ の検証

ツェツェバエは血を吸うだけでなく、病気の媒介もする虫ですので、この虫を除けることができればとても生存に有利になります。
ここで、

  • サバンナシマウマ
  • グレビーシマウマ(より縞が細かいシマウマ)
  • 黒の馬
  • 茶の馬

の、全て同じ形をした柄以外均質なボードを用意します。

そのボードの横に捕虫器を置き、しばらく置いてからどのボードに虫がどれだけ集まったか数えます。

 

結果、全身一色のものよりも縞模様の馬のボードの方がツェツェバエが捕虫されませんでした。

サバンナシマウマとグレビーシマウマの比較では、グレビーシマウマの方が捕虫される数が少ないという結果が出ました。

このデータと、実際の分布としてシマウマとツェツェバエの生息地域が地理的に重複することなどから、現在➃ の仮説は有力視されています。
ただ、どうしてツェツェバエが縞模様を避けるのかについては分かっておらず、ここから研究されていくものになります。

「生物の形態や生理的特徴には意味がある」とあっさり言いますが、実例を見てみると意外な役立ち方をする物もあるんだなぁと思いますよね。

 

シマウマのしまはどうやって作られるのだろう

さてこのシマウマの縞模様、実は遺伝子に組み込まれた設計図に基づいて作られているのではなく、

なんと「自動的に」「自然と」模様ができてしまう、ということが明らかになっています。

DNAにはどういう縞をどこに配置する、という情報は一切ないんですね。]

 

他の生物の模様も同じ仕組みを使っていると言われています。

その共通する仕組みのキーワードが「チューリング波」という「数式で表される波」です。

 

チューリングはイギリスの天才数学者で、60年前に生物の模様に関する仮説を数式で表した人物です。その数式がこちら。

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この数式は何を示しているのでしょう?

具体的に考えます。

まず、二つの物質AとBを仮定します。

Aは自身の合成を促進しつつ、Bの合成も促進する能力を持ちます。

BはAの合成を抑制する能力をもち、二つの物質はその合成量に対し影響し合います。

しかし両者は拡散速度が異なり、Aは遅くBは速いとしましょう。

すると、AとBの濃度がある特定パターンを生み出すようになるのです。

そして、その濃度に対応して細胞から色素が合成されるか否かが決まれば、模様が生まれてくるという考えです。

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この数式が実際に生物の模様における制御を表現していることを証明したのが、大阪大学の近藤滋教授です。

近藤教授は35歳のとき、タテジマキンチャクダイと呼ばれる魚を使って、縞の増え方や模様の動き方を観察し、それらがチューリングの理論通りに起こっていることを確かめました。

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成長とともに増える縞の数とそのコンピュータ・シミュレーション。
タテジマキンチャクダイ(F、生後10ヶ月の時期)のⅡの部分の模様は、成長とともにA→B→C→D→Eのように変化した。中央の部分で4本の縞がやがて5本になる。a→b→c→d→eは、そのコンピュータ・シミュレーション。本物とまったく同じパターンができている。GからI(FのⅠの部分を観察)では、2本の縞の分岐点が次第に頭の方向へ移動するのがわかる。gからiはそのシミュレーション。(B)Aから30日後、(C)50日後、(D)75日後、(E)90日後、(H)Gから2ヵ月後、(I)3ヵ月後。

 

生物と波の関係は深く、例えば生体時計なども「波」を描き出す周期的な分子の量の変化によって作られています。

なんだか神秘的だと思いませんか??

 

 

ちなみに

近藤繁教授の本はとっても面白いしおすすめです!

 「波紋と螺旋とフィボナッチ」という本なんですが、つい最近文庫本版も出ました。

波紋と螺旋とフィボナッチ (角川ソフィア文庫)

波紋と螺旋とフィボナッチ (角川ソフィア文庫)

 
波紋と螺旋とフィボナッチ

波紋と螺旋とフィボナッチ

 

 

結局教師も人間、私も人間だもの

最近はもう授業終わりラッシュで、

今年度最後の授業、なんて状況を次々に違うクラスで迎えていくような感じになっています。

ついに1年が終わるのです。

なんだかとても濃い、でも妙に駆け足で過ぎ去っていった1年だった気がします。

今までの人生でも教職を既にやってきたわけですから、同じようなサイクルのはずなのに、この高校で過ごした1年間は全然印象の違うものでした。

 

例えば、まず職員間の非常にさっぱりしている関係性に驚きました。

過干渉がなく、かといって薄情でもなく、

ちゃんと弁えている人たちで構成されている職場は本当に最初感動しました。

自分がどれだけ教材研究をやっていても、やりたいことをやっていても、

合理的な動きさえしていれば居場所があるというのは物凄く居心地よく、

同時に自分との戦いでもありました。誰に強いられることもないから、自分が強いるしかないので…

でも私はこの環境をとても気に入っています。転職してよかったな。

 

生徒の能力にも驚かされるばかりでした。

体育祭や、球技大会、文化祭…

全力の意味が自分の中で書き換えられるほどに、彼らが生み出す全力のパワーは圧倒的でした。

理解力も勿論凄まじい。質問のクオリティも高い。彼らの目は鋭く、学にはうるさいことが痛感させられました。

このような能力の高い子たちにどう接するのが正解だろう、しかも、まだ文型か理型かも決まっていないような、ここから進路・人生を決めていく人たちに?

どういう授業が求められるんだろう、

どういう試験が価値を成すだろう、と本気で考えさせられた1年でした。

皆驚くほど大きな可能性を秘め、いや、開放し、

どこまでもなんでも成し遂げられるような能力を持つ凄い存在ばかりです。

自分の常識で縛っていたら、対面していたら、輝きを失ってしまうのではないかと本気で恐れながら接していました。それは今も変わりません。

彼らが持つものが全力で発揮されるように繋げていくために、妨げずに追い風になる授業とは何かを一生懸命考えました。今も試行錯誤、自省の繰り返しです。

最初の頃は特に、こんなに高い能力の子たちに私ほどのちっぽけな存在が面して良いのかとすら思ったほどです。

自分に「教える資格」はあるか?と常に自問自答しながら、必死に勉強し続けた1年でもありました。

彼らは私の尊敬の的でもあり、厳しいJUDGEでもあり、心優しい協働者でもありました。

常に彼らに学ばされ、教えられ、

私が伝えられる何かをできる限り出して、届いてるかわからないけど訴え、

そんな日々を、授業を、部活を、1年間続けてきました。

 

生徒との対話も色々ありました。

「先生に相談したいんです。」と真剣な目で頼んできた生徒は、自分がやりたいことも、進みたい道も、見えているけれど、一歩が踏み出せない子でした。まっすぐ対話して、内に湧いている物に従って動ける足の軽さを、与えてあげられたらと思いました。

「先生から学んだものを活かしたくてしょうがないんです!」と言ってくれた生徒もいました。私の姿そのものに学びが在ると伝えてくれました。私も貴方に救われた過去があるということを伝えたら泣き出すような心優しい子でした。魅力溢れる人思いの子でした。

他にも、進路のこと、生物のこと、面白いと思ったこと、人生のこと、人付き合いのこと…沢山、沢山、数えきれない瞬間に話したことが、私の中で確実に積み重なっていて。どの場面もかけがえ無く、何かを伝えているつもりで実は教えられていました。

「人」というものが、「人生」というものが、ここから開けていく、ここから続いていくという道が、なんだかいつも垣間見えて。私は、未来と対話しているなって、なんだかそう感じさせられたものです。上手く言えないんですけど…

前の職場でもこれはそうでした。あぁ、この子は未来に生きている。未来に繋がってる。進む道が目の前に広がってるな。そういう子と対話することで、自分の身を考えさせられるのです。そんな瞬間に数多恵まれました。

 

二次試験の合格発表も、とてつもなく違う印象でした。

400人もの進路がどんどん、たった3日間足らずで決まっていくのです。

笑う子ばかりの陰に、涙を流す子もいて、でもその対比が驚くほど印象的で。笑う子しか一歩間違ったら見えないんじゃないかって思うくらい、ひっそりと彼らは涙を流していました。

受かる、が一大イベントなのは勿論ですが、その圧倒的なまでの「落ちる」という現象に、心が激しく動揺するのを感じました。

 

 

とにかく全てが、全てが印象的で…

慣れてないから、というのもあるのでしょうが、私の中では大きな爪痕を遺した1年間でした。

 

 

そんな感傷に浸りながら、今日も最後の授業のクラスがあり。

そのクラスに行くと、最初目に入ったのは教卓の上に山積みされた返却課題たちでした。

授業やれないじゃないか、と少し遺憾に感じながら、生徒が慌ててそれらをどかしてくれるのを待って、教卓に荷物を置いて、ふと教室を見上げると。

 

裏の黒板いっぱいに

「○○○○先生、1年間ありがとうございました!!」

と書いてあって、

なんだかもう、それを見て一気に何かがこみ上げて、胸がいっぱいになって苦しくなるのを感じました。

黒板の脇には、私が一年間頑張ってきた生物広報の文章が引用して書き出してあって…

それがまた余計に、ぐっと私の胸に訴えかけてくるのを感じました。

生徒たちはすごく優しい笑顔で私を見ていました。

教室の空気はすごくすごく暖かでした。今まで感じたことがないくらい、暖かさを感じた一瞬でした。

 

 

そうだね、私、

知らない内に、ちゃんと1年間君たちを見てきたんだね。やってこれたんだね。

君たちのような素晴らしい人達に、ちゃんと「先生」って認めてもらえたまま、ここまで来れたんだね。

私は、常に私に自信がなくて、

君たちの教師として適不適を自問自答するような存在だったけど、

それでも頑張って走ってきたつもりで。

それを君たちが受け入れてくれて、支えてくれて、それで、私教師でいられたんだな。

 

私こそ本当にありがとう。

 

 

自分も結局人間なんだな、って、後から冷静になって思いました。

教師って、常に生徒と対峙する上で、

強くあらねば、とか、人間を導ける存在であらねば、って気張りがちで

いつの間にか人間を離れてしまっている孤独な存在なのかもしれないな、って

ふとした時に感じることが多かったけれど…

でも、こうやって感謝して貰ったり

存在を認めてもらえた、受け入れてもらえた、って分かると

本当にこの上なく嬉しいんだもの。

単純な人間なんだ。私。教師だけど、ただの人間なんだ。

こんなこと、そうそう期待できることじゃない。ただの生物だけの担当教員なのに、お礼を伝えてもらえるなんてそうそうない。

 

だからこそ、心からありがとうと感謝したい。

高校生物学の授業のネタ探し どうやるの・・・?

今回はちょっと長いので目次をつけました。

読み飛ばしたかったら飛ばしてって。

 

まえがき

私は毎週、自分が授業に行っているクラスに対しては

生物雑学を載せた広報を配布するようにしています。

最近ブログにも転載し始めたこれです↓

 

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

 

 

これをやる意義

そもそもなんでこんなもの作って配布しているかと言うと、色々理由はあるんですが

  1. 授業で話せることには限界があるし、口上だとどうしても図がないとか、詳細データがないとか、自分が思い出せないとか生徒が追い切れないとか色々ある。なるべく詳しく、話したいことを余すところなく話すため。
  2. 教科書で学ぶ内容はあくまで素地なので、その素地を活かして色々なことが分かるんだよということを伝えるため。面白さに繋がるし、真面目に考える機会を与えれば基本知識の定着、能力向上にも繋がる。「知識の使い方」つまりは剣の振り方を教えるイメージ。
  3. 生物学は多角的視点から攻めることができるのが、面白いけれど一気には頭に入れられない。だったら色々な世界の入り口を見せるつもりで、興味との出会いの場を生徒に提供したいと考えた。
  4. 自分自身が生物学を勉強している時に、膨大過ぎてどこから何を学べばいいのか・・・とうんざりした。そんなときスッと頭に入ってきたのは、知っている人からの「こんな面白い話があってね・・・」と伝えられる非常に限定されたテーマの話だった。授業でも雑談が受けやすいのは、「唐突で脈絡ないけど一方的に与えられる面白さ」にあるのだと思う。面白いと感じてもらえたらと思って。
  5. 自分の勉強のためにも・・・知識整理したいな&深めたいなと思い。学ぶので最も良い方法は「人に教えること」なので、アウトプットをしたいと思った。

と、まぁざっとこんな感じです。言い足りない感はある。

とにかく色々加味して「まぁやってみるか!」ってノリで一年やってきました。

 

で、実際をお話すると、やっぱり難しいんですよね。

何がって、どのネタを取り上げるか、というところです。

上でも述べたように生物学、ネタの入り口がありすぎて、もう、何を取り上げればいいか分からないし

そもそも自力でうまく出会えないし

どこまでの深さで?とか考え出すと難しかったり・・・

 

割と苦心しながら今までやってきたノウハウを、誰かに活かして貰えたらなと思い、ちょっとメモしてみたいと思います。

 

1.ネタ探し ~ノウハウ~

さて、まずはネタ探しの話からしましょう。

昔、「生物学で面白い話ないかな~雑談でできるような・・・」と思って素直に「生物学 雑談」で調べたら、

こんなの求めてないぞ・・・!!と思うようなサイトばっかりヒットしました。

所謂一癖ある生物の生態の話とかばっかりなんですよね。いや、それはそれで面白いけど、そんなの全生物一匹一匹紹介していったらキリない・・・あ、それはそれでシリーズ物が作れるかもしれない???

とにかく、浅いし、偏りが激しくて、

「高校生物学の授業のこの場面で使える雑学が欲しい!」という欲求にはまぁ正直見合わない。

そして、世の中の先生達はあまり実は雑談まとめてどこかで紹介してくれてない。散在しているし、少ないし・・・

ということで、結局自分でかき集めるしかないのだなぁ。

 

私が基本的にネタを探すときには、以下の入り口を使っています。

大体ざっとこんな感じが基本です。

これらをチェックして、その中からネタになりそうな面白いものを見つけます。ネタになるかわかんなくても取り敢えず面白そうだと思ったら調べてみてもいいと思います。「あ、これ案外深く潜るじゃん?使えるな?」ってなったら使えば良いし。

本とかはかなり読みます。ネタ探すには絶対必須。本はいいぞ。

案外、「生物学だから!!」って生物の本とか生物のページばっかり見ててもネタは見つからなかったりします。サイエンス・・・と括ってもちょっと厳しい。実はとっても面白いネタは教科横断的だったりして、世界史とか、文化とか、地理とか、数学とか、物理とか、英語とか・・・そういう所にもあるんです!だから色々食べず嫌いせず食べてみないと駄目です。

(例えば血友病のネタなんかは完全に世界史と生物のコラボですよね・・・)

 

インターネットは、誤った情報が簡単に載ってるので、見極める力が必要です。嘘を発信してはいけないので、そこはかなり注意が要る。でも実は生徒はそういう嘘に踊らされたりしているので、「それは嘘なんだよ!」という主旨でネタにしても案外面白いと思う。

 

 なにをネタにするにせよ、浅滑りで上っ面な一般人が話す雑学ネタレベルでは駄目です。授業で話すなら、圧倒的論拠、データ、論理が必要ですからね。

(私は特に、面白いだけで終わらせず教育的意味も持たせたかったので、そこは譲れない要素でした)

 

ということで、ネタが見つかったら次は調べです。

 

2.ネタの深掘り

実はこっからが正念場です。

だってね、生物学深掘りすると、本当に多方面から攻めることができちゃうんですよ。

分子機構でしょ?

遺伝子発現でしょ?

物理学でしょ?

化学でしょ?

統計でしょ?

実験手法でしょ?

病気にも繋げられたりするし、逆に治療法なんかにも繋げられたりする・・・

生物生態・進化にも繋げられたりする・・・

どこまでいくんや・・・って感じですが、結論、どこまででも行けるやつは行けちゃう。すごく面白いよ、個人的には。

なので好きなところまで取り敢えず掘り下げましょう。

やり方は簡単!検索しまくる!以上!!

キーワードで検索して、ページ見て、学んで、メモして、また検索して・・・の繰り返しです。誤情報には気をつけて。

 

で、大抵これ、日本語だとすぐ行き詰まって、「え~ここが欲しいのに・・・」っていうのが無くなります。

更に日本語で論文は出てないので、裏付けやデータは全部日本語検索のうちは手に入りません。

ので、ひょいと英語で検索するのが吉。

イラストも絶対英語の方が良いもの出てきます。論文という確固たる裏付けも手に入ります。データも入ります。めちゃ深いところまで行けます。最高では!?

 

皆さん、英語をやりましょう。

私はこの過程で何本論文を読んだか分かりません。

でも本当に面白いんだよ~

 

3.まとめていく

さて、これで情報は得られたわけですが、

実際話すとなると、または記事にするとなると、制限が凄い。

どこを取り上げてどこを削るか?これは実は凄く大事で、ちゃんと考えておかないといけないものです。

こういうことせずに雑談をしようとしていこうとするとまぁ失敗します。取り敢えずやってみよう。そうすれば分かる。失敗は糧になる。

 

まとめるときはね、もうこれは主観ですよ。

自分が好きな要素がちゃんと入るように、

それでいてエンターテイメント要素が入って「へぇ~」ってなるように・・・

頑張って考えてやってみて下さい。

ただ、常に「浅くならないように」というのと、「何かに繋がるように」というのは気をつけよう、というのは心に留めています。

 

 

あとがき:取り敢えずやってみればいいんだよ

こういう偉そうなまとめ方をしてみたけど私も始めて1年ですし、

まだまだダメダメ、自分の知識不足に悩まされる毎日です・・・

でも落ち込んでばかりもいられないし、知識がないという現状は知識を得るだけでしか変えられないもんね。

日々こつこつと頑張りたいと思う所存。

自分が得た知識はここでなるべく発信していって、それこそ誰かの助けになるようにしたいな~と思う。(別の方法も模索しているけど、どういうのが一番良いのかなぁ・・・)

教材だの雑学だの、共有すれば早いのになぁ・・・皆シェアしてくれないかな・・・

 

最後はぼやきになってしまいました。

良いアイデアあったら下さいな。

まいばいお3 シマウマの縞の謎

今週も生物雑学を更新~

生物雑学広報誌、本誌の方はあと少しで100到達なんですが、100目前にしてネタに詰まるという状況を迎えております・・・

今までは知ってたこととかなんとなく出会ったものを記事にしてきたけれど、だいぶ枯渇してきたんだなぁ・・・

なんだか自分のキャパシティを示されているようできつい。

 

ちょっとこの後で「普段どうやってネタを集めるか」を記事にしてみようかなぁとか思う。うん、一回整理しよう。

 

本題。

 

シマウマのしまはなんのため

皆さんはシマウマを知っていますか?

シマウマは哺乳綱ウマ目ウマ科ウマ属、身体に白黒の縞模様を持つ動物です。

アフリカに生息する生物ですが、とても特徴的な見た目ですよね。

進化は、生物の形態や生理的特徴を、その環境で生きるのに有利にするようにはたらきかけます。

あの縞には一体どんな利点があるのでしょうか?

 

昔から「シマウマの縞模様の効果」は議論の題材として扱われてきて、その過程で仮説が幾つも作られました。

代表的なものを➀ ~➃ に示します。

 

➀ 捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくするため

シマウマが群れていると各個体の縞模様が複雑に重なり、一個体を見分けにくくなる。(巨大生物に見える?)

捕食者が狙いを定めにくくなるのではないか。

➁ 仲間同士を見分けるため

特徴的な模様なのですぐに仲間を見つけ、はぐれても群れに戻れるのに役立つのではないか。

➂ 体温調節のため

アフリカはとても暑く、サバンナは日よけの場所が少ない。

白と黒は太陽熱の吸収度合いが異なり、温度の上昇しやすさが異なるので、二つの温度が接する間に微細な空気の流れができる。

体表面で空気の流れを作ることで、体温を下げるのではないか。

➃ 虫除けのため

アフリカに生息する吸血昆虫であるツェツェバエの吸った血液を見てみると、シマウマの血はほとんど吸われていない。

縞模様が虫除けの効果を果たすのではないか。

 

さて、確からしいのはどれなのか。仮説を立てたら検証です。皆さんならどう検証しますかね。

自分だったらこうする、と考えてみながら実際の検証を読んでみてください!

 

➀ の検証

➀の検証は、2016年にMelinらによって行われました。

journals.plos.org

彼らはライオンやハイエナといった捕食者によって実際にはシマウマがどう見えているのかを知るために、ライオンやハイエナの視覚能力や特徴を反映させた加工を様々な距離や状況のシマウマ画像に対して施しました。

その結果、ヒトの視覚系では縞が様々な視覚的混乱を引き起こしますが、捕食者にはほとんど縞は捉えられておらず、他の似たような体格の動物と同じように見えているらしいことがわかったのです。

画像はその論文に掲載されている、16.4m離れた位置からシマウマを明るい時(Photopic)、薄暗い時(Mesopic)、暗い時(Scotopic)に見たイメージです。

ライオンの視点になると、縞はほぼ見えていませんね・・・。

 

➂ の検証

熱を可視化できるサーモカメラを使った結果、白と黒では温度が異なることは分かりました。

更に、シュレーリン法と呼ばれる見えない空気の動きを可視化する方法を用いた結果、黒では温度が高いために上昇気流、白では温度が低いために下降気流が発生し、白と黒の縞の間には確かに空気の微細な流れが生まれていることも観察できました。

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しかし、アフリカのサバンナは猛暑地帯で、実際の冷却効果は自然に吹く風の方が大きいらしい、ということが分かっていて、

縞模様が絶対に必要である、というわけではなさそうだと考えられています。

 

続きは次回!!

まいばいお2 運動と脳

生物学の雑学シリーズ第2弾です。

授業でも割と話すネタを、グラフ読み取り能力育成も兼ねて効果的に伝えられるように練ったつもり…

ちなみにちゃんと論文のデータ使ってます。英語読んでます。読んでるんですよこれでも。

ということで運動と脳の関係の話。

 

 

「運動は学習効率を高めるんだ!!」?

 ドラ○ン桜、なんていう超有名受験漫画を皆さんはご存知でしょうか。東京大学に挑戦するための色々な学習方法が指南されている漫画でして、中々参考になる・・・かも?

 さてさて、そんな漫画の中でも出ていたのですが、「身体を動かしながら学習すると学習効率が高まる」という勉強法が世の中でまことしやかにささやかれています。

基本こういう知識は「本当か・・・?」と疑うことが大切です。こんな疑うしかない題材、是非検証してみましょう!

 

◎ 運動が学習効率を高めるか 検証実験

準備:

  • 均質な数匹のマウス
  • 滑車のないゲージ、滑車つきのゲージ
  • 透明な足場があるプール(水を張ると足場が水と一体化し見えなくなる)

方法:

  1. 各ゲージにマウスを入れ、生活させる。
  2. マウスを準備したプールで泳がせる。
  3. マウスはプールで溺れまいと足場を求めて泳ぎ、最終的に足場にたどり着くことができる。この「泳いで足場にたどり着くまでの時間」と「泳いだ距離」を記録する。 
  4. 1~3を6日間行う。

※ 足場の位置を「学習」できると二つの値は小さくなるはず!

    

結果:

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足場に着くまでにかかった時間

 

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足場に着くまでに泳いだ距離

「Runner」は滑車つきゲージのマウス、「Control」は滑車なしゲージのマウス

 

 

 皆さん、この結果から「運動は学習効率を高めるか否か」、考察できますか・・・!?!?

「グラフを見たら縦と横」、しっかり考えてみましょう!

 

~ 考えてから・・・ ~

 

今の結果を見る限り、RunnerとControlは0日目では同じくらいの時間と距離をかけて足場にたどり着いています。

しかし、日が経つとRunnerの方がControlよりどちらも短縮されていますね。ここから、「運動した方が学習効率は高い」と推測することができます。

 

さらに、もう一つの指標として、水槽を4区画に区切り、各区画での滞在時間を表したデータもあるので見てみると・・・(これが何を意味しているか分かりますか?)。

 

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水槽を4区画に区切った時の滞在割合(足場のある区画は白バーで示されている)

 

足場の位置を記憶していれば、足場がある区画での滞在時間が長くなると考えられるので、ご覧の通り、Runnerの方が良く記憶していたと考えらます。

 

 

「運動は学習効率を高めるんだ!!(おそらく)」

私達は脳を使って学習しています。

脳の中でも、学習において特に重要なのが海馬で、ここで記憶が形成されています。

加えて、脳はニューロンという細胞から作られており、ニューロンが沢山の他ニューロンとネットワークを作る事で「思い出す」「考える」といった作業が滑らかになると考えられています。

ラットやマウスを使った実験では、ストレス負荷が少々かかる程度の運動によって

・海馬を活発にする

・脳が活発になる栄養素が多くできる

ニューロンが新たに作られる

ニューロンのネットワークが増える

などが別研究の結果から報告されています。

ここでは詳しく紹介しきれませんが(もし気になるなら研究を調べてみてください!)、運動をすることは学習効率を高めるだけでなく、免疫を強くする効果、生活リズムを改善する効果も研究結果から示唆されているんですよ。

 

運動って大切なんですね・・・!!

ナブラ演算子ゲーム

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nablagame.com

 

先日行った東京大学の生協で、

予てから噂を聞いていた「ナブラ演算子ゲーム」なるものが売っていたので

これは買うしかない!ということで買い、

実際にプレイしてみました!

 

このゲームは自分の場に基底1, x, x^2がある状態から始まり

自分の手札を使って

演算したり、基底を置いたりしながら相手の基底を削っていく&自分の基底を守っていくというゲームです。

演算によって相手の基底が

  • 0になる
  • 発散する
  • 線形従属が現れる

と、基底を消すことができます。

 

これ、めちゃくちゃ考えさせられます!

何よりまず、どう自分の基底を作れば相手に消されないか?というのを考えるし

どうやったら相手の基底を効率よく消せるか?というのも考えるし

これどう微分するんだ!?積分するんだ!?!?というのも勿論…(レベルが低い)

そして素直に面白いです!!とても盛り上がる!!!

 

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自分の手札に∫や∇やΔやxがどんどんどんどん溜まっていくのを見てげんなりしてきます…上手く使いこなせない…

もっと勉強したい!と思わせてくれる本当に素敵なゲームでした!