孤立招く韓国の対北朝鮮政策
2回目の米朝首脳会談が決裂して以降、米朝間の仲裁者役を自任してきた文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、米国や国連をはじめとする国際社会から「警告メッセージ」が相次いでいる。しかし、韓国政府は今後も対北朝鮮経済協力と仲裁者役を続ける考えにこだわっており、そうなれば米国と対立する形になり、外交的に孤立すると懸念の声が上がっている。
米政府・民間のあちこちから「韓国政府は率先して対北朝鮮制裁協調態勢を崩そうとしている」との不満が聞こえてきている。米政府がはっきり反対しているのにもかかわらず、韓国政府は開城工業団地・金剛山観光事業の再開を推進する意向を曲げないということだ。外交消息筋は「文在寅政権の外交政策が国際的に議論の対象になっている。米朝間の空転が続けば続くほど、こうした声はいっそう強まるだろう」と語った。米紙ワシントン・ポストは15日(現地時間)、「ハノイ会談決裂後、仲裁者としての文大統領の信頼性は危機にひんしている(on the line)」という見出しの記事で、「文大統領の『中立的仲裁者(neutral intermediary)』としての信頼性はほとんど疑われてこなかった。(しかし)ハノイ会談が決裂し、韓国指導者の統治の中心軸である北朝鮮との和解局面は破られた」と書いた。
同紙はまた、韓米の対北朝鮮専門家の話として、「最近の北朝鮮の妥協のない行動は、文大統領の仲裁能力の限界を部分的に反映している」と述べた。特に野党・自由韓国党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表が12日、文大統領のことを「(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)の首席報道官」に例えたことについて、「このような攻撃は韓国国内の政敵だけでなく、米ワシントンや国連からも出てきている」と報じた。
米国務省は先日、「2018国別人権報告書」を出した際、「韓国政府は脱北者の北朝鮮に対する批判活動を減らそうとしている」と指摘した。ワシントン・ポストは「人権派弁護士だった文大統領は平和定着のため北朝鮮の悲惨な人権を軽視したことを理由に強い批判に直面した」と書いた。国連もこのほど北朝鮮の開城に設けられた南北連絡事務所に石油類が提供されたことに対して制裁違反の可能性を指摘した。さらに、文大統領と金正恩委員長が平壌で乗ったベンツを制裁対象に指定し、韓国大統領府警護室に質問状を送っている。外交消息筋は「韓米協力が弱まると文在寅政権の外交的影響力が下がり、ややもすれば孤立状態に陥る恐れもある」と懸念している。