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(名木)出来ました。
(忠彦)まんぷくヌードルのパッケージデザインや。
(萬平)ありがとう 名木君。
そして ついに…まんぷくヌードルが発売されたのです!
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(福子)加地谷さん!
(加地谷)まんぷくヌードル 食べたで。いや ありゃ うまい。
また すごいもん作ったな 立花君は。
ありがとうございます。
最初からカップに入ってるからほんまに お湯を入れるだけで食える。
しかも 具まで入ってて。
まんぷくラーメンの時もびっくりしたけどな 今度は また…。
ハハハ すまん すまん。つい興奮してしもた。
そんなふうに言うてもらえると萬平さん 大喜びしますよ。
で 立花君は 今 いくつや。
もう 60になりました。
℡ああ 60で あれを作るとはいや~ ほんまに大したもんや。
ハハハハハハ!社長 出番です。
あっ 今行く。
なあ 立花君に頑張ってくれと伝えといてや。
福ちゃんもな。
はい ありがとうございます。
大成功 おめでとう… 立花君。
(鈴)誰から電話?萬平さんの むか~しのお友達。
まんぷくヌードルは おいしいって。
そうよ おいしいのよ。そやのに どうして…。

はい 立花でございます。
℡(野呂)もしもし 福ちゃんか。 野呂です。
あっ 野呂さん!
(野呂)まんぷくヌードル うまいなあ!
麺とスープも うまいけど具も うまい。
エビも入ってて びっくりしたわ。
ありがとうございます。
℡今更ながら ええ旦那さんやな。
最初から僕の出る幕はなかったんや。
まんぷくヌードル食べながらしみじみ思たで。
野呂さんのお料理も おいしいですよ。また 今度 行かせてもらいますね。
ああ おいしい缶詰用意して待ってるわ。ハハハ。
頑張ってや 福ちゃん。
はい。
野呂さんもまんぷくヌードル おいしいって。
おいしいって言うてくれるのはうれしいけど…。
どうするの? 福子。
そんなこと 私に言われたかて…。
(岡)まんぷくヌードルの売り上げが伸びません。
当初の予想の1/3です。
1/3…。
(真一)あんなに大々的に宣伝をやっててもか。
(神部)テレビコマーシャルも一日に10回以上 流してんのに。
(森本)買うてくれたお客さんはおいしい言うてくれてるんやろ。
せやけど 売れへん。やっぱり 問題は値段でしょうか。
(岡)小売店からは 100円は高すぎると。
100円出してまんぷくヌードルを買おういう人は…。
値段は変えない。まんぷくヌードルは 100円だ。
(洋子)100円の価値はありますまんぷくヌードルには。
絶対売れます 絶対!(西野)僕も そう思いたいけど…。
(源)もし売れなかったらどうなるんですか。
(久坂)まんぷくヌードルは製造中止ですか。
そんなん嫌や!
(西野)営業部や世良さんに頑張ってもらってそうならないことを祈るしかないよ。
クソッ!
ただいま。
お帰りなさい。
源は 商品開発部の人たちと飲んで帰るって。
いろいろ鬱憤が たまってるんだろうな。
そや 加地谷さんと野呂さんから電話があったんですよ 今日。
まんぷくヌードルは すごいおいしいって。萬平さんは すごいって。
そうか…。どうしたら売れるようになるんだ。
それが見つからないと今の状況は打破できない。
萬平さん まんぷくヌードルのよさは絶対に分かってもらえます。
風呂は…。沸いてます。
ああ 先に入ってくる。
はい。
でも 発売から2週間たってもまんぷくヌードルの売り上げは伸びませんでした。
あら! まんぷくヌードル!
これ おいしいのよね!
それに とっても便利。
もう一つ買うとこ。
(昌代)せやけど 100円もするんよ。
いやいやいや 丼出したり洗たりせんでもええんやから100円出しても買う価値はありますって。
そしたら もう一つ。私は いらん。
いっぺん買うてみたらええのに~!
(咲子)ふ~ん。ほしたら 1個だけ。
もっと買うて!
はあ… どうしたら…。
僕のせいです!違う。
僕のデザインが 悪かったから…。はあ…。
やっぱり そうなんですか?
僕も まんぷくラーメンの時に同じ経験をした。
今の名木君の気持ちはよう分かる。
君が描いたデザインを 僕は ええと思た。萬平君も いいと思たから採用したんや。
(泣き声)
だから 怖いって。(泣き声)
(克子)ええものが売れるとは限らないんやね。
(タカ)お芝居かて そうやない。
こないだ見たお芝居はすごく面白かったのにお客さん 半分くらいしか入ってへんかった。 ねえ 大介。
(大介)あれは 役者が地味すぎたんや。お代わり。
まんぷくヌードルは地味やないぞ。そうよ。
せやけど 社長が100円にこだわる限りどうにもなりませんよ。
どないしたんや 茂君。君が そんなこと言うやなんて。
いや… 最初は みんなで苦労して作ったまんぷくヌードルなんやから100円の価値は当然あると思うてました。
せやけど あそこまで売れんと…。
ゴッホは 生きてる間に売れた絵は一枚だけやった。
せやけど 今 ゴッホの絵いうたら…。そこまで待てません。
萬平さんや茂さんが死んでからまんぷくヌードルが売れても意味ないやない。僕は 例え話で…。
例え話が壮大すぎるんよ お父さん。
ゴッホと比べたらまた名木君が大泣きするで。
そやな…。
(ドアが閉まる音)
(世良)何や まんぷくヌードル 客に出すんか。
(しのぶ)まんぷくラーメンの時とおんなじです。
(アキラ)ちょっとでも まんぷくヌードルの宣伝になったら ええと思てな。
いやいや 100円て店の儲け ゼロやないか。
まんぷくラーメンの時とおんなじ。
萬平さんと福ちゃんの助けになったらええんや。
儲けなんか いらん。僕らの心意気や。
あんたら 人がよすぎるわ。僕には ありえん発想やで。
せやけどなあなかなか注文が入らんねや。
え?(しのぶ)まんぷくラーメンの時はぎょうさんお客さんが食べてくれたけどまんぷくヌードルは さっぱり。何でや。
まあ 僕の想像なんやけどなまあ カップに こう 湯を注ぐだけやろ。
手抜き料理と思われてんのかな。
まんぷくラーメンの時はとりあえず 丼用意したもんね。
しかし それだけ画期的な商品やっちゅうことやで まんぷくヌードルは。
画期的 画期的てな あんま そうやって持ち上げたら あかんて。
立花君はな こう 自分が すごいもん作ったいう こう おごりがあるんや。
おごり? 萬平さんが?まさか。
(世良)せやから 値下げせんのや。
立花君は もっと謙虚に生きな あかんわ。
僕は 死んだおばあちゃんによう言われたで。
「わしが わしが」の「我」を捨てて「おかげ おかげ」の「げ」で生きよ言うてな。
ライスカレー 1つ。
あんたが それを言いますか。
おかしいわ。
何でやねん。
ゆうべ 夢枕に 咲が立ったの。
また? ええなあ。
正しくは 座ってたんやけどね。
(咲)お母さん… お母さん…。
咲…。
ああ… 咲。
(咲)体は大丈夫?
大丈夫よ。もう すっかり ようなったわ。
そやけど駄目よ。病気が治ったからって無理したら。
無理はしないけど…心配の種は尽きないわ。
まんぷくヌードルが売れないこと?
今度こそ 失敗よ。また 一文無しになるかも。 ああ…。
そんなこと心配してどうするのよ お母さん。えっ?
お母さんは あと何十年も生きるわけやないでしょう。
もう 穏やかに余生を過ごすことを考えて。よ… 余生?
お母さんももうすぐ こっちに来るんやから。
何で咲姉ちゃんがそんな不吉なこと言うの。
不吉やないわよ。本当のことやもの。
やめて。肉じゃが煮えてる お母さん。
(ドアが開く音)(幸)ただいま。
お帰り。ウフフ。 えっ!?
どうしたの そのコート!まあ!
(幸)買うたんよ アルバイト代ためて。
そんな派手なのにしなくても…。いや ほんまに派手やね~。
こんなん普通やん。 みんな着てるわ。
さっちゃんには似合わない。
ええの。 あと1年したら就職するんやから。
今のうちに大学生活を楽しまないと。
最近の若い人はみんな ああいうの着てるの?
いや~ 知りません。はあ~。
ちょうど そのころまんぷく食品に激震が走っていました。
値引きする?
(岡)まんぷくヌードルを取り扱っているスーパーや小売店は 値引きして売ると。
どこのスーパーだ?
(岡)全部です。全部!?
とにかく 89円とか79円に値下げしないと客が買わないと。
駄目だ。 値引きは許さない。せやけど 社長!
まんぷくヌードルは 100円だ。せやけど 社長もう そんなこと言うてる場合やないのでは…。
僕も そう思います。まんぷくヌードルは手軽にどこでも食べられる画期的な商品やということは間違いありませんが買うてもらわんことには お客さんはその価値に気付いてくれません。
そうです。 最初だけでも値段を下げて…。安い値段で売り出したものをまた あとから値上げできますか真一さん。
まんぷくラーメンの時のことを思い出してみて下さい。
どんどん値崩れを起こして大変なことになったじゃないですか。
神部君も 自分たちが作ったものにもっと誇りを持つんだ!
もちろん 誇りは持ってますよ!せやけど…。
もう 分からん!
分かった。 スーパーや小売店ではもう まんぷくヌードルは売らない。
えっ!売らない!?
全く新しい販売ルートを考えろ。新しい…。
100円で まんぷくヌードルを買ってくれるお客さんは 必ずいるはずだ。 必ず。


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