【大相撲】貴景勝、きょう23日にも大関昇進確定 ノルマの10勝にあと1勝2019年3月23日 紙面から
◇春場所<13日目>(22日・エディオン アリーナ大阪) 関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=は大関高安を押し出して9勝目。3場所合計33勝となり、大関昇進のノルマとされる2桁白星にあと1勝とした。横綱白鵬(34)=宮城野=は全勝で単独首位。14日目に白鵬が勝ち、1敗の逸ノ城が貴景勝に敗れれば、白鵬の3場所ぶり42度目の優勝が決まる。 連敗ごときで、縮こまる器じゃない。貴景勝は直接対決で3連敗中だった高安を、出足から圧倒。組ませることも、いなしも許さない。電車道で押し出して連敗を2で止め9勝目。大関昇進のノルマとされる2桁の白星に、あと1つと迫った。 「気持ち高めて、それで負けたらどうやっても無理だから。お客さんの声援にも、自分の気持ちにも応えたい」 気持ちでは“同郷”で追いかけていく。イチローの引退発表から一夜明け。兵庫県芦屋市出身として、格の違いは百も承知で大先輩を「求道者」と表現して思いをはせた。 物心がつく頃に、イチローは大リーグに挑戦したが、オフの自主トレで神戸に帰ってくることが誇らしかった。日の丸を背負った2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック決勝では2連覇を決定付ける適時打に「男とは、というものを背中で見た気がする」と目頭を熱くした。 イチロー自身も引退会見で「人に喜んでもらえることが、一番の喜びに変わってきた」と振り返った。幕内最年少22歳にして、レジェンドが晩年にたどり着いた境地に、早くも近づきつつある。 準ご当所で大声援を送るファンも注目の大関とりへ、目安とされる三役で直近3場所計33勝に到達した。しかし、昇進問題を預かる審判部の阿武松部長(元関脇益荒雄)が「あと2日、見ないと分かりません」と話したように、あくまで千秋楽まで静観する構えだ。 14日目の逸ノ城に勝てば対平幕全勝、千秋楽に対戦が見込まれる栃ノ心を破れば、横綱大関戦で3勝2敗と勝ち越す。安定感と上位への勝負強さ両面で満点回答となる。 もちろん、貴景勝はそんなそろばんを弾くつもりはない。「欲が出ちゃうと終わり。千秋楽が終わってから考えたい」。この日も帰り際は、ファンとの触れ合いを欠かさなかった。残り2日間、土俵を沸かせれば「大関」の二文字は自然とついてくる。 (志村拓)
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