映画レッドクリフ公開記念
2009年に今更「天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い」攻略

本作「天地を喰らうⅡ」は1992年にカプコンより発表されたアーケード向けのゲームである。
内容は三国志の世界を舞台にした同名の本宮ひろ志氏の漫画「天地を喰らう」を元に、
英傑達を操って敵軍を打ち破っていく格闘アクションゲームとなっている。

原作の漫画「天地を喰らう」は三国志を題材にしながら妖術や仙術が登場し、
天界の神や魔界の魔物が跋扈する一風変わった世界観で、
劉備と孔明が天女を嫁とするために天界へ行ったり、
神に認められ、力を授かった劉備が魔界で魔王と対決するなど、凄まじい展開を見せる。
その後、劉備によって滅ぼされた魔界の王は、最後の力で自らを108つの魔星と化し、
その魔星が人間界全土に飛び、108人の武将達に宿って戦乱が引き起こされてしまう……など、

天地を喰らう = 三国志演義+封神演義+水滸伝+雲にのる÷4 と言った具合である。

そして、その戦乱に終止符を打ち、世に平和をもたらすため、
孔明、関羽、張飛、趙雲を仲間とした劉備とその一行は……と、
やっと三国志らしい話になるかと思った矢先に、原作は打ち切りの呻きにあってしまった……のだが、
何故か、パソコン向けのアクションRPGや、アーケード用のアクションゲーム、
ファミコンなどの家庭用ゲーム機向けにSLG、RPGなど、色々な媒体にゲーム化されていて、
ゲーム化された天地を喰らうは、パソコン向けのもの(※)以外は概ねどれも評価が高い。
その為、ゲームの「天地を喰らう」は知っていても、原作の漫画を知らない人は結構多いだろう。

ただし、パソコン向けのRPG以外のゲーム版天地を喰らうはキャラクターだけ借りたもので、
原作の魔界や天界などは登場しないため、関連性は余りない。

魔界三国志…… 漫画をスキャンしたものをCG化している。
※ 88年にPC88とX1向けに発売されたRPG「天地を喰らう ~魔界三国志~」
酒場で袁術が「400元で仲間になってやろう」とか言ってくる愉快なRPGである。

なんと発売元はウィンキーソフト。(ちゃんと社史にも載っている)
タイトルデモでは原作漫画をそのまま取り込んだグラフィックを利用して粗筋を解説してくれる。
「天地を喰らう」原作準拠のゲームとしては唯一のものだが、それ故に評価は芳しくない。
何故かと言えば、原作準拠で考えれば魔王退治のゲームにしかならないのは明白だからである。
思い切って大幅にアレンジしたカプコンの方針は英断であった。

街の中。ここで装備を調える。 ダンジョン内部。雑魚と戦って経験値を稼ぎ、奥地のボスを倒しながら進んでいく……
中身は上から見た視点のアクションRPGである。
魔王を退治するため、主人公の劉備が街で武器防具を揃えたり、
酒場で武将を雇ったりしてから、魔王の棲むダンジョン深くへ降りていくという内容。
ダンジョンを探索して、敵のシンボルとぶつかると戦闘。
戦闘はザナドゥのような感覚の一画面内での体当たりバトルになる。
別に三国志である必要も天地を喰らうである必要も感じられない凡作である。
当時からあまり評判になっておらず、評価もされなかった。
88年と言えば、前年の87年にハイドライド3が登場、そして88年には満を持してイースⅡが登場し、
8bitPC向けアクションRPGは成熟していた時代なだけに、この程度の中身では話題にならなくても仕方がない。

なお、本攻略記事はこのゲームではなく、あくまでもカプコン版のアーケードゲーム天地を喰らうⅡなので、
その点ご注意願いたい。いずれこちらの攻略もやるかも知れないが……


それはさておき、「天地を喰らうⅡ赤壁の戦い」の話に戻るが、
本作は「Ⅱ」と記載されているように、この作品は二作目で、前作は1989年に発表(※)されている。
ゲームのシステムは前作と本作では大幅に異なっており、
本作ではシステムを一新し、同社のファイナルファイトタイプの格闘アクションゲームになった。

※ 初代「天地を喰らう」
使用できるキャラクターは劉備、関羽、張飛、趙雲の4名で、彼らが黄巾賊や董卓を打倒するまでの展開が描かれている。
システムはキャラクターが常に馬に騎乗した状態で、手前、中央、奥の三つのラインをまたいで移動しながら、
群がってくる敵を左への攻撃ボタンと右への攻撃ボタン使用して蹴散らしていくと言う、
一種のシューティングゲームにも似た独特なアクションゲームであった。
攻撃ボタンは連打すると連射攻撃の
流星剣、ため押しすると強力なオーラ攻撃の真空剣を放つことが出来て、
それぞれ攻撃を放つと「うりゃりゃりゃ~!」「でやぁ~!」などと叫ぶ声が聞けるのが熱く、
当時唯一のアーケードゲーム誌であった月刊「ゲーメスト」(現:アルカディア)誌上の読者投稿欄などでよくネタにされていた。
89年には光栄のPC向けゲームの最新作「三国志Ⅱ」が発売されてベストセラーとなっており、
前年の88年にはファミコン向けの移植作品である「三国志」も発売済で、広く三国志の名が広まっていた背景もあり、
この「天地を喰らう」は、独特の操作形態ながら、三国志の武将を操作して周囲の雑魚を次々と打ち倒しながら砦を突破し、
敵将を一騎打ちで討ち取ると言う、三国志世界を再現した爽快なアクションゲームとして好評を博した。
ある意味三国無双のルーツとも言うべき作品。
しかし、何故か家庭用ゲーム機への移植には恵まれておらず、PCエンジンCD-ROM用に移植された物があるのみ。
「天地を喰らうⅡ」の方は携帯アプリにすら移植されているというのに……
ちなみに、天地を喰らう以前にもアーケード向けの三国志関連アクションゲームとして、
「臥竜列伝」(データイースト1987年)等があるが、完成度は低く、余り評価されず、メジャーにもなれなかった。

良作だが、前作の面影はない。 個性的なキャラクター五名。
使用できるキャラクターが非常に個性的で、「パンチの様な打撃技が使えない」と言う、
この手のアクションゲームとしては前代未聞なキャラクターが存在したりと、
普通に遊ぶ分には平凡なゲームであるが、極めようと思えば、
既存のアクションゲームの常識が通用しない方法でのプレイが要求される、奥の深いゲームである。

馬はオプション扱い。馬に乗れるステージは少ない。キャラクターが小さくなった分、出現する敵が多くなった。 内蔵ぶち撒いて吹っ飛ぶ雑魚敵。キャラクターが小さい分、書き込みと演出で迫力を出している。
前作と異なり、本作では馬はあくまでオプション扱いで、基本的にキャラクターは徒歩で移動し、
ジャンプボタンとパンチボタンの二種類で敵を殴り、蹴り飛ばしていくという、
ファイナルファイトやダブルドラゴン、クライムファイターズと言った様な、
ベルトスクロール型(横スクロール)アクションゲームと言われるジャンルのゲームに変化した。

前年度に同社が発表した同じタイプのベルトスクロール型アクションゲームである、
キャプテンコマンドーは専用筐体を使用することで4人までの同時プレイが可能だったが、
この天地を喰らうⅡもそれを踏襲し、専用の筐体を使用すれば最大3人までの同時プレイが可能である。
ただ、それ故に一人一人のキャラクターはファイナルファイトなどと比べて小さくなっており、
一見すると格闘アクションとしての迫力が無くなったのだが、そこは本作独自の演出効果、
斧で攻撃した際に飛び散る鮮血や、敵将の首が飛ぶなどの残虐描写で補われて(?)いる。

ファイナルファイト型のゲームではあるのだが、本作では敵に攻撃を当てるとすぐダウンしてしまい、
パンチハメなどで一気に敵を倒すことが出来ないため、ゲームのテンポが悪く、長ったらしいと言う欠点があり、
また、システムが大幅に変更されたので、前作のファンからは「まるで別のゲームだ」と不評の声もあったのだが、
個性的なキャラクターが親しまれ、3人同時プレイのシステムなども上手く機能し、
多人数プレイで盛り上がるゲームとして、大半のプレイヤーからは好意的に受け入れられた。

ただ、92年のアーケードゲーム界は同社のストリートファイターⅡダッシュに席巻されており、
当時は「静かなブーム」と言う感じで、決して表舞台に立つようなゲームではなかったが、
急激に格闘ゲームブームが廃れていく中、この天地を喰らうⅡだけは静かに、
だが確実にゲームセンターの端っこの一角に根付き、現代に至るのである。
今なお、学校帰りの学生が多数でプレイしている様は良く見られる。

※ 余談だが、前作を含めてこのカプコンの天地を喰らうのシリーズは家庭用、
アーケード用問わず、台湾などのアジア圏では非常に人気の高かったシリーズらしく、
あちらでは無断で勝手に続編が造られていたりする。


また、ゲームの内容だけでなく、音楽も非常に臨場感があり、評価が高い。
ポニーキャニオンよりCDアルバムが発売されているが、これは現在廃盤で手に入れるのが難しいのが残念だ。

……と言う訳で、筆者にも思い出深いこのゲーム。
レトロゲームではあるが、アーケードゲームと言う事で、別枠扱いで今更ながら攻略記事を書いてみました。
未体験の人は是非一度体験してみよう。
体験済の人は腕を磨いてワンコインクリアを目指してみよう。
熟練者の人は目指せ、黄忠でノーミスクリア。

■ 2009年現在でプレイする方法 ■
天地を喰らうⅡは非常に人気の高いゲームで、特に多人数プレイで盛り上がるゲーム故、
それなりの規模のゲームセンターだと今でも稼働している場合が多く、プレイできる機会はあるはず。

ゲームセンターに無い場合は、プレイステーションかセガサターンに移植されているのでそちらでプレイしよう。
家庭用ゲーム機版はアーケード版にはない超必殺技が使えたり、
技のキャンセルが出来たりするアレンジ(裏)モードも搭載されているので、ある意味アーケード版より内容が多い。
ゲームCDの2トラック目以降は音楽データが入っているので、音楽CDの代わりにもなるのでその点もお得だ。
(ただし、プレステ版はローディングが鬱陶しく、流血の色がオレンジであったりと微妙に差がある。)

問題は、どちらもプレミアが付いていて今ではなかなか手に入らないと言う事。
プレステ版に関してはカプコンから書籍版「ゲームブックス 天地を喰らうII 赤壁の戦い」として復刻されているので、
こちらを購入すればPS互換機(初代PS、PS2、PS3)で問題なくプレイできる。
価格も2,625円とそれなりにリーズナブルなので、家庭用ゲーム機で遊びたい場合はこれがお勧めだ。


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