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【野球】

17K奥川、相手の逆突くプロ並み投球術 履正社のドラフト候補もパニック状態に

2019年3月24日 紙面から

星稜-履正社 試合終了時にガッツポーズをする星稜・奥川(坂部計介撮影)

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 平成最後のセンバツが、圧巻の奪三振ショーで幕を開けた。第3試合では星稜(石川)が履正社(大阪)との優勝候補対決に3-0で快勝。今秋ドラフト1位候補の奥川恭伸投手(3年)が毎回の17奪三振で完封し、早くもスカウト陣からは称賛の声が相次いだ。延長11回の激闘となった開幕試合では、市和歌山が呉(広島)に3-2でサヨナラ勝ち。第2試合の高松商は、香川卓摩投手(3年)の今大会の完封一番乗りとなる好投で、春日部共栄(埼玉)に8-0で快勝した。

 「大会ナンバーワン」の称号にふさわしい、圧巻の投球を披露した。星稜の奥川が自己最速を1キロ更新する151キロをマークするなど、強打の履正社を3安打完封。甲子園初完投を毎回、自己最多の17奪三振で飾った。「きょうは三振を狙いにいった。甲子園で力を出せたのは初めてです」。涼しい表情で、130球の完封劇を自画自賛した。

 直球狙いと見れば変化球でタイミングをずらし、変化球を狙われたら直球で押す。まるで、プロの投手を見ているかのような投球術だった。1回、先頭の桃谷への4球目に、いきなり151キロを計測。それでも「駆け引きを大事にしたい」と戦前のイメージ通りにスライダー、フォーク、カーブを制球良く織り交ぜた。外野に打球が飛んだのは3、9回の右前打2本だけ。履正社打線を完全に混乱に陥れた。

 プロ注目の4番・井上に対しても完勝した。4回の第2打席は直球で攻め、完全に読みを外して振り遅れの三振。7回の第3打席は107キロのカーブを見せた後に、クイックで144キロの直球をズドン。最後はスライダーで見逃し三振に仕留めた。

 「逆を突いた、いい球だった。押し引きができた」と奥川が胸を張れば、林和成監督(43)も「井上君はパニックになっていた」と配球を絶賛。最大のピンチだった9回1死一、三塁でも井上を投ゴロ併殺に打ち取り、締めくくった。

 組み合わせ抽選会直前の13日の練習後、林監督が「優勝候補と言われてプレッシャーを感じている者はいるか?」とナインに尋ねた。その時、唯一、手を上げたのが奥川だった。履正社との初戦に「緊張でばくばくだった」と笑ったが、難敵を乗り越えても浮かれることはない。「これで満足してはいけない。気を抜くことがあってはならない」。石川県勢初となる甲子園制覇を目指し、次戦も思い切り腕を振る。 (麻生和男)

 強打の履正社が手も足も出なかった。今秋ドラフト候補の4番・井上は2三振。9回1死一、三塁の好機で回ってきた打席は投ゴロ併殺で最後の打者となった。「マシンの球と奥川君のボールではキレが違う」と脱帽。岡田監督は「高校生のレベルを超えている。(元大阪桐蔭の阪神・藤浪と比較しても)完成度の高さはナンバーワンだと思う。いい経験をさせてもらった」と完敗を認めた。

 ▽中日・米村チーフスカウト「言うことがないほど素晴らしい。ベース板の上の球の強さは、今年の高校生の右投手では一番ではないか。1位指名も十分ありうる」

 ▽DeNA・吉田スカウト部長「コントロールがいい。春にこれだけ投げられれば大したもの。しいていえば、大瀬良みたいなタイプか」

 ▽巨人・長谷川スカウト部長「直球も高めに浮かない。スライダーもいい。プロのブルペンで投げていても見劣りしないんじゃないか」

 ▽ヤクルト・橿渕(かしぶち)スカウトグループデスク「ひと冬越えてスケールが大きくなった。完成度も高い。球種も多くて先発タイプ」

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