【大相撲】貴景勝、4敗目…でも「別に試練じゃないっす」2019年3月22日 紙面から
◇春場所<12日目>(21日・エディオン アリーナ大阪) 大関昇進を狙う貴景勝(22)=千賀ノ浦=は大関豪栄道にはたき込まれ、2連敗で4敗目。大関とりへ踏ん張りどころだ。横綱白鵬(34)=宮城野=はかど番の大関栃ノ心を寄り切り、無傷の12連勝で単独トップをキープ。平幕逸ノ城(25)=湊=は朝乃山に完勝して1敗を堅持した。 ◇ 仕切り線を越えることすらできなかった。頭と頭のぶつかり合いで、足が止まった貴景勝が、豪栄道に押し込まれていく。上体が前のめりになったところを、すかさずはたき込まれてバッタリ。昨年秋場所以来の連敗で4敗目。2桁勝利がノルマとされる大関とりへ、正念場を迎えた。 因縁の相手だった。初場所千秋楽の結び、勝てば大関昇進という一番で一気に押し出された。成長ぶりを見せつけるにはこれ以上ない相手だったが、目指す地位の重みを思い知らされる返り討ちに遭った。 それでも、決して下を向くことはない。試練かと問われると「別に試練じゃないっす。試練と思うから試練」とぽつり。「幸せなこと」と言い切る強心臓ぶりは、健在だった。 準ご当所で相撲人生最大のチャレンジ。土俵上では大歓声を一身に浴び続けている。「声援を力にできている。お客さんあってこそで、いなければ存在意義もなくなる」と話してきた姿勢はぶれない。 昇進問題を預かる審判部の阿武松部長(元関脇益荒雄)は、大関とりの重圧を認めつつも「まだまだ今から。どんな時でも崩れずにきた、自分の相撲を取ってほしい」と連敗で評価を変えることはなかった。あくまで千秋楽まで、星取りと内容を見守る姿勢を示した。 迎えの車を待つ間、道路を隔てて「貴景勝関、頑張って~」と声を掛けてくれた女の子に歩み寄ると、笑顔でサインする余裕も見せた。「ここからが勝負です」。まずは13日目の高安戦に全力を尽くし、ラストスパートに入る。 (志村拓)
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