【現場から、】「消えた留学生」、東京福祉大 現役教員語る“実態”
「消えた留学生」。およそ1400人の留学生が所在不明となっている東京福祉大学の問題です。大学の現役の教員がJNNの取材に、内部の実態を証言し、所在不明の留学生が増加する一方で、何の対策も取られていなかったと批判しました。
群馬県にある東京福祉大学のキャンパスで20日、卒業式が行われました。5000人を超える留学生が在籍する東京福祉大学。卒業式でも留学生とみられる人たちの姿が目立ちます。しかし・・・
「自分のクラスで友達は6人くらい、いなかった」(卒業した研究生)
「ひとクラス40人ぐらいいたけど、卒業するときは半分くらい」(卒業した研究生)
所在不明となっているのは非正規の留学生である研究生。原則1年間のコースで定員の制限がありません。2016年度から募集を始め、3年間でおよそ5700人が入学しましたが、このうちおよそ1400人が「所在不明」となっているのです。なぜ、これほどまでの数に上っているのか。東京福祉大学の現役の教員がJNNの取材に応じ、研究生制度の実態を証言しました。
「4月1日に入学した研究生が、4月17日付とか5月とか6月付で、就職のために退学って、まずあり得ないと思うんですよね。最初から就労目的で、学生ビザでの入国は偽装だったとしか思えない」(東京福祉大の現役教員)
現役教員は、入学して1か月も経っていないうちに就職を理由に退学するなど、当初から問題が起きていたと明かします。
「何百人単位でいなくなりはじめたのって今年に始まったことではないので、そういうことがあった時点で研究生の制度自体、縮小するなり、何らかの対策をとるべきだったと思うが、今年度も何もしていない」(東京福祉大の現役教員)
さらに、こんなことも・・・
「学期の途中なのにもかかわらず、大学の指示で時間割が全部変更になった。留学生が出席している授業を全て1、2限にしなさいと。日本でたくさん働きたいのだから働けるようにということで」(東京福祉大の現役教員)
研究生が多くの時間働けるように大学からの指示で、突然、時間割が変えられたというのです。
「真面目に勉強に取り組んでいる留学生たちからは非常にクレームがあって、『私たちは昼間は授業をきっちり受けて、夜に飲食店でバイトしているのに、いきなり毎日1、2限って言われても逆に睡眠時間がとれなくて迷惑だ』と」(東京福祉大の現役教員)
この点についてJNNは、大学側に取材を申し込んでいますが、現時点で回答はありません。研究生の受け入れは、2018年度は2700人近くにまで達し、3年間で大学の学費収入はおよそ12億円増えています。
「日本人入学生が定員割れしているのを補うため、大学を維持するためになのかなと思っていたが、補うっていうにしては十分すぎるというか、過剰な数の留学生を集めているので、おそらく利益が出ていて、ビジネスになってしまっている気がします」(東京福祉大の現役教員)
20日、卒業式に出席した水野理事長は・・・
「(Q.留学生問題に対して、経営者としてどう考える)・・・・。(Q.今後も研究生の制度は続ける方針か)また機会を見つけて、お話を申し上げます」(東京福祉大学 水野良治 理事長)
東京福祉大学が20日、書面で出したコメントには「本学の研究生制度は、本来なら大学合格が難しい成績が悪かった学生をたくさん救ってきました。そのような救った学生に裏切られた形です」と書かれていました。そのうえで、「多数の行方不明者を出してしまったことは誠に遺憾であり、責任を感じている」としています。