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電車に乗って若葉台へ、「最後のニュータウン」のうちの一つだと思う。
計画して作られた街並み、歩道は広く夕暮れの進入角度もよくできている。
脈略がない建造物、これからを感じさせる巨大なマンション達、その踊り場を吹き抜ける風のにおいもやはりニュータウンブルー。
長い坂の歩道があり、公園に取り囲まれながら歩いていく。道の途中にはいくつかのベンチがあり、そこから見える景気で、きっと僕らは不安と創造でぐちゃぐちゃになりながら恋に落ちていくだろう。
彼女は割と小柄なボブヘアーで、眼鏡なんかを完璧に顔の一部にしていることだろう。
脈略はいらない
そう、僕らはなんの関係性もなく出会うことになる。
想像力だけが僕等を繋いでいる。
コーヒー屋でまたコーヒーを飲む
僕はいったいもうどれだけこれを飲んできたんだろうか.....
最初の一杯はえっと1988年あたりのグリナード永山のどっかの店だったけかな。
かろうじていた父さんの煙に巻かれて飲んだ....というより飲まされたブラックコーヒー
苦くて煙くて、これが大人かと嫌気がさした甘くやさしい思い出......
君の姿が消えたのを山羊が教えてくれた。
二匹仲よさそうに草を食べて時々僕を見る。
「まだいたのか」ってな具合に
帰りの電車はすいててなんだか時代を間違えたみたいな気持ちになった。
僕のニュータウンについてドアが開く
そっから先はあんまり覚えてない
遠くの方に夕日が沈んでいく
照らされた街並みは優しい
坂道登れば夕ご飯の匂い
子供の声が響く古びた団地が見える
怒ってたとうさんは泣いていたんだろう
笑ってた母さんも泣いてたんだろう
今ならわかることがただ風の中
心が言ってる
いつかさよなら
ちゃんと生きて
さよならだ
おやすみ
また明日
さよなら
また明日
スターバックス
毎日スターバックスにいて
なにをするでもなくぼんやりと
なんとなく幸せな気になって
一歩も進んではいなかった
心にきけばわかっちゃう
だから曖昧な歌を書いて
ありもしない物を味方にして
自分の価値を見いだしてた
それでも音楽が
ロックンロールが許してくれた
あの娘は何時だって信じてくれた
なにもないかっこつけの俺を
その祈るよな目を見たとき
何かが俺のなかで弾け飛んだ
胸を張らなくちゃ
君を一番素敵な気持ちにさせたい
だけどもう手遅れ君は疲れ果てて
泣いてるみたいに笑って僕をひっぱたいた
部屋中の荷物をかき集め
明日の朝一ででてくと言った
好きにすればいいと思ってもないこと言って
アルペジオで曲を作り始めた
その歌もやっぱり君のことだった
朝一の街は雨上がり
空に雲なんかひとつもない
君はなにも言わずドアを開けて
さよならも言わずに出ていった
一人きりになった僕は
昨日作った歌を歌った
泣く気なんてないのに
涙が止まってくれない
それでも胸を張らなくちゃ
嗚咽みたいなその歌は僕を歩かせた
自分を信じなくちゃ
そう歌った
どれぐらい眠ったろう
西日が部屋に差し込んでる
カーテン閉めようと起き上がった時
ドアをノックする音がする
次第にその音は大きくなって
ロックンロールみたいにきこえだした
胸を張って信じなくちゃ
この想いを伝えなくちゃ
僕はドアを開けた
君が小さくなって笑おうとしてた
1999年長津田
週末になれば新車のビーノに乗って
君の住んでるアパートを目指した
どんなにスピードをだしたって
未来は入り口すら見えなかった
途中のコンビニエンスストアによって
プリンとたばこを僕は買ってく
君はいつもなにもいらないって
照れくさそうに笑って言ってたっけ
何もないのにすべてがあった
無邪気な笑顔二つ
夕暮れ時には未来を語りあった
そんな1999年長津田
なりたいものなんてなにもないの
なりたくないわけじゃないけどないの
CDプレイヤーの中でミュージシャンが歌ってる
歌はいつだってサニーデーサービス
なんでもないのに涙がでて
それを塗りたくるように抱き合った
夕暮れはいつも愛の歌
そんな1999年長津田
いつか大人になって日々の中であの頃を忘れてしまっても
僕はずっと歌ってる
明後日の方向に置き去りのままの君の正体不明の虚しさに向けて
きっと誰よりも笑っている
君はそういう人だったから
2016年夏の終わり
遠くの方をめがけてありがとうって歌った
未来
例えば行き止まってる道にもたやすく明日が見つけだせたあの頃
それは願わなくたって僕らの前に姿を見せた
今目の前を覆い尽くす鈍く重たい雨雲がきっともうすぐ雨を降らす
それは諦めという言葉になって降り続けてる
少し歩いてみようか
疲れてるんだよ
高台の公園には風が吹いていて
何もかもが繰り返してるだけだって
気にするなって言うだろう
僕らは歳とって
街は古くなって
新しい分譲住宅が建ち始めて
ベンチに座ってる僕に少年が手を振る
さあもう一回立とうか