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【競馬・ボート・競輪】

[競馬]高松宮記念 福永、見事な手綱さばき! ミスターメロディ、GI制覇

2019年3月25日 紙面から

ミスターメロディで高松宮記念を制し、ガッツポーズをする福永(右)

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「第49回高松宮記念」(GI・24日・中京・芝1200メートル)は、馬場の内めの好位を追走した、単勝3番人気のミスターメロディが直線抜け出し、GI初勝利を飾った。福永祐一騎手(42)は同レース3勝目、藤原英昭調教師(53)は初勝利。好位の内を回った12番人気のセイウンコウセイが2着、中団を追走し内から伸びた17番人気のショウナンアンセムが3着に入り、3連単払い戻しが449万7470円と大波乱となった。1番人気ダノンスマッシュは4着。

 キングヘイローに捧ぐ、美しい鎮魂歌が桶狭間を包んだ。スタートを決め、好位のインで息を潜めていたミスターメロディが、まるで何かに導かれるように、あいたスペースを突いて、矢のごとく伸びた。初めてのスプリント戦で、GI初制覇を飾り、新短距離王の座に就いた。

 「やりたい競馬ができましたね。スペースがいいタイミングであいてくれて、うまく抜け出すことができた。馬を止める時、頭にキングヘイローのことがよぎりました。あの馬が他界した週に勝てたというのは、何かそういう後押しがあったかも」と福永は感慨深げに戴冠劇を振り返った。

 19日に死んだ19年前の覇者キングヘイローは、福永にとってはかけがえのない存在。デビュー3年目だった1998年のダービー。2番人気に推されていたが、経験したことのない重圧で、レース当日に高熱を出してしまう。頭が真っ白になり、逃げて14着大敗。その後も5度、同馬でGIに乗る機会を与えられたが勝つことができなかった。

 「高松宮記念を勝った時は2着馬(ディヴァインライト)に乗っていた。自分が未熟で、GIを勝たせられなかったという悔しい思いは今でも鮮明。大きな糧を与えてくれた」。あれから21年。ダービージョッキーになった福永は、大恩のある馬に手向けの勝利を贈った。

 もう一つ、福永には喜びの理由があった。「藤原(英)厩舎でGIを勝てたのはうれしい」。主戦といえる厩舎だが、まだGIは勝てずにいた。だが、区切りとなるGI10勝目を厩舎にプレゼント。いつもは厳しい藤原英師も「イメージ通りの競馬だった。100点!」と手綱さばきを称賛した。

 新星誕生をアピールしたミスターメロディは、「チェアマンズスプリントプライズ」(GI・4月28日・香港シャティン・芝1200メートル)に登録はあるが、次走は未定。「1400メートル、1600メートルも走るし、ダートも走る。世界も視野に入れて、どこか挑戦したい」と師が夢を語れば、福永は「ファインニードルが引退したし、短距離界を引っ張っていってほしい」と活躍を誓った。4歳で、未来は限りなく明るい。これから何度となく、勝利の凱歌を上げてみせる。 (黒柳勝博)

 

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