【大相撲】強かった豪栄道 立ち合いに先手を取ったことに尽きる2019年3月22日 紙面から ◇北の富士評論「はやわざ御免」それでは豪栄道対貴景勝の一番からまいります。 今場所に入ってからズーッと気になっていたのは先場所の千秋楽、豪栄道と貴景勝の一番。この相撲に勝つと大関昇進が決定的とされた大一番だったが、豪栄道の一気の押しになすすべなく敗れ昇進は見送られてしまった。もし負けたとしても内容が良ければ、大関にあげたかもしれなかっただけに、一方的な敗戦が昇進を見送る大きな原因だったと私はそう思っている。まるで人が変わったようなふがいない貴景勝の負け方が、私にはどうしても不可解だった。そしてどうやらその前日の相撲で足の裏を痛め、力が入らなかったと聞いて納得したわけである。 だから今場所に入っても豪栄道の先場所千秋楽の評価は高く、貴景勝戦は豪栄道有利の声が多かった。私はひそかに今場所の貴景勝は違う、あの当たりと押しを豪栄道は止められまいと思って見ていた。そして見事に予想が外れ、昨日に続き相撲を語る資格はないと痛感しているのである。穴があったら入りたい、とは思わないが豪栄道は強かった。勝因は何と言っても立ち合いに先手を取ったことに尽きる。貴景勝も決して悪い当たりではなかったが、豪栄道の右が速かった。当たった瞬間にもう右が入り、貴景勝の左おっつけがまったく効果なかった。出足の止まった貴景勝の左足がズルリと滑って重心を失った。鮮やかな豪栄道の相撲であった。先場所の勝利は、相手のけがとは関係ないことが分かって良かった。 もっともけいこ場の強さが無敵なのは十分知っている。自信を持って取ればいつも優勝争いの中にいるはずである。今場所だってまだ分からない。きょう13日目は白鵬との対戦だ。低い体勢から左の上手を浅く取り、頭をつけ速い勝負にすべてを懸ける。これは私の作戦である。白鵬に土をつけると高安も燃えるだろう。まだ希望は残されている。果たして場内に座布団が乱れ飛ぶだろうか。大いに楽しみである。 上位が激しい星のつぶし合いの最中に逸ノ城が悠々と1敗を守り、ニヤリと不気味に笑っている。その顔を見たわけではないが、おそらく少しはタナボタを期待していると思う。 白鵬は見ての通り強かった。それでもあと3日、何が起きるか分からない。それだから相撲は面白いのです。 昨日は悪乗りして恐ろしく長文になり申し訳ないです。特にあの変な京都弁、京都の友人に叱られました。反省。 (元横綱)
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