モモンたちがミスリル級冒険者チームと合同依頼を受けた日・・・
別の場所では不穏な会合があった。
スレイン法国
男は最奥の聖域なる場所にいた。そこには特殊な素材で作られた円卓があり、そこに12人の人物が座っている。現在の最高神官長を始めとした12人がいる。だが男は上司しかいない中でも普段の余裕を崩すことなく丁寧に対応した。
「お前はクレマンティーヌの1件は聞いてるか?」
「・・はい。『
「それの結末を知っておるか?」
「いえ・・・」
「そうか。なら教えておこう。奴はその後エ・ランテルでカジっトなる男と共謀し『死の螺旋』を起こそうとした」
「エ・ランテルは交易都市ですよ。そんな場所を標的にしたのですか?」
男が真っ先に考えたのはエ・ランテルの住民の安否ではなかった。スレイン法国にどれ程の経済打撃を受けるか心配したのだ。
「安心せよ・・・いやそなたには複雑なことかもしれんが、エ・ランテルは無事だ」
「王国戦士長とでも戦ったというのですか?」
(あのクレマンティーヌとやり戦えるのは王国ではガゼフ=ストロノーフかブレイン=アングラウスくらいのものだ)
「いや違う。『死の螺旋』を行おうとしたも二人と戦い勝利し止めた存在がいるのだ」
「クレマンティーヌに勝てるとは・・・一体誰なんですか?」
「エ・ランテルでは『漆黒』と呼ばれているチームだ。男女二人組で冒険者をしている。男は戦士で女は
「それはまた随分と偏っていますね」
男がそういったのも当然であった。冒険者の仕事はモンスター専門の傭兵の様なものだ。その性質上冒険者全体で戦闘を前提としたパーティを組む傾向がある。
最適とされるのは
の六人パーティだ。
ただし一人二役などを行うことでパーティの人数が減ることはある。
だが二人とはあまりにも少なすぎる。
自信の表れか、あるいは二人の実力についていけるものがいないのか。
どちらにしても偏ってるとしか言えないパーティ構成である。
「話を続けるぞ・・・・女の名前はナーベ。その美しい容姿から『
「それはまた御大層な・・・」
「油断するでないぞ。漆黒聖典の一人・クレマンティーヌが1対1で戦い、敗北した戦士なのだぞ」
「あのクレマンティーヌが敗北したとなると・・・もしやその男は」
「私たちも同じ結論にたどり着いた。モモンは・・・『
「我らが六大神と同じ『流星の子』・・・あるいはその血を受け継ぐ『神人』ですか・・・」
「だが最悪なのは『八欲王』と同じ性質を持つ『流星の子』か・・・或いは・・」
八欲王の子孫・・・・そう誰もが思い唾を飲んだ。もし『八欲王』の子孫であれば世界の危機である。
沈黙が流れる。
「だがこの二人には分からぬことも多い。だが実力が確かなら欲しい人材だ」
「『星降りの災厄』で神都は大きな被害を受けたからのう」他の神官長が話に入ってくる。
「クレマンティ―ヌが抜けた穴も大きい。それを埋める意味もある」
「彼らを『漆黒聖典』に加えるとということですか?」
「あぁ。そうじゃ」
「そこでお前に命を下す」
「はっ」
「『漆黒』のモモンとナーベを漆黒聖典にスカウトせよ」
「もし彼らが断れば如何なさいますか?」
「その時は殺せ。最低でもモモンだけは必ず殺せ。生きていれば人類の敵となる可能性があるからのう」
「分かりました。必ずや・・我らが六大神の名にかけて」
「頼んだぞ。漆黒聖典5番席次・・・クアイエッセ=ハゼイア=クインティアよ」
「はっ!」
そう言うとクレマンティ―ヌと瓜二つの男はその場を後にした。