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学生服メーカー「LGBT」配慮 岡山県内各社が要望反映へ模索

LGBTに配慮した学生服。ファスナー式で男女共通のデザインにした
LGBTに配慮した学生服。ファスナー式で男女共通のデザインにした
トンボが提案するブレザーの一例。ボタンと穴を両側に配置することで「右前」「左前」を自由に選べるようにしている
トンボが提案するブレザーの一例。ボタンと穴を両側に配置することで「右前」「左前」を自由に選べるようにしている
ズボンに合わせやすいよう、女子のジャケットの着丈を長めにした明石スクールユニフォームカンパニーのデザイン案
ズボンに合わせやすいよう、女子のジャケットの着丈を長めにした明石スクールユニフォームカンパニーのデザイン案
 マネキンが着ているブレザーはファスナー式。「男性の右前」「女性の左前」といった衣料の性差をなくそうと作られた学生服だ。

 デザインは男女共通で、ズボンを採用した。開発した菅公学生服(岡山市北区駅元町)の尾崎茂社長は「メーカーとして、全ての子どもたちが心身とも快適に過ごせる制服を提供したい」と話す。

 学生服製造で全国シェアの約7割を占める岡山県。LGBT(性的少数者)への配慮という新たな課題に、メーカー各社の模索が始まっている。

 

多様性認める環境を―共通型や女子ズボン提案

 
 菅公学生服は2016年の展示会で「ボーダーレスユニホーム」を発表した。提案するのは、男女共通の型を使ったブレザーやシャツ、女子ズボンなど。性に加え、体形や宗教の多様性も考慮しているのが特徴で、体のラインを目立たなくしたり、肌の露出を抑えたりといった工夫を施している。

 同社は女子ズボンを20年以上も前から扱ってきた。当初の狙いは寒さ対策で、北海道や東北を中心に全国約400の高校、約200の中学校で採用されている。だが、ここ数年はLGBTへの配慮を理由に導入する例が見られるようになったという。

 文部科学省は15年、LGBTの児童生徒の学校生活にきめ細かく対応するよう通知を出した。配慮は徐々に広がりつつあり、東京都世田谷区や中野区では今春から、全区立中で男女関係なくズボンとスカートを選べるようになる。関西や中京エリアで営業を担当する吉川淳稔・第1学校推進部長は「大阪府内の中学校制服のモデルチェンジでも、提案条件に必ずと言っていいほど『LGBTへの対応』が挙がる」と話す。

 トンボ(同厚生町)も16年の展示会から「ジェンダーレス制服」を提案する。関西の公立中高から相談があったのを機に開発をスタート。18年にはLGBTの当事者団体の代表とアドバイザー契約を結び、意見を設計に落とし込んでいる。

 現在は男女共通デザインのジャケットやベスト、ネクタイ、女子ズボンなどを展開。展示会では専用ブースを設け、納入例を紹介する。同社は「学校に合った制服を取り入れられるよう選択肢を増やしている」という。

 明石スクールユニフォームカンパニー(倉敷市児島田の口)は17年に「レインボーサポート」と名付けたプロジェクトを開始。当事者団体が開く講座で学んだ社員を各支店に配置するなど、要望に応じた制服を提供できる態勢を整えている。同社は「展示会などを通じて啓発活動にも取り組み、多様性が認められる環境を整えていきたい」とする。

(2019年03月22日 23時35分 更新)

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