アクセスランキング
FC2ブログ

先人たちが目指した日本の姿。それは私達の国が常に「よろこびあふれる楽しい国(=豈国)」であり続けることです。


豊臣秀吉〜世界的大帝国に立ち向かった男

20190225 伊勢修養団研修バナー
内容の詳細とお申込みは↑をクリック↑

人気ブログランキング応援クリックこちらから。いつもありがとうございます。

平成31年度倭塾動画配信サービス受講生募集中


秀吉の朝鮮出兵については、秀吉がもうろくしていたために起こしたとか、秀吉の成長主義が引き起こした身勝手、あるいは戦いを好む戦国武士団を朝鮮に追い払って殺して数を減らすためだったとか、近年ではろくなことが言われてないようです。
なぜ秀吉は朝鮮出兵を行い、世の大名たちもこれに従ったのでしょうか。
このことを考えるためには、当時のアジア情勢を知る必要があります。


20190319 豊臣秀吉
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


この時代は、世界中に植民地を獲得したスペイン帝国が、植民地からもたらされた莫大な富によって「太陽の沈まない国」と形容されるほど富と覇権を握っていた時代です。
そしてスペインは、東アジア地域の戦略統合本郡である総督府をルソン(いまのフィリピン)に置いていました。

スペイン人が日本にやって来たのは、天文十八年(一五四九)のことです。
日本は彼らを快く迎え入れましたし、このとき来日したフランシスコ・ザビエルは、あちこちの大名に招かれました。
なかにはキリスト教の信者になった大名もいたほどです。
宣教師たちの仕事は順調に進んでいるかに思われました。

ところが日本がほかの国々と違っていたのは、彼らが持ち込んだ鉄砲という武器を、またたく間にコピーし量産してしまったことです。
気がつけば、なんと日本は鉄砲保有数で世界一になっていました。
なんとその数、当時の世界の鉄砲数の半分にあたる約五十万丁です。

これには宣教師たちも驚いた様子で、イエズス会のドン・ロドリゴ、フランシスコ会のフライ・ルイス・ソテロは、スペイン国王に
「スペイン国王陛下
 陛下を日本の君主とすることは
 望ましいことですが、
 日本は住民が多く、
 城郭も堅固で、
 軍隊の力による侵入は困難です。
 よって福音を宣伝する方策をもって、
 日本人が陛下に喜んで
 臣事するように
 仕向けるしかありません」
と報告しています。

人口なら日本より南米やインドのほうがはるかに多いし、城も日本は平城が主流ですから、アジア、ヨーロッパの城塞の方が堅牢そうです。
にもかかわらず彼らがこのように書いているのは、
「鉄砲の数が圧倒的で軍事力で日本には敵わない」
とは国王宛ての上書に書けなかったからです。

こうしてスペインは日本での布教活動に注力していきます。



『ねずさんのひとりごとメールマガジン』
登録会員募集中 ¥864(税込)/月  初月無料!


20190317 MARTH


あたりまえのことですがスペインの狙いは日本だけではありません。
お隣の明国もスペインは植民地化を狙っています。
当時のスペインは、世界最大の武力(火力)を持っていた日本に
「一緒に明国を奪わないか」
と持ちかけています。

当然日本はこの申し出を蹴っているのですが、秀吉が日本を統一した頃になると、次第に明国への対策が大きな政治課題となってきました。
なぜならスペインが明国を植民地として支配下に収めると、スペインに支配された明国兵が数の力にモノをいわせて日本に攻め込む可能性が出てきたのです。
元寇の再来です。
この脅威を取り除くには、明国との間に緩衝地帯を置くしかありません。

こうして秀吉は、文禄の役(一五九二〜一五九三)、慶長の役(一五九七〜一五九八年)と二度にわたる朝鮮出兵を行ないます。
同時に秀吉は、スペインとも果敢な政治的交渉を行っています。
何をしたかというと、スペインに対し
「臣下の礼をとれ」
と迫ったのです。

最初にこれを行ったのが、文禄の役に先立つ一年前、天正十八年(一五九一)年九月のことです。
秀吉は東亜地域の拠点、ルソンにあるスペイン総督府に「日本に入貢せよ」との国書を手渡したのです。
スペイン総督府にしてみれば腹立たしいことですが、隣国であるイギリスの国力が増し、自国の防衛を優先させなければならない当時のスペインの実情にあっては、日本に対して報復的するだけの力はありません。
すると秀吉は、その翌年に、朝鮮出兵を開始するのです。

驚いたのはスペイン総督府です。
日本が明国を征すれば、その国力たるや東アジア最大となり、スペインにとって政治的、軍事的圧力となります。
しかも海を渡って朝鮮に出兵をするということは、兵員を海上輸送する能力があるということですから、いつルソン島に日本が攻めて来てもおかしくありません。

慌てたスペイン総督府は、当時ルソンに住んでいた日本人たちを、マニラ市内のディオラ地区に、集団で強制移住させています。
これがマニラの日本人町の始まりです。

さらにスペイン総督府は、同年七月に秀吉に友好関係を樹立したいとする書信を届けて、膨大な贈り物も持参しています。
いかにスペインが日本を脅威に感じたかということです。

けれど秀吉は重ねて
「スペイン国王は、
 日本と友好関係を打ち立て、
 ルソンにあるスペイン総督府は、
 日本に臣下としての礼をとれ。
 それが嫌なら、
 日本はマニラに攻めこむぞ。
 このことをスペイン国王に
 ちゃんと伝えろ」
という書簡を渡しています。

秀吉の書簡を受け取ったフアン・コーボは、帰路、遭難してしまいます。
本当に海難事故で遭難したのか、故意に遭難したことにしたのかは、いまとなっては不明です。
けれどおそらく後者ではないかといわれています。

さらに秀吉は十月には原田喜右衛門をマニラに派遣し、確実に書簡を総督府に届けさせています。
マニラに到着した原田喜右衛門は、たまたま在マニラの中国人約二千人(明国から派遣された正規兵だったといわれています)が一斉蜂起して、スペインの総督府を襲っている現場に遭遇しました。
スペインは応戦しますが、多勢に無勢です。
これを見た原田喜右衛門は、手勢を率いてスペイン側に加勢し、瞬く間に中国兵を殲滅してしまいました。

ゴメスは特使の派遣を繰り返すことで、少しでも時間稼ぎをしようとしました。
名護屋(現、佐賀県唐津市)で秀吉と会見した特使は、スペインがいまや世界を制する大帝国であること、日本とはあくまでも「対等な」関係を築きたいと申し述べます。

普通に考えれば、世界を制する大帝国のスペイン国王が、日本という東洋の小国と「対等な関係」というだけでも、ものすごい譲歩です。
けれど秀吉は聞く耳を持ちません。
重ねてスペイン国王の日本への服従と入貢を要請しています。

この秀吉の判断は正しいものです。
なぜなら当時の世界において対等な関係というものは存在しないからです。

さて秀吉の死去にともなって慶長の役は終わりました。
「だから朝鮮出兵は秀吉の気まぐれで起きた戦争だ」というのは大きな間違いです。
この年の九月にスペイン国王のフェリペ二世が逝去し、東亜情勢は当面の危機を脱したのです。
日本は朝鮮半島を押さえる必要がなくなった。
それが半島からの撤収の理由です。

お読みいただき、ありがとうございました。

人気ブログランキング
↑ ↑
応援クリックありがとうございます。

講演や動画、記事などで有償で活用される場合は、
メールでお申し出ください。

nezu3344@gmail.com

【お知らせ】
<倭塾、倭塾ゼミ・他>
会場は都営新宿線船堀駅前にある「タワーホール船堀」です。
3月9日(土)18:30 第60回 倭塾公開講座
3月16日(土)18:30 第35回 日本文化を学ぶ倭塾ゼミ
4月13日(土)13:30 百人一首塾&新元号奉祝特別イベント ※池袋で開催です。
4月27日(土)13:30 第60回 倭塾(研修室)
5月11日(土)18:30 第37回 日本文化を学ぶ倭塾ゼミ(401会議室)
5月19日(日)13:30 第61回 倭塾(401会議室)
6月1〜2日 日心会10周年記念神話を体感する伊勢修養団研修 ※開催場所:伊勢市)
6月8日(土)18:30 第38回百人一首塾(402会議室)
6月23日(日)第62回 倭塾公開講座(307会議室)
7月6日(土)第63回 倭塾公開講座(307会議室)
7月20日(土)第39回 百人一首塾(407会議室)



動画【CGS ねずさん 古事記のセカイ】
はじめに
01-01 私達はなぜ神話を学ぶのか
01-02 古事記と日本書紀の違いとは
第一章
02-01 隠身と別天神
02-02 創生の神々と十七条憲法のただならぬ関係とは
03-01 諸命以と修理固成という重要語
03-02 見立てると成り成りて
03-03 ヒルコをめぐる三つの意味とは
03-04 神議(かむはか)り
03-05 国生みと神生み
03-06 イザナミの神避りと古代の葬祭


動画《大人のための修身入門》
01 修身教育とは
02 誠実
03 孝行
04 礼儀
05 博愛
06 公益
07 よい日本人
08 自立自営
09 我が郷土
10 人の名誉を重んじる
11 勇気
12 進取の気象
13 信義
14 国旗
15 慈善 





関連記事

コメント
No title
おはようございます。
今日も拝読させていただきました。シェアさせていただきました。
ありがとうございます。
秀吉公のこのお話は何度か読ませていただいています。
大東亜戦争終戦までの我が国は、白人社会に敢然と戦いを挑む有色人種の希望でした。
「八紘一宇」「よものうみ みなはらからと おもうよに などなみかぜの たちさわぐらむ」
いつの時代も日本人は対等の社会を目指していました。
先生から教わった多くの事が自分を変えました。劇的に!
自分は大阪なので、太閤殿下、豊臣秀吉公は大好きです。
以前の秀吉公のイメージは、決していいものではありませんでした。最近のNHK大河ドラマでも相変わらずです。しかし、先生のお話を読ませてもらってからは、本当に賢く、豪胆で、統率力があり、仲間を大切にし、しかも優しい理想的な人物に思えます。
他の戦国武将や源平時代からずっと名だたる武将が出ていますが、殆どが後世に脚色されたイメージで歴史として教えられているのではないかと思うようになりました。
最近は本当の事を知りたいと強く思うようになっています。
これからもどうぞ宜しくお願いします。
2019/03/24(日) 11:07 | URL | 岡 義雄 #-[ 編集]
豊臣秀吉公の気宇壮大なプロジェクト
学校で教わった?
記憶はありません。
秀吉さんはなぜ半島に?
豊臣秀吉公の気宇壮大なプロジェクトは「ねずブロ」の通りだろうと思っています。
秀吉さんは半島辺りで最も嫌われてる人物だそうですが、そもそも歴史の紐解きが違うのですから仕方ありません。
秀吉さんは「出兵」では無く「唐入り」と言っていた?
他の本に書いてありました。
ホントですかね?
それにしても「歴史マニア」ってウジャウジャ居ます。
「ねず説」を引き合いに出しては議論百出…どうなりますかね。
今朝も良い勉強になりました。
2019/03/24(日) 09:12 | URL | takechiyo1949 #VCU7f5e.[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
*引用・転載について
ブログ、SNS、ツイッター、動画や印刷物作成など、多数に公開するに際しては、必ず、当ブログからの転載であること、および記事のURLを付してくださいますようお願いします。
ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』

『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦

『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
最新刊
『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』

AdSense
カレンダー
02 | 2019/03 | 04
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク
このブログをリンクに追加する
リンク2
AdSense
カテゴリ
月別アーカイブ
AdSense
解析
スポンサードリンク
ねずさん(小名木善行)著書
↓最新刊↓


↓好評発売中↓








ねずさんメルマガ
ご購読は↓コチラ↓から
ねずブロメルマガ
ご寄付について
ねずブロはみなさまのご支援で成り立っています。よろしかったらカンパにご協力ください。
【ゆうちょ銀行】
記号番号 00220-4-83820
【他金融機関から】
銀行名 ゆうちょ銀行
支店名 〇二九(店番029)
種目  当座預金
口座番号 0083820
口座名義 小名木善行
【問い合わせ先】
お問い合わせはメールでお願いします。
nezu3344@gmail.com

講演のご依頼について
最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
テーマは、ご自由に設定いただいて結構です。
講演時間は90分が基準ですが、会場のご都合に合わせます。
E-mail nezu3344@gmail.com

講演テーマ
<ご参考>
古事記に学ぶ経営学
古事記に学ぶ日本の心
百人一首に学ぶ日本の心
女流歌人の素晴らしさ
日本人の誇り
その他ご相談に応じます。
検索フォーム
AdSense
関連サイト
祝日には国旗掲揚を!
御国旗セット
¥2,190

大型御国旗セット
[ステンレス製3mポール付き]
¥4,800

御国旗伸縮ポールセット【大サイズ】
¥3,000

御国旗セット L
[ マンション設置用 Lタイプ テトロン 国旗 ]

台灣民政府
台湾民政府
サンフランシスコ講和条約で、日本は台湾に関して処分権は連合国に提供しましたが、領土の割譲は行っていません。条約以降、連合国も日本も台湾の処分先を決めていません。つまり台湾はいまも日本であり、台湾にいる1500万人の戦前からいる台湾人は、日本国籍を有する日本人です。私は台湾民政府を支持します。
お薦め書籍1

日中戦争-戦争を望んだ中国 望まなかった日本


江戸の自治制


幻の黄金時代


ドキュメント自衛隊と東日本大震災

AdSense
コメントをくださる皆様へ
基本的にご意見は尊重し、削除も最低限にとどめますが、コメントは互いに尊敬と互譲の心をもってお願いします。汚い言葉遣いや他の人を揶揄するようなコメント、並びに他人への誹謗中傷にあたるコメントは、削除しますのであしからず。
最新トラックバック
AdSense
コメントをくださる皆様へのお願い
いつもたくさんのコメントをいただき、ありがとうございます。
ほんとうに皆様のコメントが、とっても嬉しく、かつありがたく拝読させていただいています。

議論というものは、すくなくともこのブログのコメント欄が、国政や地方自治、あるいは組織内の意思決定の場でなく、自由な意見交換の場であるという趣旨からすると、互いに互譲の精神を持ち、相手を尊敬する姿勢、ならびに互いに学びあうという姿勢が肝要であると存じます。

私は、相手に対する尊敬の念を持たず、互譲の精神も、相手から学ぼうとする姿勢も持ち合わせない議論は、単なる空論でしかなく、簡単に言ってしまえば、単なる揶揄、いいがかりに他ならないものであると断じます。

ましてや、自分で質問を発したものについて、それぞれお忙しい皆様が、時間を割いて丁寧にご回答くださった者に対し、見下したような論調で応対するならば、それは他のコメントされる皆様、あるいは、それをお読みになる皆様にとって、非常に不愉快極まりないものとなります。

従いまして、謙譲・互譲・感謝、そして学ぶという姿勢のない連続投稿、粘着投稿に類する投稿をされた方については、以後のコメント書き込みを、管理人である私の判断で投稿の禁止措置をとらせていただきますので、あしからずご了承ください。
エディタ・コミュニティ
edita.jp【エディタ】
amazon
通州事件の真実
通州事件を実際に体験された女性の手記です。
クリックするとテキストファイルが開きます。
https://docs.google.com/file/d/0B9Dh1-gISO9CZERHN2oxempSeEk/edit
ねずブロの拡散・転載について
当ブログの日本の心を伝えるための適法かつ前向きな拡散はおおいに歓迎です。 ただし適法な引用でないと、著作権侵害で処罰されることがありますのでご注意ください。
RSSリンクの表示
FC2ブックマーク

PING送信プラス by SEO対策

QRコード
QRコード
スポンサードリンク