2011年08月05日

昭和の奈良大和路

e6afecc4.jpg『写真なんて誰が撮っても同じやん!』
って、どこかで思っていた高校生の頃、それを間違いと気付かせてくれたとある写真集。

自転車でスケッチブック片手に奈良の地元を写生することにハマっていた奇妙な高校生だった僕が、ふと目にとまった写真集。そこには、スケッチブックに描いても描いても、自転車で走り回って探しても探しても、見つからなかった理想の大和路の風景がありました。

“入江泰吉”さんの眼で見た風景、撮られた写真には、永遠に消えない日本人の体温を感じます。


そんな入江泰吉さんが、今の僕くらいの歳か少し若い頃に撮られたであろう、
『昭和の奈良大和路(昭和20年代~30年代)』
という写真集が発売されていたので迷わず買いました。

写真は全て白黒ですが、山と田畑と川、まだほとんど舗装されてもいない土道 、そして遥か太古から変わらずある寺社がどっしり構え、その時代に暮らす人々が飾らず逞しい。白黒なのに、その日の空が透き通るほど青かっただろうと思えてくるから不思議です。

高度成長期であったというこの時代。電柱電線が写ることを極力嫌ったという入江泰吉さんの写真ではあるけれど、ブータン人のようにも見えるこの時代のキラキラとした瞳の人々は、はたして今の幹線道路が整備されショッピングセンターがはびこる大和路を想像しえただろうか。

おそらく今のブータン人がこの時代の日本人なら、
『寺社が見えなくなってしまうような世界になるくらいなら、道路も電気も通らない方がイイ!』
と思っただろう‥


k_yunde at 09:48│Comments(0)TrackBack(0)

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