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【社会】訪問介護の半数が被害 ハラスメント、厚労省が初調査介護現場で働く人を対象にした厚生労働省の委託調査で、サービス利用者からセクハラや身体・精神的暴力のハラスメント被害を受けた経験がある人は、訪問介護職員の半数に上ることが二十四日、分かった。介護現場のハラスメント実態に関し厚労省が大規模な調査を実施したのは初めて。利用者の家族からの被害も17%の職員が経験しており、被害の深刻さが浮き彫りとなった。 訪問介護は女性ヘルパーが一人で利用者宅を訪ねることが多く、施設に比べ密室性が高い。人手不足で待遇改善が求められる介護現場にとってハラスメント対策は急務だ。事業者向けマニュアルを近くまとめ、厚労省は現場への周知を図る。 調査は民間シンクタンクに委託し今年二月に実施。訪問介護のほかデイサービス、施設など全国の二千百五十五事業所と職員一万百十二人が回答した。ハラスメントの類型を(1)不必要な体への接触や性的発言などのセクハラ(2)物を投げつけるといった身体的暴力(3)攻撃的な態度や大声、人格・能力の否定などの精神的暴力-に分けて集計、分析した。 回答数が二千五百三十二人と最も多かった訪問介護では、50%の職員がこれまでに利用者からハラスメントを受けていた。昨年の被害を類型別(複数回答)に見ると、精神的暴力が81%で最も多く、身体的暴力は42%、セクハラが37%。家族からのハラスメントでも精神的暴力が最多だった。 ハラスメントが発生する原因については、43%が「利用者・家族がサービスの範囲を理解していない」と答え、最も多かった。「職員の仕事の意義や価値が低くみられている」(39%)との回答もあった。 この三年間でハラスメントが増えたか減ったかを尋ねると、事業所管理者の回答は「減っている」の方が多い一方、職員側は「増えている」の方が多く、認識の違いが鮮明となった。
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