本編 > 第2部 > 第1章 > 第4節 青少年育成国民運動
青少年育成国民運動(以下,本節において「国民運動」という。)は,すべての国民が互いに力を合わせ,社会のあらゆる分野で青少年の健全育成のための運動を展開しようとするものである。
国民運動は,昭和40年9月に中央青少年問題協議会が行った青少年の非行対策に関する意見具申等を契機として,同年11月に,政府が国民の総力を結集した青少年健全育成のための運動を提唱したことから始められた。
国民運動を推進するため,昭和41年に(社)青少年育成国民会議が発足し,42年度末ごろまでに,全国に青少年育成都道府県民会議が結成された。また,市町村段階では現在全国の約7割において青少年育成市町村民会議が結成され,国民運動の推進が図られている。
内閣府では,国民運動の一層の推進を図るため,昭和41年度から(社)青少年育成国民会議と各都道府県に対して財政的な支援を行っている。
中央における国民運動の推進は(社)青少年育成国民会議が当たっており,内閣府では,同法人の各種事業に補助を行っている。
現在,(社)青少年育成国民会議では,青少年育成国民運動推進のため,家庭の教育力の再生を支援する地域づくりの促進,青少年の自尊感情や社会性をはぐくむ場づくりの促進,青少年の非行や問題行動の未然防止と地域環境整備の促進,青少年育成基盤や運動推進体制の充実強化についての取り組みを重点的に進めている。
平成14年度からは,現在の青少年を取り巻く状況を踏まえ,新たに,ふれあいハートコミュニティフォーラム,全国青年インターネットシンポジウム,青少年有害環境モニター事業,青少年と社会環境に関するブロック大会の開催等の諸事業を展開している。
また,平成10年8月から「大人が変われば,子どもも変わる運動」が推進されている。この運動は,今日,青少年をめぐる状況が深刻な局面を迎えており,より広がりを持った国民的な組織や関係機関・団体のネットワーク化に基づく国民運動の新たな展開が求められていることから(社)青少年育成国民会議が提唱し,推進しているものである。「子どもは社会を映す鏡」といわれるように,青少年が身近な人々や社会環境から強く影響を受けながら育っていることなどを踏まえ,「まず,親や大人が姿勢を正して,モラルの向上や地域の教育力を高めていくことが特に重要」との考え方に立って始められたものであり,内閣府では,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省とともに,この運動を後援している。
地方における国民運動は,青少年育成都道府県民会議が主体となり,都道府県青少年主管部局や(社)青少年育成国民会議と連携をとりながら,青少年育成市町村民会議の育成をはじめとする地域における国民運動の組織化とその推進に努めている。
青少年育成都道府県民会議は,国民運動の普及啓発を図るため,青少年育成国民運動推進指導員や青少年育成国民運動推進員の設置,青少年関係ボランティアの発掘・登録・紹介等を行う青少年育成センター活動,講演・発表・討論等を行う青少年育成地方大会や各種のイベントの開催,「家庭の日」等の家庭づくり事業,各種広報啓発資料の作成等,各都道府県の実情に即した幅広い事業を実施しており,内閣府ではこれらの地方事業に必要な経費の助成を行い,地方事業の推進を図っている。
内閣府では,平成10年度から,最近の青少年をめぐる諸問題への的確な対応等を図るため,国民運動の中核となって活動している地域の青少年指導者等を対象とした「青少年健全育成活性化方策研究協議会」の開催を,さらに,11年度からは,市町村レベルでの国民運動の充実を図るため,関係機関・団体等から成るネットワークを構築するための実践的な研究を行う「青少年育成国民運動実践調査研究事業」を,(社)青少年育成国民会議に委嘱して展開している。