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【大相撲】

貴景勝、昇進へ「押して勝つのが相撲の極意」

2019年3月23日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 イチロー選手の引退で日本中は大変な騒ぎである。今、府立体育館の相撲場も負けずに盛り上がっている。

 2敗組の碧山と琴奨菊が敗れて優勝争いから脱落した。1敗の逸ノ城は御嶽海と対戦。このところ御嶽海が5連勝と相性の良さを見せている。私は今場所に限り、このデータは当てにならないと予想した。結果は逸ノ城が立ち合い左から張って右でかち上げた。まるで白鵬のようだ。これで御嶽海のあごが上がり、上体が伸びた。慌てて頭を下げたところ、逸ノ城は大きなうちわのような手で上からはたき落とした。逸ノ城にしては実に良く考えた一番である。勝ち込むとやることなすこと全てうまくいくものだ。しっかり1敗を死守し白鵬を追う。連日、不気味だの気持ち悪いだの顔が怖いと書き立ててごめんなさい。本当は、気は優しくてよく見るといい顔をしているんです。ぜひ応援してやってください。何しろ残る2日間は逸ノ城だけが頼りなのだから。頑張れ、逸ノ城。

 結びは白鵬の水も漏らさぬ寄りと攻めの速さ。好調を誇る豪栄道は場内の声援もむなしく、完全に封じられて敗れた。悲願の優勝は夢と消えた。やはり豪栄道が優勝するには下の者に星を落としては絶対に駄目だ。白鵬が崩れたときだけがチャンスというのも情けない話だが、実際のところ白鵬が万全で出場した場合はチャンスが巡ってこないのが現実である。

 と言っても、まだ優勝は決まったわけではない。14日目の高安の頑張りに期待するも、貴景勝に負けた相撲ではとても勝てないだろう。

 勝った貴景勝は値千金の勝利であった。もう1勝、いや2勝すれば昇進は間違いない。14日目は逸ノ城。勢いに乗っているので、易しい相手ではないが的が大きい分、思い切り当たれる。押しやすい相手でもある。だが逸ノ城は引くのがうまい。それだけ注意しよう。それと貴景勝も人間だ。緊張もするだろう。それでも押せ!

 「押さば押せ。引かば押せ。押して勝つのが相撲の極意」

 これが基本である。

 それでは夕食に行こう。大阪に来てまだ「たこ焼き」と「焼きそば」を食っていない。無性に食いたくなったので行ってきます。 (元横綱)

 

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