オーバーロード<落書き集> 作:焼きプリンにキャラメル水
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『十三英雄』の話です。
捏造設定あります。
額から大きな角が二本。まるで鳥のクチバシの様なそれはその者が人間でないことを物語っていた。
『十三英雄』と呼ばれる彼らが対峙するその者は『蟲の魔神』と呼ばれている。
「ガッ・・・・カ・・・」
暗黒騎士が振るった剣の一撃を受けて『蟲の魔神』の左手が切り落とされた。
「・・・・・」
カッツェ平野で彼らは対峙していた。
「さっさとくたばれ!このデカブツ」
そう言ってエアジャイアントの戦士長は大剣を振るう。
「・・・エセ・・・ャナ・・・・ヲ・・・エセ」
『蟲の魔神』は大剣を片手で掴んだ。
「こいつ!放しやがれ!」
その言葉に反応したのか、『蟲の魔神』は掴んだ大剣ごとエアジャイアントの戦士長を投げ飛ばした。
「うぉぉぉっ!嘘だろ!?なんつー馬鹿力だよ!」
エアジャイアントの戦士長は仲間であるエルフに抱き止められれる。
「ふん・・どうせ抱くなら
「それはこっちのセリフだ」
「・・・エセ・・・ャナ・・・・ヲ・・・エセ・・!!ッ」
蟲の魔神が屈むようにして倒れた。その背中には大きな切り傷があった。
「遅いんだよ!イジャニーヤ!」叫んだのはエアジャイアントの戦士長だ。
「若い者はこれだから・・・」
そう言ってイジャニーヤは蟲の魔神から距離を取るため飛び跳ねた。
やがて蟲の魔神は起き上がると身体中から電気がバチバチと発生する。
「また来るぞ!」
リーダーのその言葉を聞いて全員が『蟲の魔神』から距離を取った。
『蟲の魔神』はリーダーに向かって右手をかざした。
「レ・・ル・ガン」
右手から電気の波動が飛び出る。
「リーダー!危ない!」
そう言ってツアーはリーダーの前に立った。
「ツアー!!?」
辺り一面が吹き飛ぶ。
カッツェ平野に咲いていた雑草は燃え散り、地面は抉れていた。
十三英雄たちも傷は負ったも重傷という程ではなかった。
そしてツアーは仰向けに倒れた。
「ツアー・・・お前・・・」
仰向けになったツアーの姿を見て一同は驚愕する。中身が無いのだ。
「訳は後で話す。今はあいつを倒すのに専念しよう」
ツアーの鎧は砕け散っていた。鎧の胸部と腹部辺りが砕け散っており、そこには誰もいなかったのだ。
「・・分かった!みんな戦いはこれからだ!」
リーダーのその言葉に皆が鼓舞される。
「リグリット!!」
「ツアーめ、後でチクチク文句を言ってやるわ」
「お手柔らかに頼むよ。リグリット」
そう言ったツアーの言葉は普段と同じであった。それを聞いてリグリットは鎧の中身に不可視化したツアーがいるのではないと確信した。
「そんなことが言える立場かのう。お主」
そう言うとリグリットは召喚魔法を唱える。
「出でよ。
リグリットが召喚したデスナイトが咆哮を上げる。
「あの蟲の魔神を足止めせよ」
その命令を聞き、デスナイトが蟲の魔神に向かって走っていく。
「・・エセ・・・・ャナ・・・・ヲ・・・エセ」
蟲の魔神はデスナイトを葬り去ろうと拳を振り上げた。
それは確かに本来なら一撃で葬りさるには十分な威力であった。
だが『蟲の魔神』は知らなかったのだ。
デスナイトにはどんな攻撃も1度だけ耐えきれる性質があることを。
「出番じゃよ。お嬢ちゃん!」
「お嬢ちゃん言うな!ババァ」
そう言って
キーノが『蟲の魔神』に向かって魔法を放つ。
「
「カッ!!・・・・・エセ・・・」
蟲の魔神は口や鼻らしき部分から泡を出し、身体が痙攣を起こしていてもまだ立っていた。
「ババァとは酷いもんじゃな」
「うるさい!私とお前の歳なんて大体同じゃないか!」
そして最後にリーダーが剣を振り上げて・・・・
「エセ!・・・ャナ・・・ヲ」
振り下ろした。
その一撃を受けて『蟲の魔神』はついに倒れた。
「アッ・・・・アッ・・・」
『蟲の魔神』の身体から光の粒子になって消えていく。粒子が天に吸い寄せられるように消滅していく。
「『蟲の魔神』・・・お主もか」そう言ってのはリグリットだ。今まで倒してきた『魔神』たちも何体かは同じようにして消滅していったのだ。
「今回勝てたのはキーノがいたからだろうな」
そう言ってエアジャイアントの戦士長は自分の大剣を納めた。
彼らは消えていく『魔神』に目を向けた。
「・・カエセ・・・ャナ・・・・ヲ・・・エセ・・」
「カエセ?返せ?・・・一体何を返せというんじゃ?」リグリットは疑問に思う。何故そもそも『魔神』は各地で暴れまわった?
(スレイン法国あたりなら何か知っているかもしれんのう)
だが次に蟲の魔神が言った言葉を聞いてリグリットはその理由を知ることになる。
蟲の魔神は彼らに向かって目を向けた。その瞳・・潰された方の瞳からも涙を流していた。
「カエセ!スルシャーナサマヲ!カエセ!」
『蟲の魔神』はこちらに向かって手を伸ばす。その瞳には涙が浮かんでいた。
「ドウシテ・・・スルシャーナサマ・・・・」
やがて『蟲の魔神』は完全に消滅した。
「・・・・・」
「リーダー?どうかしたのかい?」
ツアーが声を掛ける。リーダーの表情はどこか険しい様に思えた。
「・・・・後何回こんなことを繰り返せばいいんだろうな」
リーダーはそう言って涙を流す。
傷つきながら剣を振るい続けた英雄・・・・
それが彼ら『十三英雄』の知るリーダーの姿であった。