トップ > 三重 > 3月20日の記事一覧 > 記事

ここから本文

三重

進出第1号決まる 木曽岬干拓地工業用地

木曽岬干拓地への進出について協定書を交わした丹後専務(右)と加藤町長=県庁で

写真

 四十六年前に農業用干拓が完成しながら、大半が利用されずに放置されてきた木曽岬干拓地で、県が二月に分譲を始めた工業用地に、最初に進出する企業が決まった。県は干拓地の利用を加速したい考えだが、堤防の耐震化や生息する野鳥の保護など課題は多い。

 県は木曽岬町の木曽岬干拓地のうち、北部の二割程度の土地で造成を進めている。第一期として十二ヘクタールの分譲を開始し、最初の進出企業に自動車生産設備メーカー「ワード」(名古屋市港区)が決まった。一・一ヘクタールに工場と本社機能を集約し、従業員四十人が勤務する。直近の年間売上高は十四億円。

 十九日に県庁で立地協定の締結式があった。同社の丹後悠貴専務は、伊勢湾岸道へのアクセスの良さを挙げ「新規のレーザー加工機も導入して事業を拡大したい」と説明した。鈴木英敬知事は「ものづくりのど真ん中の会社に来ていただき、うれしい。これまでの木曽岬町の苦労を思うと、何としても地域活性化の起爆剤にしたい」と話した。

写真

 ただ、干拓地は水田を作るために整備されており、震災時には液状化する危険性が高い。周辺の堤防は老朽化しているが、県は耐震調査もしていない。同席した木曽岬町の加藤隆町長は「安全を守ることは一番大きい責任。堤防の耐震化やかさ上げを県などにお願いしたい」と強調した。

 今回の分譲地とは別の干拓地の南半分では、四年前に始まる予定だった環境アセスメントを実施できず、手つかずの状態が続いている。絶滅危惧種に指定されているタカ科の野鳥チュウヒの営巣が確認されているためで、日本野鳥の会三重は「木曽岬干拓地は全国的に極めて貴重なチュウヒの営巣地。これ以上開発するべきではない」と主張する。

 加藤町長は「部分的にチュウヒの保護区が設定されており、それ以外は粛々と環境アセスメントを進めてほしい」と開発への期待を強調。鈴木知事は「営巣状態を確認しながら、関係者と協議をしてアセスの在り方を検討したい」と述べるにとどめた。

 (森耕一)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索