共演のターフェルルンデ ―Buhne der Ophelia―
オフィーリアのセカイを舞台にオリジナルTRPGやるよ企画。
いつも通りと言えばいつも通りだがオリジナル特有の変わった仕様は勿論として追加点や提案もあるから改めて読んでおきなさい。
使用するダイスは12面体。
各種判定方式はドラマ式を採用。
中身は細かい判定の除外という割と思い切ったもの。
たとえばどう考えても当たり前に遂行できることを行う場合、判定を無視して物語を進ませるというもの。
具体例を交えるなら、能力者でも何でもない幼児を相手に殺しにかかった時、いちいち幼児に対する攻撃判定、幼児の防御、回避判定……そんなものが必要であろうか。
そういう無駄な部分を一切排除する。
これが能力者同士の戦闘でも同じことで、屈強な筋肉隆々男が病弱もやし女をぶん殴る……加えて能力や現場状況でどうにかなる類でもないシチュエーションにおいては回避判定無視で攻撃が成立する。
またどの程度ダメージが通るかも『基本的には』自動で決定される。
その判定基準は端的に言えばゲームマスターの独断である。
そしてかく言う独断とやらは、後述するパラメータ、シチュエーション、病能力諸々で導き出される。
伝統的なTRPGプレイヤーからは邪道であると強烈な批判を喰らうであろうシステムだ。
無論、きちっと判定が行われる場面もある。たとえば両者の力が拮抗している、技量の他に運も要求される……などという場面では必要だ。
また事前に数値を幾つ叩き出せば成功という告知もしない。ダイス振れと言ったら君らは振って、それに従ってこちらが勝手にストーリーを進める。
ということはゲームマスターの意向で好きに展開を変えられてしまうわけだな。ゆえに信頼関係が大切だ。こいつは自ら定めた基準を偽らず真摯に判定を行うと信頼してもらえなければ実行不可能なシステムだ。
口では何とでも言えるが、己は嘘偽りない判定を行うと断言する。そもそもゲームマスターの目的が、プレイヤーの活躍を見たいという類のものゆえこちらが都合良く操作する意味がない。ゲームマスターの紡ぐ物語など犬にでも喰わせておけ。
ただ、ダイス判定があまりにも少ないとTRPGしている感がないし、それならもう小説書けよと言われかねない。自分でもそう思うので、サイコロ振れる機会はなるべく用意していくつもり。
簡易的な判定の後告知はしても良いかと思っている。1足りなかったかどうか知りたかろう? 後告知が欲しいかどうか言っておいてくれれば合わせる。
だが後述するゲームシステムを読めば分かる通り、詳細な告知はできない。1足りない、足りてた程度のぼかした表現になる。
スピード感がウリではあるが、一瞬でバトルシーン等を想像し、言葉で出力しなければならんためゲームマスターの頭が死ぬ。マジで死ぬ。
まず今回、他と極端に違うところは特殊能力、スキルの概念。
能力……このセカイでは病能力と言うな。それは全員一つだけ。つまり新たに技を覚えたりしない。
基本的に応用が利かない(からこそ一蓮托生の能力を如何に“応用”するかが肝要)のが特徴。
が、能力強化の概念は存在する。それを併せて後述。
キャラクリについて。
まず初めに、平等なパラメータの割り振りを完全排除することを宣言する。
最初に全員に同じ分だけパラメータポイントなりスキルポイントなり配ってその範囲で好きにカスタムしてねというのは論外だと考えている。
天才キャラも落ちこぼれキャラも合計値は同じですなどと悪い冗談だろう。
他のゲームではより顕著だが、職業を選択するゲームの場合、特に序盤においてスキル等々の関係で学園きっての天才強キャラが弱く、落伍者と称される者が無双する光景がまま見られることとなる。
別にそのシステムを批判しようとは一切思わない。大器晩成型の職業なら遅咲きは当たり前だ。だが、現時点で天才キャラであるなら設定上既に成っているはずなのだがシステムという制約上それは適わない。
ゲームだから仕方ないと割り切るか。ゲームだからこそ拘りたいと考えるか。己は後者を取った次第。
物語の持っていき方はゲームマスターがある程度左右できても、流石にシステム面への強制干渉はできない。
以上のことから作中無敵とかいうトチ狂った設定でもない限り、大概のパラメータ設定は自由に通る。
と言うのも我が卓を囲むメンバーは、ただ強ければゲームが面白いわけではないと分かっている。何より強キャラが魅力的とは限らないことも。演じる己が演じるキャラを好きになれるとは限らないことも。
どれも分かっていると信頼している。
ゆえに考え抜かれたそのキャラは、超人だろうと負け犬だろうとウマいキャラになると承知している。
だからパラメータは任せる。
あとは、そう、これらの帳尻合わせ的なシステムとしては同じ敵を倒しても経験値取得量が全く異なる現象が発生する。
強い奴がそこそこ強い奴を何人か倒しても、その取得量は微々たるもの。
しかし、弱い奴がそこらの雑魚を倒した場合、意外と経験値を貰えたりする。
当たり前だが『経験値』だからな。身体能力に長がなく、喧嘩の経験がなければ、そこらの不良が相手でもかなりの強敵だろう。
一方身体能力に自負があったり喧嘩慣れしていたり、能力で無双できるといった場合、不良はおろか本来強敵と称される存在であってもたいした障害にならなかったりする。
つまりこの差だ。
強いキャラは成長しにくい。
弱いキャラは成長しやすい。
特に遥か格上を弱キャラが倒してしまった場合、膨大な経験値が入ることは予想に難くない。
けれど強キャラがそのクラスの敵を数体倒しても得られる経験値は微々たるもの。
またその戦闘でキャラクターとしてどのように成長したかも重要だからなりきり頑張れ頑張れ。いくらジャイアントキリング果たしても普通に運良く勝てましたじゃあ経験とは言えぬよな?
しっかし我ながらうまい具合に調整できている気がする。しかしまぁこれが現実だよな。うまいことできている、現実。
続いてパラメータの解説。
基本パラメータは以下の通り。
体力(HP)
攻撃力
防御力
敏捷力
持久力
器用
運
病能力
覚醒
だいたい読んで字の如くというやつだ。器用は手先、道具を扱う能力、銃だのナイフだのその他諸々だな。キャラによっては手先は器用だが、特定の道具を使うのは苦手とかいうこともあるかもしれないから、それも適宜設定してくれ。
知力と精神力が存在しない点が気になるかもしれない。
これは演者に完全依存すると考えている。
仮に天才キャラを作っても演じる側が馬鹿ならキャラに矛盾が生じてしまう。乖離を始め却って現実味が失せるわけだね。
精神力もまた同様。強靭な精神力の持ち主だと謳いながら、訪れる悲劇、試練にいちいちあたふたしてどうしようこうしようと慌てる様は如何なものだろう。
設定を決めるのは勿論自由。大天才、不屈の精神、大いに歓迎しよう。だが、それならばそれに準じた立ち回りが要求される。よって、パラメータとして設定はしないこととする。
諸々慣れ親しんだ者には今更だが解説しておこう。このページを簡易ルールブック的なのにするつもりだから。
体力(HP)について。
これもちょっと特殊。何が特殊かと言うと数値が大きい。ダイス判定に用いられない。
上限値は特に設けていないが平均値を100として、相当高くて200そこそこぐらい。パラメータに振った時の上昇幅も1でなく5の倍数刻み。10とか15とか。
勿論運動における体力がないという意味とは違う。持久力とは分けているからな。
生命力的な部分だな。ゴキブリ並にしぶといだとかそういう。
なおHPが減っても残りHPはいくらとかいう告知はない模様。
攻撃が通る度にどうなったかと解説入れるから、それを聞いて判断してくれ。
解説入れた後、それを受けて何かしらの台詞を喋ると、何か特典があったりなかったり。
『腹に一撃を貰った。身体中が倦怠感に包まれる。傷自体は軽傷の域を出ないが、すぐさま次の行動に移らなければ危険だ』という解説をしたとして、一時的に機動力が鈍っていることは理解できただろう。
ここで『良いパンチだ効いたよ、だがな…ここでは死ねないんだよォ!』みたいな気合入った台詞叫ぶと逆に機動力にブーストをかけられる。
ピンチはチャンスということでとりあえず取り急ぎ。ただまぁ頭がフットーしちゃったらまずい局面もあるから、使い分けようね。
ここで重大なお知らせ。
※戦闘が終わっても損傷度合いによってはHPは回復しません※
詳細は結構下で後述。
では他のパラメータについて。ここでは一旦“病能力”は例外とし、“攻撃力”、“防御力”、“敏捷力”、“持久力”、“器用”、“運”について解説する。
平均値を5として下限値0の上限値は15。0だとそのパラメータは判定に使えないだとかそういうことはない。
これらのパラメータはキャラクターのキャラ付けに重要な意味を持つ。
仮に運動神経が良いという設定で、運が滅茶苦茶良くて攻撃力普通で敏捷力も普通、防御はできないし体力も持久力もないですとか言っていると『は?』となるだろう。
しかし攻撃力を激高にして代わりに敏捷力を激低にすると、一撃必殺重戦車タイプのキャラだなとすぐに分かったりでうまく活用すればキャラの特徴も掴みやすい。
また判定にも大きく作用する。
前述したように、自他の能力差に大きな隔たりがあれば具体的な判定がすっ飛ばされてしまうし、すっ飛ばしてしまうこともできる。
戦闘以外でも同様だな。器用がウリの天才メカニックなら判定なしに機械を修理できたりもする。
際どい場面ではダイス判定が発生するが、逆に、それだけのパラメータがあるから判定に持っていけたとも考えられる。何せ下手すればサイコロ振る前から失敗扱いにされるのだから。
以下はそんな重要素が具体的にどういう効果を持つのか。
ではダイス編。
話は簡単で、パラメータを1上げる毎に、その数値*2だけダイスの目にプラスされる。
攻撃力5のキャラが攻撃時にダイスを振って10を出したなら、10+5*2で20になる。
おまけにレベル10ではクリティカルを出した時に振れるダイスがもう一個増えるという特典が、レベル15ではレベル10の特典に加えそのパラメータを使った判定では常にダイス+1個という特典が。
よく勘違いしてしまうポイントだが、“攻撃力”を強化しても“病能力”の攻撃力が上がったりはしない。そっちはきちんと“病能力”の方で振ってくれたまえ。
まぁ病能力で創った武器を自分の腕で揮う……なんて場合は攻撃力のパラメータが加算されるがそうした特殊な例は随時お報せする。
とりあえず『こういう状況になったらこのパラメータが必要になる……』とか考えずに自分の好きなキャラを創ってくれ。
つまりメタ視点の排除だ。自分がそのキャラになりきるのに、ぐだぐだゲームクリアの方法だけ考えても遣る瀬無いだろう。
人は理想通りの自分になれない。ならばせめて卓を囲む間だけはなりたい自分になれば良いと思うのだ。
リアル人生における効率云々、リスク云々、卓には存在しない。自分が好きな様に振る舞って良いのだよ。
ゆえにゆえに、ある種いつも通りだが、今回ばかりはいつも以上に、おまえはおまえ自身になれば良い。
あ、余談だがたとえば貧弱もやしキャラが攻撃力にポイントを振って強化させたりという基本設定とズレる行動取ったら小さなエピソード挟んだりする。急に運動能力上がったら不自然だからな。
今作における異能力、“病能力”は基本各人に考えてもらいたいが、要望があればこちらで考えよう。あと、例の六人レベルに強い能力はいくらなんでも弾くからな。上で言ったことと矛盾するが、流石に全能の神になりたいとか言われればこのゲームで叶えてやることはできんのでね。
また、既に考えてくれといくらか要望も来ている。この場合プレイヤー本人の気質の中で少しでも突出したものを、超増幅させて病能力者に昇華させる。
※追記:満場一致でGMが病能力を考えることになった。今回の核なり肝の要素なのに君ら本当にそれで大丈夫か。特殊能力まで自分で作れるのがオリジナルTRPGのウリだろうに。
だが、まぁ、このノリの良さは嫌いではない。むしろ大好きだ。
言わずもがな利便性、汎用性、戦闘における強弱、同じPC間ですら差別的なまでにバランスが取れなくなるだろうが、そうと弁えた上で全霊を以て病能力を発病させると約束しよう。
続いて病能力の解説。上限値は13。
病能力とは、人物のとりわけぶっ飛んだ部分が病みとして表層化したものである。
その一点においては間違いなく異常者や狂人の類であるが、だからといって全員が全員真性キチガイサイコパスというわけではない。
ポジティブに捉えればどれも強烈な個性でしかない。運動やお勉強の才能に近いと言える。
別にオリンピック選手は思考能力の総てを肉体に捧げたキチガイではないし、国語なり英語なり数学なり何かしらの教科がとてつもなく秀でている人間を、ただそれだけでキチガイと称したりもしないだろう。
『人生数学だけやっている。総てを数学に費やしている』とかいう奴ならキチガイとも言えるだろうがね。
だが数学に秀でた才があったとして、数学だけがその人間の構成単位ではないのは言わずもがな。『数学』一点だけで評価すればキチガイ扱いでも人間全体を見れば濃度は希釈され、『数学キチガイ』から『数学が滅茶苦茶できる奴』になる。
よって病能力もそれと同じ。病能力、またその由来にのみ着目すれば『とてつもない病みを持ったキチガイ』なのだが、それも含めて人間全体を見つめれば『ちょっと頭おかしいところがある奴』程度で済むこともある。
当然中にはガチキチガイキャラもいるし、そういうのを創ってくれても結構。
そしてこの病能力、己が渇望が具現化するとも限らないのが特徴。表れるのは本質。望んでいようが望んでいまいが、自覚していようが自覚していまいがとりあえず発病しちゃう。ゆえに下手すれば自分が望んでいない能力の発病も……?
この辺りもキャラ設定を考える時に重要になる。
自分が平々凡々な一般市民であると思っている無自覚な病能力者なのか。
己の本質が発現すると理解している病能力者なのか。
その他諸々。好きに設定してくれたまえ。
引き続き病能力パラメータの解説。
こちらも他のパラメータと同様に判定時に強化している分かける2だけ出目が上乗せされる。
基本初期値はステージ1《アインス》、キャラ設定によっては4とか5から始まることもある。病能力の強化に関してはステージを上げるという表現を使うと良し。
分野によっては判定に補正が付与される。
攻撃的な病能力ならば……度合いにもよるが、判定結果*1.5(端数切り上げ)の威力になったり。超攻撃的なら*2やそれ以上さえ有り得る。
攻撃に使えない(戦闘に使えないとは言っていない)病能力なら、それ以外のシーンで役立つ。
ゲームの核である部分のため、他のパラメータより基本的に重要度は高い。ぶっちゃけ病能力次第では基礎パラメータがカスでも何も問題ないぐらいに強い。
判定でも結構重要。
分かりやすく例を挙げると、最強の矛と最強の盾みたいな病能力対決になったとき、病能力のパラメータが高い方の力が優先される。
端的に、病んでいるほど強い。
もしパラメータが引き分けなら純粋なダイス判定勝負になるだろうし、それも互角なら痛み分けになるであろうきっと。
シチュエーションによっては仲間の援護、敵の数・能力、身体の状態でどうにかなったりどうにかされたりするかもしれない。
さらにさらに、ストーリーを進める上でもこのパラメータは最重要だよ。病能力によっては通常ステータスにもパラメータボーナスがかかったりするから。
病能力は使用すればした分だけ病が進行する。発動に際して感情的昂ぶりが大きければ大きいほど進行度も加速する。わざわざ病能力パラメータに振らなくともある程度は勝手に病んでくれる。
ここで挙げた感情的昂ぶりは善悪や正負の概念に囚われない。絶対値として強烈な感情を抱くことが条件だ。しかもそれが己の病能力の本質に近いほど良い。
キャラにもよるがステージが低いほど、病能力の扱いは不慣れであると考えてくれ。
パラメータ的には微々たる差だが、ストーリーパートではこの差が大きい。
最初の内は使用に大きな精神的疲労を伴うこともある。MPなどの要素は設けていないが、各々が独自に設定した精神的強度が影響力を持つ。
基本的に疲労を除いて代償はないが、病能力が代償を払って発動する類のものならそれも追加で要求される。
ある程度のステージに到達すればたいした疲労もなくなるから乱発も可能。
さて、ステージを一つ上げる毎に病は進行する。
たとえばそうさな、日常への帰還を目的とする場合、ステージ1の状態なら然程難しいことではないだろうね。常人とのズレが最小限の状態なのだから。
だがステージを上げていく毎に日常からの乖離を始める。
己の病みを自覚していなかった者は、それを自覚してしまったりね。そして自覚してしまったら今まで忌避していたはずの“ソレ”を渇望してしまったり。着実に闇は深まり病みは進行する。普通にプレイしていればプレイ終了時は大概が破綻者と化しているだろう。
無論高ステージからの日常への帰還は完全に不可能とは言っていない。キャラによっては何喰わぬ顔で溶け込むだろう。が、仮面生活は余儀なくされるだろうな。殺人衝動を持つ者は、社会で生きるために超頑張って殺しを我慢しなければならぬようにね。
いいやあるいは悟りの境地へ至るのも面白いかもしれんぞ? できるかどうかはさておきね。
大方察してはいるだろうがダブルクロスの侵蝕率のように後で下げたりできぬからな。
重々理解したろうがキャラクターの目的によっては後述の覚醒同様、強化を慎重にならざるを得ないパラメータだ。
だがしかし、いつまでもステージ1のままでは嬲り殺されてゲームオーバーも十二分に有り得る話。
日常への帰還を至上目的とする心情は察するが、それは非日常からの侵蝕に膝を折ることを意味する。日常へ帰るために非日常と戦わなければならない。しかしそれならば己もまた日常のままでは戦えない。ジレンマだな。
慣れ親しんだことだろうが、この男がGMをすると容赦なくPCをゲームオーバーにさせた上、復活もなしということがままある。
自分が本当にそのキャラクターになったと思い、自分が生き残りつつ目的を果たすにはどうするべきか……これを真剣に考えながらプレイしてもらいたい。
どうせゲームだから多少の無茶、博打をやっても大丈夫かって発想の奴ほど無価値な死を招きやすい。
ただ一つ断言できるのは、こちらから完全な無理ゲーを与えることはしない。用意するものは如何に絶望的に見えても必ず打破する方法がある。
ただし……PL側があからさまにおかしなことをした場合はそりゃあ死ぬ。自殺行為、自傷行為やそれに準ずる行為など。それは分かるよね。
たとえばそこら辺を歩いている例の六人に喧嘩吹っかけてみたり。アレらは設定上同じ街に存在している上、その辺でクレープだのパフェだの食べてたり、買い物していたりゲーセンにいたりもする。
RPGで言うところのラスボスどころか裏ボスより強い敵が、ごく普通の街やフィールドを当たり前に歩いているようなものだ。絶対に関わらないよう気をつけろと忠告しておく。君、街中でアザトース見かけても話しかけないだろう?
……それでも喧嘩吹っ掛けてみたいとかいう愚か者が現れるやもしれぬから、特別にこのページ下段にパラメータを記しておいてやる。
アレらを底知れぬ力と混沌を抱えた破滅的存在にしておきたいなら見ない方が良いし、現実的にどの程度ヤバいかを知りたいなら見れば良い。
ま、それはさておき真剣にプレイすれば、悪いことにはならぬだろうさ。それこそ命を投げ打ってでもやるべきだと大博打に出るべきだと真摯に決意し行動してもな。
神様は方向性がどうあれ、人の魂の輝きが大好きらしいからね。
あ、でも、どうせ助かるだろうから命賭けるぜとかナメた真似すると報いがあるからな。ま、そういう“キャラ”なら切り抜けられないこともないが。
覚醒。
覚醒……これは賽の目を改変する一見とんでもない能力だ。上限値は12。
全員例外なく初期値は1(無覚醒)、この状態を“ウーヌス”と呼称する。
賽の目は1~12。特に覚醒していなければ振って終わりただそれだけ。
だが一段階覚醒していれば“1”に補正がかかる。
いわゆる最低値補正というやつだ。“1”の結果は“2”に書き換わる。つまり実質“1”は消滅する。
これが二段階覚醒なら最低値は“3”となり、“1”と“2”が出た場合は“3”に書き換えられる。
では十一段覚醒……完全覚醒を果たした場合は無論、総ての賽の目が“12”となる。
そしてこれは永続パッシブスキル。習得後、回数制限など一切ないしあらゆるダイス判定に適用される。
ただし、その効果に相応しい代償も存在する。メタ的に言えば習得に結構なポイントが必要になる。
最初の内はまぁ重めかな……という程度だろうが、覚醒を重ねればその分、異常なまでに必要ポイントは膨れ上がる。
想定では覚醒振りプレイ(且つそこそこ上手いプレイ)に特化しても、“セクス”(最低値6の状態)辺りが限界ではなかろうかと思っている。
当然他のステータス強化はモロモロになるから、宿る才覚だけが突出してしまい、あらゆる意味で人からズレてしまった片手落ちというキャラになりかねん。
そしてストーリー面では覚醒の度に常人から一歩ずつ着実に遠のいていくこととなる。何せ覚醒だ。
ただ、別にキチガイコースまっしぐらというわけではないぞ。何事も予想通りにいけば人生楽だからな。あとは値によっては秘密の特典もあるかもな。
病が進行することにより人からズレるのと、覚醒することで人からズレるのとではズレの意味が異なる(大切)
ぶっちゃけ別に無理して振らなくても大丈夫な項目。……多分。
参考までにウーヌス時の1D(12)の期待値は6.5、ドゥオなら6.58、トレースなら6.75、クァットゥオルなら7、クィーンクェなら7.33、セクスなら7.75となる。
な、イメージに反して期待値にしてみれば大したことないだろう? 元々最低の状態で期待値が6.5もある上に面が多い。
ちなみに初期設定では一段階覚醒毎に最低値をダイスの最高値に書き換えるというマジモンの覚醒でした……
今回ので言うならドゥオなら1が12(クリティカル)に、トレースなら2も12になる。
却下した理由はオフィーリア世界のバトルスケールが小規模であったため。
今回のは割と王道を征くバトルモノと言うか、都市を吹き飛ばしたり、星を消し飛ばしたりしない極々小規模な異能力バトルモノでありパワーインフレについてこれない。よって断念。
特殊能力が使えるだけで身体自体はあくまで生身の一般人と変わらないという設定も尾を引いた。もうちょっと規模のデカいバトルモノだと、何故か普通の銃だの剣だのは効かない、あるいは『痛い!』程度で済む超頑丈な身体になるだろう?
それがないため、ガチ覚醒モードだと大火力の応酬になりかねない。パンチを一撃貰っただけで終わる。
その次に思いついたのは大きい数字から12に書き換える。これも覚醒毎に、11を12へ、10を12へって感じだな。
これもだいぶマイルドになったように見えるが、クリティカルが増えるってだけでヤバいのでおじゃん。
結局今のような落ち着いた仕様に。
あ、でも次回以降ハイパーパワーインフレが許されるのなら……楽しいなあ。
覚醒・病能力のパラメータが特殊扱いなのは述べた通り。
そしてこれらはシナリオ内において強制的に数値を引き上げられることもある。
大雑把な表現として、衝撃体験をしてしまえば昨日のままではいられない。それは分かるよね。
逆に元来衝撃体験であるはずなのに、覚醒だの病能力だのに事前に振った量が大きければ……それはそれでストーリー進行に影響を及ばすこととなる。
眼前で殺戮が繰り広げられて『こんなものか』という感想しか懐けなかったなど王道だろう?
クリティカル。
戦闘中、ダイスを振って12が出ればクリティカルだ。もう一回ダイスを振れるぞ。
けれどもここでまた12が出ても残念ながらもう一回は振れない。
クリティカルダイスにもパラメータと覚醒のボーナスはきっちり付与される。
完全覚醒なら総てクリティカルだ(なれるとは言っていない)
特殊処理。
詳細は後述するのだが、このゲームではプレイヤー本人とゲームマスターしか知り得ない情報というものがある。
たとえば本当は強いのに弱い振りをしているだとかそういうの。
それなのに馬鹿正直にダイス判定にパラメータを用いてしまえば、実はこいつ強いじゃないかと丸わかりである。
そのため、事前にこいつは弱い振りをしているなど言っておいてくれれば、それに合わせて仮パラメータを用意し計算に用いる。
フリをやめる時のサインや台詞もまた伝えておいてくれ。それを確認し、パラメータを本来のものへと切り替える。
その際、仲間にそれをバラしてしまう(以後正規パラメータ使用)のか、バレないように全力を発揮する(判定終了後、偽装パラメータに切り替える)のかをしっかり分けて伝えてくれ。要するにサインを二つ用意しろということだ。
ただまぁ、いずれ誰にも分かる形で全力を出し切らないと下手すれば詰む場面も出てくるであろうので偽装もほどほどに。ま、こちらの想定以上に要領が良ければ切り抜けることもできるかもだが、そこは演者次第。
どらまちっくてぃーあーるぴーじーなのでとても融通が利く。
通常処理。
パラメータに攻撃や防御があるのだから、それらをぶつけ合わせた時の計算式というものは当然ある。
が、その計算式は明かさない。数値として判定結果を明かさないのも以下の理由に基づく。
偽装パラメータから正規パラメータに切り替えた時にバレる。
システムというメタ要素を出してしまえば、どらまちっくてぃーあーるぴーじー特有の演出でカバーしきれない。
転じて、判定結果は全て口頭で述べる。
攻撃を食らった場合は『○○は攻撃を辛うじて左腕で防いだが、同時にそれは左腕を犠牲にすることも意味していた。欠損までは至らないものの、ダメージによる麻痺と激痛によりしばらく使用不能となることは誰より彼女が自覚している』
みたいな説明を入れるから、それを弁えてその後キャラを操作してくれたまえ。
ちなみに片腕を使えなくなればその他のパラメータにも影響が出る。それは分かるよね。
と言うわけで大なり小なり怪我したら普通にマズいので、HP有り余ってるだろうしとりあえず突撃するなんて真似はやめようね!
HPがあれば死ににくいだけ。生きていても動けなければ意味ないだろ! いい加減にしろ! しぇんぱい、何してんすか、やめてくださいよ本当に。部位ダメージはマズいですよ!
擦り傷、軽い切り傷なら回復したことにするが、腕が千切れるとか明らかにどうしようもない怪我を負ってしまった場合、回復しません。キャラによっては下手すりゃその場でショック死や失血死。
むしろ普通の打撲や捻挫でもすぐには回復しない。突き指さえ命取り。神風特攻型は確実に早死にする。
体力は戦闘終了後も基本回復しないものと思って戦おう! あ、ヒーラーみたいなのがいれば何とかなることもある。あくまでさっきのは自然回復の話だから。
無理ゲー? いやいや魂燃やせば全員生きてクリアできる難易度にしてあるから大丈夫。
部位攻撃。
相手のどの部位に攻撃を仕掛けたいかも指定できる。
ただし、部位によって判定難易度が変わってくる。当てやすい部位や防がれやすい部位、躱されやすい部位……まぁ殴り合いを想像すれば言いたいことは分かるだろう?
その辺りも考えながらプレイすると良し。
武器。
もし何かの間違いでJCやらJKが銃やファイティングナイフなどを手に入れた場合。
実在の銃の場合はスペックをそのまま持ってきて、TRPG用に能力値を設定する。
ナイフは形状や素材などから殺傷力を考えて設定。
厄介なのはオリジナルや改造銃だよね。なるべく設定を優先するが無茶なのはこっちで調整。
あと女子高生がデザートイーグル撃ちまくれるとか思うなよ。いや別に撃ってもいいがその先は保障しないぞ。
忘れてはいけない(戒め) 君らは変な能力使えるだけで、身体構造は凡人と何ら変わりないからな。変な能力の中でも特殊な能力でようやく身体強化があるかないかってところだ。
ついでにゲームの世界だと忘れがちになるが、銃って発砲したら音が出るからな。人を殺せば死体が出来上がるからな。目撃者がいれば通報されるからな。舞台は現代日本だからな。これが仮に銃社会のアメリカでも銃乱射したらどうなるか考えたまえよ。
ターン制。
特になし。
十連撃できることもあれば、十連撃されるかもしれない。
考えながら動こう。どらまちっくなので相手の病能力見る前に仕留めることもできるかもな。
先手必勝で脳天かち割るのも悪くない。でもかち割られないように。
一応各種パラメータは活きてくる。ダイスを振る以前の基礎的な部分だな。
ドジでノロマな奴が開幕敵の背後取って一撃必殺などまずできないだろう? ワープしたり意識の死角に入り込む能力があるとかならともかくね。
パラメータ解説等々はひとまずおしまい。
各レベルアップにどれだけ経験値量が必要かは具体的に決めていないし、その時々によって大きなバラつきが生まれるのだが、
初めは『覚醒>得意なステータス>病能力>苦手なステータス』の順番に必要習得値が大きい予定。
苦手、得意の定義が若干アレだが、『苦手だが好きな分野』って場合だといくらか緩和される。『得意だが嫌いな分野』だと能力を高める気が起きないだろうし、必要量も増える。
あと、苦手なものでも最初は伸ばしやすいだろうし途中まではちょっと楽。それ以降は鬼。
アレだ、テストの点数を0点から10点にするのと、90点から100点にする難易度は遥かに異なるだろう?
苦手でも最初の10点はまぁ楽な方だが、以降加速度的に難易度は上がるだろう。また得意分野でも90点を100点にするのは存外キツい。よって習得は重くなりやすい。
まぁキャラによって微調整入れていくから物語的にも事前に計画立てておくよりその場その場で考えるのが良い。
キャラクターの特徴。
作成したキャラクターは絵を描くなり3Dモデルを用意するなり、ネットの海に転がっている、パーツを組み合わせてキャラクターを作れるツールなどを使ってそこそこしっかり視覚で分かるように容姿の設定をしておいてくれ。
普通のTRPGより妄想力が必要とされるゆえ、これはかなり重要。特にゲームマスターには多大な妄想力が要求される。
言葉で自分のキャラはどんな容姿だとか説明をするのも大変だし、想像するのも大変。そして絶対に両者で外見のイメージにズレが生まれる。
それを最小限に抑えたいがための要求。脳内の妄想キャラをそのまま具現化するのはプロ絵師でもないと無理だろうから、どうしてもズレが生じるのは百も承知。
ついでに性格等もしっかりと。特徴的な癖等もあれば言っておいてくれ。
最後にシチュエーションフリーで、三つ四つほどキャラクターを象徴するような台詞を入れておきたまえ。ラスボス戦前を想定とか妄想全開で良いから。
ストーリーについて。
舞台は現代日本。現実通りそのまんまをイメージしてくれ。武器は普通のお店には売っていないぞ。
PCは全員同じ学校の学生でスタート。中高一貫校を採用するから中一~高三までいける。留年含めて考えると12~20歳ぐらいまでいけるのかね。
『ある日突然変な能力使えるようになっちゃった』……これが物語の始まり。神の力で何やかんやして皆を引き合わせる。
もう悟っただろうが、エンディングは自分で決めてね系。自由気侭好き勝手に動いて良し。みんなで協力して魔王斃すゾ~みたいなのはない。しても良いけど。
まぁ敵はこっちで送り込むがそいつを殺すなり奴隷にするなりは任せる。送り込んでもない奴に喧嘩を売るのもOK。モブに手を出すのもOK。一般人いっぱい殺して経験値稼ぐぜ的な? 色々フリーダム。
でもこの辺り処理をミスると国家権力敵に回して偉いことになるので気をつけろ。
敵は基本的には病能力者。上記のような行動によっては一般人も敵に回る。
あと次の説明は結構重要。
敵はキャラクリによって創る。つまり、ゲームマスターが操作するPCそのものと考えてもらって構わない。
各種パラメータも病能力も各PLが創り使った場合と何ら変わりなく、ボス特有の派手なステータスがあったりもしない。
つまり……だ。なまじ君らにと同格なだけに敵の強さが不明なのだ。強そうに見えて雑魚いかもしれないし、雑魚そうに見えて強いかもしれないし、想像通りかもしれないし。
ストーリー進行に合わせて段々強くなっていたりという気の利いたことも起こらない。現実世界と同じように考えてくれたまえ。
当然俺の特技と苦手分野と病能力はこれだーなんていちいち解説する敵は相当稀だろうし、しても本当かどうかなんて分かるはずがない。
頭が痛くなるかも知れぬが、推理や駆け引きも重要なのだよ。読心等の一部の能力が使えぬ限り、そもそも眼前の存在が敵か味方かただの頭おかしい奴なのかも分からないのだから。
また無理ゲーを課さないとは前述したが、だからと言って勝てるとも保障していない。引き際を弁えることも肝要。勿論ヒントはしっかり与えていくから。
軽く前述したが、病能力含めた初期パラメータはゲームマスターと本人だけが知るようにしておいてくれ。
PC1の詳細を知っているのはPL1とGMのみということだ。PC2以降も同様。
つまり、PC間での自己紹介も全て自称に過ぎない。言っていることは本当かもしれないし嘘かもしれない。
PC1とPC2は昔からの友達だって設定を作るのも良いが、PC全員が全員お友達とは限らないだろう。初対面の奴もいるだろうし、そいつのパラメータを初対面から知り尽くしているっていうのはおかしな話だろう?
いいや古くからの友人同士とてその能力や内面を偽っていない保障はない。相手に合わせるためにあえて出来損ないの振りをしてきたのかもしれない。
当然最近発病した病能力をどう伝えるかも自由だ。
今更な話だが、PC同士はみんな仲良しなんだあとかいう変な幻想は抱いていないよな。
このゲームでは『あのキャラの主義主張は受け容れられないが、パーティメンバーだから嫌でも協力しなきゃ』みたいな縛りは一切ないからね。メタ要素でキャラの人格を書き換えちゃいかんでしょ。
良いか。PCは何をしても良い。PCは……NPCにもモブにも敵にもPCにも、何をしても良い。ん? 今何でもしろって言ったよね。
さあ各々、己の望む己だけのエンディングに向かって突き進むのだ!
補足。
ここに書いていないことも不都合があればその都度柔軟に対応するからどんどん物申せ。
個人的に現段階から弄りたいところは、ダメージを受けた時、怪我の状態を言葉で表現することで残HPを示唆するようにしたい。これは、アレだな、今どれだけ怪我してたっけとプレイ中に忘れかねないと思う。
特に仲間の怪我の状態の把握などキツいだろう。連携の時に問題が出てくるだろうし、良い感じの改善策を見出したい。
今考えているのは人体の絵を全員に配って、怪我したところに色鉛筆で×マークをつける。黒>赤>黄>緑で重症度を表示。黒は欠損部位、切断など最早肉体に存在していない状態。
で、残HP量は頭の上にでも括弧を作って、三段階に分ける。レッドゾーン(残り30%以下)、イエローゾーン(残り60%以下)、グリーンゾーン(残り60%以上)って感じで。
このゾーンが変動すればゲームマスターから告知を入れる。
で、それを互いに見ながら自分がどう動くかと考えてくれ。
敵にも同じものを用意するぞ。
……っていうのを想定している。もし何かアイデアがあれば言ってくれ。
あと、そう、もし序盤で腕とか失っても諦めないように。その程度で詰んだりはしないから。ましてやプレイヤーを早々脱落させる趣味もない。
選択と行動の結果と言えばそうなるが、ループモノじゃあるまいし試行錯誤はできぬ。ゆえに一発目から最適解のみを選んでいけなどとはとてもとても。こちらはゲームクリアさせる気満々なのは理解しておいてくれたまえ。
そしてこれまでに記したことは総て基本例であり、キャラやシチュエーションによって特殊なケースは確実に出てくる。勿論総て臨機応変に対応する。
あとはゲームマスターの気紛れっぽいイベントが発動することもある。ゾロ目チャレンジとか。ダイスを二個振ってゾロ目が出れば良いことある的な。
他にはこちらが誰か一人を適当に指名して、ダイスを振ってルート分岐を決定してもらうこともある。分かりやすい例を挙げれば、敵Aと敵B、どっちが襲撃してくるかみたいなね。
物語的に複数の可能性が有り得て尚且つプレイヤーの意志で何とかなるものではない受動的なルート分岐がこのダイス振り。
さてこれからどうしよう……みたいなタイミングで発動しやすい。
まとめ。
TRPGとしては本当邪道だから覚悟のこと。と言うかこれをTRPGと宣うのは恥ずかしい。
もっときっちりしたの作りたいなと思わんこともないが、それだとキャラクターの想いや覚悟もダイス任せになってしまい、運が悪いただそれだけで総てが無為に帰すのはいささか心苦しい。
あんまりTRPGに向いていない性格なんだよなぁ……好きなんだけどね。一度(始めた頃の初心に)切り替えていく。かもしれぬ。
王道を征くゲームマスター、求む。
ああ疲れた。酷いルールブックだなこれ。ルールブックの体を成していない。自分達だけに分かれば良いから多少はね?
あ、そうだ(唐突) 気に入ったPCが出てきたら、小説本編にも出たけりゃ出させてやるよ(震え声) と言うか勝手に出す。
と言うわけで今回も魅せてくれよ。
いつかの、アレだ。
『こんな運命を、仕打ちを、仕組んだ奴がいる。今も見下して嗤っている……! 素敵だ魅せろ踊ってくれよ虫ケラ共と! そんな神は、戯けた塵は私が殺す。降りて来い、ゲームマスター気取りの木偶の神が! 今すぐ貴様を磔にして奈落の底まで沈めてくれる!』
と吼えて、あろうことかGMをPCに仕立て上げた奴がいたな。
本人はちょっとした黒歴史と言っているが、こちらはアレには身が震えたよ。感動すら覚えた。
そう、ゲームマスターの役割を担ったPC……PC0とでも称そうか。そうした裏設定は確かに作ってあったのだ。
が、所詮は裏設定。実質はただのゲームマスター。明かされることもなく終わると信じていたがゆえに度肝を抜かれた。
勿論設定を見抜いたわけではなかろうし、演技の枠を超えた本物の怒りと、その場のノリが多分に占めていたのだろうがそれが真実を引き出した。
アレは良かった。実に実に良かった。動画撮影でもしておくのだったと掛け値なしに思う程に良いものであった。
ただし今回はそうした神は存在しないので、ゲームマスターを殺そうとすることはできないと断っておく。
と言うか今後も無理だと思う。流石に毎回ゲームマスター殺すという流れになれば、あの感動に泥を塗る行為であり、つまらん。
そして神はそれを知っているがために、情け容赦無い全滅エンドを与え失意のゲームオーバー一直線だ。
だから良くも悪くもあれっきりだ。
いやそもそも毎回ゲームマスター殺すナイフでメッタ刺しにして殺すと言われる身にもなってくれ。百万回殺害予告される奴の気持ちがよく分かる。同情はしないが。
ふむ……過去のセッションを思い返せばいくつかは台詞や細かいところを弄れば一つの作品になるような出来のものもあり、君らの底力というものを思い知らされる。
セッションを小説や漫画にしてみましたーって奴も中にはいるのかねぇ。
以下ラスボスより圧倒的に強い怖いもの達のパラメータ。閲覧注意?
金髪女(病能力補正アリ)
体力(HP):250
攻撃力:15
防御力:15
敏捷力:15
持久力:15
器用:15
運:13
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:混沌性支配症候群《シンドローム;インペラトール》
一度でも対象に流血判定が通れば、ダメージの大小に関わらず対象を完全支配できる。同時支配の数は無制限。
また、支配した者の病能力を自分のステージに高めて(効果が滅茶苦茶強力になる)無制限に、かつ同時に行使可能な上、知識や経験、技量も己のものとして習得できる。
加えて支配した者の数が多ければ多いほどパラメータに補正がかかる。
同時に支配された側もあらゆる能力が強化される。
所持している病能力の数はたくさん。
この少女一人を敵に回すということは、すなわち軍団を敵に回すに等しい。
銀髪女
体力(HP):230
攻撃力:6
防御力:3
敏捷力:6
持久力:8
器用:4
運:6
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:狂乱性破壊症候群《シンドローム;インテゲル》
身体の周囲に破壊膜を構成し、それに触れたものを破壊する。
物質の強度に関係なく瞬時に破壊(消滅)するため装甲に意味は無い。
大きい建物等に対しては全破壊できないが、穴を空けることはできる。核シェルターだろうと障子に突っ込む感覚で余裕で素通りできる。
また、この少女に対する殴りや蹴りは言うまでもなく、しかけたその部位あるいは身体全体が弾け飛ぶか消し飛ぶ。銃弾や毒ガスなども触れた瞬間から破壊するため通用しない。
地面を破壊する反動などで擬似的な高速移動が可能。
短い棒きれ程度なら破壊膜を張れるのでリーチを伸ばせる。
自動発動型。不意打ちで攻撃を喰らっても発動する。
灰髪女
体力(HP):200
攻撃力:2
防御力:3
敏捷力:2
持久力:1
器用:13
運:7
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:鬱屈性創造症候群《シンドローム;デウス》
都合の良い物質の創造。それは物理法則に囚われない。
触れたら死ぬ物質を散布したり、物理攻撃を無効化する盾を展開したり、病能力を無効にする結界を創造したり。
触れたら死ぬ物質に自分が触れたら死ぬということはない。自分に牙を向く効果は自分にのみ完全無効化。
物理法則下に存在しない性質同士を組み合わせて使うことはできない。たとえば物理と病能力を同時に無効化する結界など。それぞれ単独の性質として生み出す必要がある。
だが地球上に当たり前に存在する物質で構成されたものなら、設計図、あるいは完成形を想像すれば創造できる。この少女は天才なので余裕。
機械兵団を造り出したり、B.O.W.みたいなクリーチャー群を産み出したりね。そいつらは任意操作も、行動をプログラムして自律活動させることも、状況に応じて切り替えることも可能。ついでにいつでも瞬時に消滅させられる。
触れたら死ぬ光線を放つマシンガンをそいつらに持たせたりもできる。
例の如く自動発動……とは残念ながらいかないが、常時周囲に何かしら張り巡らしてるっぽい。結局……実質常時発動型。
黒髪女
体力(HP):220
攻撃力:3
防御力:3
敏捷力:6
持久力:3
器用:8
運:15
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:運命性閉塞症候群《シンドローム;アーレア》
事象改変の域に達しそうなまでの運勢支配。常時自動発動型。
自分含めた対象のダイス判定を自由に操作できる。
自分はオール12で、相手はオール1にできるという具合に。
また、この際の覚醒値は無視され問答無用で判定値を1にされる。
パラメータ上昇分についてはかける2の判定を抹消し、等倍になる。5*2=10だったものが、5*1=5になるということ。そこにダイス判定の1を加える。
相手の運パラメータも減算して書き換えられる。加算はできない。対峙すれば問答無用で運が0になると考えれば良い。
もっと危険なのが、この少女に敵対してしまえばヘリコプターが墜落してきたり、地面に埋まっていた不発弾が炸裂したり、流れ弾に脳天ぶち抜かれたり、転んだ先に長釘がありそれが心臓に突き刺さって死ぬというような常識の枠に収まりつつもヤバい事象が次々と襲ってくる。
敵対者が超級の実力者でもない限り、突っ立っている、座っている、寝ている……何にせよ、その場から一切身動きをせず相手が勝手に死ぬことで自動的に勝利できる病能力。
紫髪女(病能力補正アリ)
体力(HP):240
攻撃力:15
防御力:15
敏捷力:15
持久力:15
器用:15
運:10
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:冒涜性略奪症候群《シンドローム;ディアボルス》
対象からあらゆるものを奪う。
発動条件は存在を知覚した対象、または一定範囲内の人間総てに自動発動。さらに一度発動すれば解除するまで距離を無視して永続発動。相手が宇宙に逃げても持続する。
凡人相手なら数秒で総てを、病能力者などの特異な存在でも並の相手なら十秒もあれば事足りる。
ただし対象が同格ならば奪い取る力は非常に弱くなる。自動奪取のみの使用なら完全奪取まで十五分はかかると見て良い。が、直接触れたら略奪速度を一気に高めることができるプラス触れた部位、その周辺は問答無用で持って行ける。
あらゆるものは文字通りあらゆるもので、病能力、各種パラメータは無論のこと心、感情や記憶、視力聴力等の五感、血液や内臓含めた身体の部位、本人すら気付いていない才能、血統、その他諸々好きなだけ奪い取れる。そしてその数に人数も含め制限はない。
抜群に汎用性に優れており、必要部位を奪い取っていれば指紋認証や網膜認証のみならず、血液、DNA識別すらクリアできるようになる。
奪うということは自分の上限値を書き換えられるということで、現パラメータのほとんどは大勢の人間から奪い取ってきた努力や才能の上限値で構成されている。ただし病能力、覚醒、器用さは持ち前の才能。パラメータ外では知力や精神力も自前のもの。
そもそもこの少女は他者から奪わなくとも多岐に渡る分野で一流以上の才能を有している。俗に、万能の天才と言われるソレだ。ゆえに彼女はほとんどのケースにおいて他者の才能ではなく努力を奪い取っていると言える。結果だけを掠め取る。実に合理的だ。
別に奪い取ったからといって必ず上書きしなければならない道理はなく、奪うだけ奪ってそのままポイも可能。攻撃力が現在15であるのに、5を奪えば5に塗り替わるなど本末転倒だろう?
あとはそう、持っているだけで自分にマイナスの効果を及ぼす病能力もあるかもしれぬしね。まさに好き放題。能力名に恥じぬ悪魔の様なチカラだ。
これも重要。厳密には概念を奪っているため、たとえばこの少女の左腕が千切れたとしても誰かの左腕を奪えば、そいつの左腕が生えるのではなく、自分の左腕が復活する。
臓器や血液などの奪取も当然可能、骨折すればその部位の骨を奪い取れば回復できる。体力を疲労しても体力を奪い取れば回復。
既に数人の病能力者から病能力を奪い取っている模様。
危機に際し自動発動。また条件も設定可能。たとえばこの少女に害意を持った時点でアウトにもできる。
紫髪男
体力(HP):260
攻撃力:10
防御力:8
敏捷力:7
持久力:3
器用:15
運:2
病能力:13(ドライツェーン)
覚醒:11(ウーンデキム)
病能力名:不変性回帰症候群《シンドローム;ゼロ》
時間を戻し対象の行動を無効化する。自分を対象にすることもできる。
この男に攻撃した、この男を殺した、この男から逃げた、病能力を使った、その他諸々のあらゆる行動、一切の制限なく無効化可能。
唯一なかったことにできないのは思考や感情。
この複雑な能力を分かりやすく考えるには、対象の時間を隔離すると考えれば良い。厳密には異なるが説明はこれが早い。
現実世界にある病能力の対象者は、そこから一歩も動けなくなる。逃亡、反撃、自害、あらゆる行動ができず棒立ちとなる。
隔離された方の時間では動き放題。
だがそこで仮にこの少年を殺そうと、その時点で“実際には何もしていなかった”自分に意識が戻る。
棒立ちだったと気付き、そこで反撃や逃亡を行う。それは可能だ。
が、それらを完遂した後もやはり一瞬にして元の位置に戻り、自分が何もしていなかったことを悟る。
如何な行動を取ろうが、最後には何もできず棒立ちしている自分に立ち返る。
その間にも現実世界の時間は進んでいるため、一歩ずつ近づいてくる少年を知覚できる。
そこから攻撃を仕掛け、彼の首を跳ねる。が、己は本当は何もしておらず、少年は一歩足を進めている。目覚めの度に近づいてくる死神。
術中に嵌った時点で環の中に囚われ脱出は不可能。当人の感覚としては幻覚を見ている気分だろう。
病能力の発動条件は少年が対象の存在を知覚すること。
もう一つ、この病能力もご多分に漏れず自動発動する。
つまり、少年を遥か遠方からスナイプして殺したとしても、その時点で能力が自動発動し、この男は五体満足。一方攻撃した者は環に囚われる。
寝込みを襲おうが無駄。仮に瀕死の意識不明重体であっても病能力は自動発動する。要するにこの男が死なない限りこの男を殺せない。
同時に少年は意識の外から攻撃されたことを知覚できる。『今私を殺した奴がいたな』という具合に。
病能力が発動し、相手を回帰の環の中に閉じ込めれば対象者は様々な行動を何度も繰り返して足掻くだろう。
少年はその足掻きを総て認識できる。自分を攻撃した。自分から逃げた。耐え切れなくなって自害した。そうした多くの繰り返しを一つ残らず把握できる。
そのためどの時点で相手を棒立ち状態に戻すかも選択可能。わざわざ殴られたり殺されるのを待つ必要はない。
いやそもそも、病能力抜きでも殺すこと自体がかなりの難関。
時を戻せば万事解決するゆえに攻撃を避けることもせずやられっ放しでいるイメージがあるかもしれないが、実際かなりプライドが高い、且つ死に拘りがあるので素直に殺されることはない。
頭に銃弾を受けても脳に到達する前に回帰し喰らったフリをする程度。
病能力を除いた素の戦闘能力も見た目からは想像できないほどに高い上、この現代日本で遠慮無く改造済み銃火器やナイフまで持ち出してくる。
病能力を行使すれば己の体力消費をなかったことにできるため、得意の短期決戦で貧弱極まる持久力もカバーできる。
病能力抜きで病能力者を屠ることさえさして難しくなく、澄まし顔でやってのけるだろう。尤もこれは少年だけの専売特許でなく、素の戦闘能力が高い金の少女、紫の少女でも充分可能。
以上の説明からは分かりにくかったかもしれないが、やはり厳密には時間を戻している。
使用者にとっては時戻し、対象者にとっては幻覚、第三者から見れば片方が棒立ちしているといったように視点によって能力の性質が異なる。
時間停止と遡行を足して割ったような能力。
同時に能力に嵌められる人数に制限はない。よって万人で襲いかかろうが等しく全員止まる。襲いかかった事実すらなかったことになるのだから。そんな事実があったことを理解できるのは当事者のみ。
また、少年が回帰の病能力に嵌められた者を殺したとして、それを再度回帰させることで殺した事実がなくなり、無限に殺すことができる。
するしないは別としても拷問にかなり有効な能力で、身体をじっくりねっとり破壊し切断し粉砕し尽くし殺しても、病能力を発動すれば対象者は己が“本当は何もされておらず”棒立ちしていたことに気付く。
記憶や思いが残るということは、当然繰り返された痛み、またこれより繰り返される痛みも理解できるということで、何度も幾度も様々な拷問を行える。目を潰して戻して、耳を潰して戻して、口を潰して戻して……当然可能。
救いは能力を解除されるか、真に殺されることでしか訪れない。
TRPG的にはドラマパート、戦闘シーン、ダイス判定、総て等しく例外なく無効化して停止させる。
仮に病能力を無効にする病能力を発病した者がいたとしても、無効にした過程を無効にする。後出しジャンケンの極み。
まず能力系統が無効化系であり、自分の意志と関係なく常時発動しており、且つ任意で消すことのできない能力……一種の常時暴走状態ならワンチャン……? 普通の暴走、覚醒は駄目だよ。無効。“始め《ゼロ》”からというのが重要。
最大の弱点は同格の存在。これらに対しての病能力使用は疲れる。
以上。画像は制服バージョンで仕立て上げた。似合っているような似合っていないような……
紫髪男は面倒臭い能力だからいつものことながら説明がクッソ長くなる。単純な時間停止とか時間遡行だと数行で終わるのだが……。
逆に他の面子は一目でとても分かりやすいチーターだと分かってもらえたことと思う。
そんな連中に喧嘩売りたい奴は好きにどうぞ。
まぁこれだとPLできないわけだな。やれやれと言われてもやらない……やれない理由がこれだ。
愛用キャラは紫男だが、こんなの持ち込んだ時点で大概のゲームは崩壊するわ。いや仮に女キャラ使うにしても崩壊するけども。
プレイヤーキャラとしては勿論、ラスボスや裏ボスに回しても扱いきれないとか何なんですかね……負けたらゲームオーバーのイベントバトルというやつか。これは酷い。その一言に尽きる。
しかもこいつらもう一段階ではなくもう二段階以上覚醒の余地を残しているのだとさ。カンスト突破が当たり前の世界。
ここだけの話、病能力の上限を13にしたのは単純に数字が格好良いから。覚醒が12止めなのは、条理を超越した先に13の位階があるというのが格好良いと思ったから。そのために12面ダイスになった。
いやぁしかしそれでもたまにはプレイヤーをやってみたくなるが、色んな意味で厨臭いキャラしか作れないし演じれないのがねぇ。
普通の厨二キャラとか実際のところよく分からんのだよね。そりゃあ沢山見てきたし書いたりもしたが、機械的に理解しているだけであって、心情として理解できん。ゆえに演じ切れない。
多分悩んだり挫けたりうだうだしない奴が好きなのだろうな。だから厨二キャラがよくやる逡巡、葛藤などを毛ほども格好良いとは思わん。また理解もできん。
だがたとえ悩み迷うことがあろうとも、結局やることは端から決めてしまっている。如何に苦しく辛く挫けそうな選択であり、毎夜心身共に泣き叫ぶことがあろうとも結局はしっかりと行動に移す。そういうのは嫌いじゃない。
同様に矛盾を抱えていようがああそれで? 己は己だ知ったことではないと開き直っているような馬鹿には好感を持てる。まぁそう思う自分が何より馬鹿だから自然な成り行きかね。
そんなこんなで新キャラ作ろうにも結局バランス壊しかねんようなキャラしか作れんなぁ。演じ切るという意味でも。
ただ、ちょっと前に悪ふざけか冗談か、それとも嫌がらせか……紫男×五人の中の誰かとできた子供を演じるなんてどうと言われて一瞬考えてしまったのがもやもやする。
確かにその条件ならキャラクター性はクリアできるだろう。息子にしておけば口調、気持ちの面でもクリアできる。
能力においても潜在力はバランスブレイカーそのものだが実験を兼ね、力を封じ凡人より優秀程度に抑えられていると考えればなるほど制御も可能だ。
では同じように能力封じられた彼奴らでプレイすればいいんじゃ……? と思ったかもしれないが、設定上こいつらは窮地に追い詰められたらその分だけ絶対に覚醒するから、封じたところで意味がない。気合と根性で封印ぶち破る。
こいつら斃すにはこいつらの誰か連れて来いみたいなね。ではその内の誰かをラスボスにして帳尻を合わせる? それも不可だ。そんなことをしてしまえば周囲は敵も味方も全滅し、残った者らが己が愛を(力で)語り合うだけの独壇場だ。
話は逸れたがどう足掻いても奴らはレギュラーキャラとしては手に余り過ぎる。作中でも言わせていることだが、『私が登場した物語はその時点で茶番と化す。ゆえに引っ込んでいるのだよ分かりたまえ』ってことだな。
で、子供という発想か……その柔軟さ自体は悪くない評価しよう。
こんなにも愛し合っているのならそうした概念に行き着くであろうという考えも当然の帰結だな。理解はしよう。
だが、なぁ……そもそもこいつらの愛の質が一般のそれとは大きく異なっているし……端的に恋後愛というプロセスではないということだが……
女の方はやれることは全部やるということで男に牙を剥かんこともなさそう……というのを想像して全力で男に同情した逃げろ頼む逃げてくれ。
くそ、女共はあくまで遊びの延長でと考えそうだ。チッ、そうした発想が全くなかった。くそ、文字からは伝わらんだろうが今痛恨の想いをしている。
いやしかし女はともかく男の方に機能が備わっていないならどうしようもない……ぐぬぬ、色んな物質創造して薬創れる奴がいるじゃないか……最悪互いのDNAから人工精子と人工卵を作って容器の中で交配させることも可能だろう……
ちょっと待てピンチだこれ。設定的にありえるという結論に達した。
男は全身全霊全力で拒否するだろうが、女の方がなァ……
こういう場面ではやはり女の方が冷徹なのか。
まず男の方はこういう考えだろう。
『この感情が何なのか……未だ以て表現することは能わぬが……仮にソレを愛とするならば、私は君らを愛しているし、君らも私を愛してくれているのだろう。であればそこで世界は完結している。息子、娘、何だそれは全くくだらん。我が血と君らの血が身に流れている? ああそうだろう。所詮それだけの創作物に過ぎん。私が愛しているのはあくまで君らであり、そこから繋がる血に一切興味はない価値もない。未来に繋ぐ。後の世代に託す――そのような世迷い言はまさか言うまいよ。我らは我らにして完結する。その他の些事など委細知ったことではない。同時にだからと言って、我らの血を穢して良い理由にもならん。矛盾してるようだが如何な愚物であろうと我ら二人の血が体内を巡っているただそれだけで最上の創作物と言えるだろう。その上で、愛す理由にもならぬ。なぜなら贋作《それ》は血を共にするだけの赤の他人だ。ゆえに結論、子など要らぬし創ったところで互いの存在を貶めるだけだよ。冷静になりたまえ、そもそも私はその手の機能を有していない。詰みだな。いいやどうしても子が欲しいなら私がフラスコで創ってやろう。心配は要らん血など私のものだけで充分だ。気に入るまで幾度と無く創り直せば良い。塵ならば文字通り掃いて捨てるほどに。さぁどうするね』
回りくどいが筋は通っている。要するに私とおまえで構成される宇宙に子供《いぶつ》など必要ないという論だ。愛の考え方についてもまさに停止の具現だ。未来に繋ぐ意志が欠片もありはしない。
なぜなら今とは過去に出会った彼女たちであり、未来を共に生きる彼女たちだからだ。そこに過不足は一切がない。その徹底した情念は、長い時間を生きるのだから戯れに子供でも作り育ててみるかという発想すら沸き起こさせない。
では女の考え方はどうか。全員差異はあれど根本は似たような考え方だろうから口調的に書きやすい金髪に代弁させようか。他の奴らはもっと感情的だから話が横道に逸れまくって収集つかなくなりそうだし。
『私は貴兄を愛している。貴兄も私を愛している。いや、この場に至って二人で完結するという論こそ無粋か。言い直そう。我らは皆愛し合っているのだろうよ。若輩の私にははっきりと言い切れないのが口惜しいが、おそらくはこの感情こそがそれなのだろう――だからこそ、やれることは総てやってみたいではないか。端的に、支配したいのだよ。私をくれてやる代わりにおまえを寄越せという論理は実に正しい。ゆえに貴兄は感情的だ。何を気遣う必要がある? 元々実験とやらが大好きなタチだと思っていたのだが、それはこちらの勘違いかな? 人として最上級の存在である我々、その子が如何な存在になるのか。興味は尽きぬものだと思うよ。少なくとも私はそう思うし彼女らもそうだろう。そして貴兄は男で、私達は女。そこにも何の問題はない。言うまでもなく誰でも良いというわけではないぞ。貴兄だからこそ手篭めにしたいと思った。生涯唯一貴兄だけだよ。…ふむ、やはり心配をしているのだな。優生学というものは必ずしも結果を出さない。優等種の誕生確率を引き上げることはできよう。が、低確率の方を運悪く引いてしまえば凡夫に等しい愚物が出来上がると。それに我らの血が流れている。許せないと憤る気持ちは理解しよう。だが所詮は児戯だよ。長い人生《たびじ》の寄り道に過ぎない。使えぬなら棄てれば良し、せめてもの情けに殺しても良い。子《ソレ》には我々の血が? いいや違うだろう? 貴兄が『私達』のみを愛すると謳い上げるなら、それを貫けば良いのだよ。創造物《こども》は、『私達』ではないだろう? ならば血が混じっていようが宝にしても良いし塵にしても良い。どちらであれ等しく二人の付属品だ。我らが最期を迎える時に、走馬灯の一場面にああいうモノもいたなと思い出せれば上等だ。その程度の認識で良くはないだろうか。なぁほら、そういうところが貴兄らしくないと私は思うよ。たとえば二人一緒に料理を作って成功すれば食す。失敗すればそのまま捨てる。これはただ、それが大掛かりになっただけのものではないか? まぁ尤も、個人的にはそのように生まれてきた哀しい生き物、愛でてやりたいと思うがな。何より貴兄の子だ。出来損ないであれ愛しいだろうさ。何よりどれだけ私達が愛し合った果ての副産物であろうと、二人の間には決して割って入れないなどあまりにも哀れだ。憐憫し、救ってやらねばなるまいよ。無論、私なりの流儀でな』
書いていて頭が痛くなった。これが対話形式ならいったい文庫本何十ページを使っていたのか……いやほぼ確実に戦闘へ至る流れだから文庫本半分レベルか。笑えねぇ。
他の少女を使ったとしても……下僕以外は戦闘確実か。いいや下僕も絶対服従であるがゆえに、“主に牙を剥く気概がある”。
主の望みを叶えるのが至上目的であるなら、当の主は下僕の自由意志を望んでいる。つまり、“主の望みを叶えるために、主の望みを破壊すべく牙を剥く”……なにこれ格好良い。反して争点がクッソくだらないのが残念過ぎる……。
バトルと言えば一番書きたいのが妹殿のバトル。まぁバトルと言うかゲームと言うかショーと言うかジェノサイドと言うか……とりあえずそれだ。
他の連中は格下を相手にする際、ろくに魅せ場を作らないからなぁ。
かの妹殿の兄殿は即殺か、見所がある奴なら散々おちょくってキレさせて絶望させた後、それでも映える奴ならばそのまま気絶させるか、加えておかしなチカラ(呪い)を押し付けて嘲笑と共に消えるとかそういう系。僕と(無断)契約して魔法少女になっ(た)てよ系。旧世界と何も変わっていない……
金髪殿は初手は相手の哀れみポイントを観察するために攻撃はしないが、哀れみポイントを発見し次第『汝《うぬ》は哀れだ救ってやろう』『素晴らしい勇気と気概だ。賞賛に値する。しかしそれだけの想いを以てしても私には一片も届かない。ああ哀れだな。救ってやろう』『良き力だ。その才能、努力、加えて決意。どれも胸を張って良い、誇るがいい。なのにどうして私には一切通用しない足元にも及ばない。実に哀れましい。救われるがいい』とか言いながら問答無用で支配(死配)する。支配する価値もないより哀れな奴は生きていても残念だから殺す。他人を想っているようで完全自己中。実際感情的な哀れみは欠片も持っていない。『そんなもんは救いにならねぇ!』とか吼えても『決して勝てぬと知りながら己の意志で屈服することすらできない……哀しいな有象無象。解き放ってやろう』とか言ってやっぱり支配。虫の息で喘ぎ苦しむならいっそ殺してやるべきだという考えにも近いかもしれない。そうだ殺してくれと言う奴もいれば、苦しくとも生きられる限り生き続けたい生かしてくれと言う者もいる。彼女は後者に対して『死ねばそんなことも思わなくて良い。生きねばならぬと苦しむこともなかろう』と言って涼し気な顔で殺しちゃう感じ。相手の意志なんかお構いなし。そしてそこに善意も悪意もないのがまたポイント。
灰髪殿は有象無象は即殺。希少性がありそうな対象にはまず観察を。簡単な攻撃を加えたり、攻撃をさせたり(完全防御しつつ)して相手を測った後、やはり塵だと分かればその場で廃棄。使えると分かれば実験サンプルに。もうバトルじゃなくサイエンス。
下僕殿はトップクラスに悪質。相手のコンプレックスやトラウマ、矛盾を言葉でネチネチ嘲ったり論破しながら責めつつ、相手の大切なモノを状況に合わせて適度に奪い取り憤怒、絶望させ、それを楽しむ。そのような精神面を叩き潰すことのみならず、肉体への拷問も欠かさない。ほとんどの読者にはこれの主以上に嫌われるだろう。まぁ陵辱(性的ではない)とか好きな奴には好かれるかもしれないが。
黒髪殿はアレだな。本人が何もせずとも勝っちゃうからバトルとは何ぞや状態になりやすいが、直々に絶望させてやりたいと思った対象には例の下僕同様に精神面、肉体面への拷問を科す。能力の性質上、また口調や言い回しの関係上、下僕より精神攻めは劣るが肉体面への攻めは下僕のそれと違い、原始的で逆に痛々しく感じる。日本刀よりも錆びた鋸が好きなタイプ。砂を掴んで動けない相手の目に押し付けてグリグリやったり、針金を爪と指の間に入れてグリグリやって爪を剥がしたり、下僕少女の拷問スタイルがスマートな拷問とすれば、この少女はダーティーな拷問スタイル。精神面と肉体面とで役割分担すればすごい(小学生並の感想)
で、要の妹殿は脳筋かつアハハとか哄笑しながら皆殺しパーティーみたいなビジョンが浮かぶかもしれないが、実際は……ってことでこれはいつか書きたい。多分書いていて一番楽しい。可愛いし。他の奴らはほら、呪い撒き散らかして能力者を量産したり、支配(死配)してお助け完了したり、生物実験したり、例の二人に至っては延々と拷問シーン書くだけとか散々なことになるから。……まぁ下僕のやる精神攻めは面白いかもしれんが。よく喋るキャラだからノリノリで書ける。よく喋るキャラほどガチウザいと言われるのはご愛嬌。
……閑話休題。また悪癖が出た。大きく話が逸れた。
そう、彼と彼女、どちらも非常に感情的で論理的だな。まさしく彼ららしい。内容が内容でなければ実に微笑ましいのだが……
読んだ者は分かると思うが、いっつもぐだぐだ長ったらしい話をしている男の方が話している量が少ない。つまり……男の方がかなり押されている。
私が愛しているのは君達だけという論が真実であればあるほど、女側の主張を後押ししてしまう結果となってしまう。なぜならほら、できた子は『君達』ではないのだから。
その上で、君達の血を穢したくないから拒否するという主張だ。
実は自分の血にはさして拘っていない。旧世界時代には自分の血から娘も作っていたしな。ホムンクルスちゃんだ。そこそこ良いキャラしていただろう。
自分は超強いが自分は出向けない。かと言って代役を探すのも骨が折れる。あ、じゃあ自分の血使えば良いというアレだ。
強く、さりとて物語を破綻させず登場人物と成り得るモノを創るならそうするのが実に合理的だ。
そんなこんなで自分の血は割と好き放題使っている。
一方女側は諸々知ったことではない。女特有の妙なところで妙にドライな物の考え方だ。
要らぬなら棄てれば良いのだから創っても問題ない。……この設定で書いて本出したら、色んな団体や読者からぶっ叩かれそうだな。
金色は哀れだから愛してやりたいと言っていたが、これは子供だから愛してやりたいってわけじゃなく、世の中の人間みんな哀れだと考えている本人の気質から。
おまえの子だから愛してやりたいという旨も述べていたが、これもそのまんま。別に自分の子だからというわけではない。奴の子だから愛しいだろうという発想で、自分の子だという執着がない。
しかしホムンクルスは望むところではないというその真意は。……これもう分かんねぇなぁ……おまえどう? ガチな話なのだが、作者なのにキャラが何考えているのか分からん。こういう事態はよく発生する。
哀れむ。愛す。とはよく言っていることだが本人も自覚しての通り、はっきりと感情を理解できていない。
実は感情面において酷く幼いのがこの少女(見た目も本来はロリなのだが……)。達観しているように見えるのは、知らないがゆえに淡々と考え、述べられるだけ。心だけが子供のまま、精神と知能その他諸々が大人になってしまったというか(あ、身体も子供のままでしたね一応歳も)。が、その分愛(哀)に覚醒したら滅茶苦茶アツいし、格好良いのだがなぁ……上の文章だとただの痛い奴にしか見えん……いやいや本当だからな断言する。あのヴァルプルギスより格好良いから。ただ、身内の前ではついはっちゃけちゃうのでカリスマが下がっちゃう的な。……いつかきっちり書かんとなァ。
……うーん……別の設定思いつくなりして防ぎたいが、マズいな……嘯かれた妄言を改めて真剣に考えてみるとこんなことになってしまうとは……こいつらに恋愛感情とかないからとへらへら調子に乗っている場合ではなかった。
どいつもこいつも独占欲が非常に強いから一人言い出したら少年にとって全員が敵に回る。あろうことか他の奴が自分のモノを使って特別なことをしようとしている赦せない――何だそりゃ(困惑)
しかし都合が良いと言えば良いよなぁ……TRPGのPC作りには。
私生児《バスタルト》っていうのもまた一つの王道だよな。しかも両親が共に最上の人類種など。勇者でも魔王でもどちらにもなれるぞ。
メタ視点で父親は一択だとして、母親が誰かを推理させるのとかも面白そう。盤外の楽しみ。その場合外見的特徴が難儀するがね。
髪の色は紫で良いとして、瞳の色をどうするか。流石に瞳の色まで父のを継がせると芸がないよな。かと言ってそれ以外にすると即母親特定できるし……やるなら黒だの白だの灰だのに統一かね。ハイライトは……どうしよう。髪型も気をつけないとな。
って、なにやる方針で進めている。我が代替を裏切ってはいかんな……でもこうなってはアイツが逃げ切れるビジョンが浮かばぬしな……嗚呼、騒動の嵐に呑まれ喰われる少年に心からの同情を。胃が捩じ切れそうな心情なのだろうなぁ……
こっちの具合までおかしくなってきたので保留で。これはSAN値チェック入っちゃう壊れるなぁ……