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19 Jun 2013
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「旅の後」




 

枕元にはいつもの細工の施された枝付き燭台ではなく、シンプルな一本立てのものが置いてあった。
それに立てられた蝋燭は細くて炎も小さく、なんとも心許ない。

「暗くてお前が見えないよ・・・灯りを増やしていいか?オスカル」
「・・・ダメだ、これで充分だ・・・」

彼女は瞳を閉じ、睫毛を震わせて答えた。

「恥ずかしい?」

彼の問いにオスカルは返事をしない。黒い瞳に少し顔を背けて黙ったままだ。
アンドレはそんな彼女の頬に掌を添え自分に顔を向けさせると、甘えるように彼女の耳に唇を寄せる。
少し身を固くさせ徐々に熱くなる彼の愛撫を、オスカルはただ受けていた。

夜の帳の中、こんなにも弱い火影に恥ずかしがる彼女をアンドレは微笑ましく思う。
オスカルのことだ、たぶんこの先もずっとこの反応は変わらないのだろう。いつまでたっても自分の願いを
拒否しつつ艶めかしい声をあげるのだろう。それでこそ彼女なのだけれど。

唇を首筋に当て軽く吸い、胸のふくらみを手で軽く揉みあげると、途端にオスカルはその白い首を
反らして喉から柔らかな声を出した。アンドレは一度上半身を起こすと彼女の両脇に腕をつく。そしてその仄かな灯りに
ぼんやり映し出された彼女の姿を見つめた。
自分を挟む彼の腕に、オスカルはゆっくり自分の細い腕を絡ませた。それからゆるゆると上げた両の手でアンドレの頬を包んだ。
彼女の潤んだ瞳が自分を誘っているように思えて、アンドレは堪らずその細い身体を掻き抱く。
その瞬間、口から漏れたオスカルの甘い息が、彼の欲情を余計に高ぶらせたのだった

アンドレが彼女のその唇に吸いつくと、オスカルは待っていたかのように彼の背に
腕を回してきつく抱きついてきた。
その密着の深さは、まるで二人を溶かして一つにしてしまうかのような勢いだ。
あらゆる限りの角度で唇を重ね舌を絡ますと、ますますお互いに夢中になって、
静かな寝室に粘着質な音が広がっているのにさえ気がつかない。

唇から首筋に舌を這わせ再び彼女の乳房を愛撫すると、オスカルはアンドレの背に回した
手の片方を自分の口元に戻す。

優しくゆっくりとその柔らかな膨らみを揉んでいくと、その肌が湿り気を帯びてくるのが分かった。
指先をその丸みの先端に置くと、すぐさまそれは硬く立ち上がった。指を乗せたまま初めは緩く、
そして振動させるように動かすとオスカルは自分の口に手をあてて、声が漏れるのを押さえた。

弄る手はそのままに、アンドレはもう一つの乳房の赤い頂に舌を触れさせる。何かくぐもった声が聞こえたが、
お構いなしに次は口に含む。口内で舌を妖しく動かして彼女の乳首を転がすと、ますますそれは硬くなるのだった。
一度その先端から唇を離して見てみると、薄明かりに唾液が反射していかにも淫らな感じだ。
色はよく分からない。蝋燭の火は黄色っぽくて、本当の彼女のそこの色は見えないのだ。
いつか見てみたい、明るい陽の下で・・・どうか、間に会って欲しい・・・アンドレはそう願う。

胸から手を離すと、腹部を擦った。そしてその中心に指先おいて彼女の腰から下へ滑らせた。

「あ・・・あ・・・」

くすぐったいのかオスカルは小さく声をあげた。
彼の指が行きつくのは彼女の秘部。けれど、彼女は足をピタリと合わせてアンドレの指が侵入するのを拒んでいる。

「オスカル・・・」

乳首から離れたアンドレは、彼女の熱い耳にその名前を呟く。指を噛んでいたオスカルは、
横目を向けた。潤んだ瞳と涙で赤く滲んだ目尻が官能的で、アンドレを昂ぶらせる。
彼女の二つの膝頭の間に手を滑らせると、もう一度、甘く彼女の名前をささやいた。

足の力が抜けたのを確認すると、彼女の中心を掌で覆った。
秘所の両の肉はまだ開いていなかった。ただ、彼女の薄い秘毛を感じるだけだ。
アンドレは親指と中指でそこを広げると、人差し指をあてがってみる。

ぬるりとしたそこは、もうすでに熱く愛液を湛えていた。
中心の指はただ置かれただけでは飽き足らず、オスカルのそこを縦に滑る。
特に蜜壷と陰核への刺激は、ただ擦れているだけなのに彼女の全てを痺れさせた。

「あっ・・・うう・・・」

アンドレの指が際どい動きをする度に、彼女の唇が震える。
秘所から漏れる粘着質な水音と彼女の嬌声が、天蓋に届くようだった。

アンドレは指での愛撫に満足すると、身体を太股の間に滑り込ませた。
それから内腿の片方を肩に、そしてもう一方を手で押し開くと、今はもう既に蕩けている淫部を
見つめた。軽く達していたオスカルはぼやけた意識の中、足を大きく広げられているのが分かったが
腰から下に力が入らず、抵抗もできなかった。
ただ恥ずかしい部分へ与えられた熱っぽい視線がどうしようもなく辛かった。

「アンドレ、見るな・・・いやだ・・・頼むから」
「暗くてよく見えないから安心しろ」

そう一言返すと、アンドレは親指と人差し指で花弁を分けてそこに舌を這わせた。

「ああ!」

高い声が一つ。
それからは艶めかしい喘ぎ声しか聞こえてこなかった。

秘部全体を舐め上げると、皮から飛び出し大きく膨れた陰核の根元を指で挟む。それだけで、そこは
軽く痙攣した。
肉欲の粒を舌で舐め、突き、捏ねまわすと蜜が滲み出てくるのが分かった。そしてその壷に
指を二本挿入しぐるりと回転させると、彼女の喘ぎ声は一段と大きくなった。
その絶叫のような声色は今まで聞いたことのないものだった。

広いベッドの上で、オスカルは手で顔を覆い尽くしていた。震える肩が、何も言えないでいる
彼女の心の内を表しているようだ。
アンドレは膝立ちし、彼女のそんな様子を見下ろしている。
目に入る愛しい彼女の姿は、小さな蝋燭の炎のせいでぼんやりと浮かぶだけ。細い首筋、絹糸のような髪、
柔らかい肩の線にくびれた腰・・・。
昼間、陽の光の下の女丈夫は、闇の中ではこんなにも脆くて儚いものなのかとアンドレは思った。

「泣かないでくれ、オスカル・・・愛しているよ」

大きな手を彼女の膝の上に置き左右に割ると、アンドレは身体を進めた。
硬く猛った男根をオスカルの秘所に擦りつけると、彼女の蜜が絡み卑猥な音がする。オスカルはそれが聞こえたのか、
顔を手で隠したまま頭を振った。アンドレは彼女の足の膝裏に手を当て、そのままゆっくり押し上げた。
彼女の足は腹部についてしまうくらい折り曲げられて、その局部は露わになってしまう。
アンドレはそこに自分をあてがうと、一気に突き入れた。

「くっ!あ・・・」

オスカルは顔から手を外し、シーツを握る。顎を上げ喉を反らして、髪は大きく乱れている。
アンドレがそろそろと腰を前後に動かし始めると、それに合わせて彼女の乳房が揺れる。まるでそれだけが
別の生き物のように蠢くのを、アンドレはただ見ていた。

オスカルの脇の下に彼がその腕をくぐらせると、彼女はシーツから手を離し逞しい男の腕を掴んだ。

「アンドレ・・・」

そんな彼女の自分を呼ぶ声が、心底愛おしい。
アンドレは腕を抜き、オスカルの膝を抱え直すともっと深く折り曲げた。
それから腰を千々に動かし寝台を揺らすと、彼女の嬌声と共に果てたのだった。

オスカルの細い肩を捉えるとそのしどけなく開かれた唇に自分のそれを重ね、舌を絡ませ熱く混ぜあった。
やっとその深い口づけから彼女を解放すると、その厚い胸に抱き寄せ丁寧に乱れた金髪を撫でた。
オスカルはそんな彼の胸にうつ伏せになって甘えている。

「不思議だな・・・」

オスカルが呟く。

「何が?」

アンドレが尋ねると、彼女は小さく笑うだけで答えなかった。

見上げると闇の中に天蓋が見える。
オスカルの広くてスプリングの効いた上等なベッドの上、アンドレは数日前の夜を思い出した。

高貴な身分のこの女性を抱いたのは、民家のありふれた小さな客間。
天蓋も飾り彫りもない粗末な寝台の上、二人は愛し合い初めて身体を重ねた。

アンドレは申し訳ないと思うのだ。
甘美な風情も何もないあの場所で、おそらくオスカルの人生において一番尊い一時を過ごさせてしまった、と。
不満に思う言葉も聞いていないから、たぶん彼女は何とも思っていないのだろうけれど。

彼女の柔らかな髪を指で何度も梳きながらそんなことを考えていると、
やがて小さな寝息が聞こえてきた。
すっかり安心して自分に身を任せる、穏やかな彼女の心が見える。

「目には見えない大切なモノ・・・か・・・」

そう呟くと、アンドレも瞳を閉じた。




fin



 

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