中学生の頃、俺は陸上部の長距離ランナーだった。

3,000mが得意だった。

中学の陸上の大会では一番長い距離だ。

レースの走り始め、俺は大体真ん中から後ろの方のグループにいる。

先頭グループはトラックの半周は先にいて、全然追いつけそうもない。

俺はペースを変えない。

先頭グループはどんどん後ろに下がる。

初速が良くてもスタミナが持たない、ペース配分を考え無いからだ。

一人、また一人と抜いていく内に、大会ではいつも大体一番かニ番だ。

ごめん、盛った。

いつも出る大会に俺よりも早い別の中学の奴がいて、そいつの事は最後までとうとう抜かせなかった。

自分の中学だけならレースの最初から最後までぶっちぎりだったんだけど。

その後の実際の人生もそんな感じだ。

デザイナーとしての俺のキャリアのスタートは最悪だった。

しかし地道に力をつけ、チャンスをつかみ、雇われの商業デザイナーとしては全国的な仕事をして十分に結果を残せた。俺の若さで、会社員として最後にやった規模のディレクションをしている奴、俺は俺以外に知らない。

有名な仕事をしている奴はいる、でも俺は本人からかSNSで紹介されないとその仕事を見る事すらない。広告の雑誌なんて読まない、自分たちで自分たちをヨイショして愚の骨頂だ、馬鹿馬鹿しい。見向きもされなかった悔しさの裏返しだけど。

俺の仕事は何処にでもあって誰にでも見れるものだ。

これから表現でもそれをやっていく。

ずっと音楽を続けていた奴、創作活動を続けていた奴、全員寝てたんじゃないかと思わせるくらいゴボウ抜きだ。

昔の、長距離レースのように。

てかもう抜いてる。

活動を再開して1年も経ってないのに。

アイツら、本当に寝てたんじゃないか......?