盗難車ランキング ワースト1位に「レクサス」なぜ? 手口は巧妙化

盗難件数の多い車のランキングが発表され、日本のある高級車がワースト1位になった。

高級車はどのようにして盗まれるのか、巧妙化する手口を検証する。

街の人は、「休みで天気がいいと非常に気分も晴れますので」、「わたし、あした休みもらって連休にしました、4連休に」などと話した。

「春分の日」の21日、車でお出掛けという人も多かったはず。

その車をめぐって、気になるデータが発表された。

日本損害保険協会は20日、車名別の盗難状況を発表。

前年4位だった「レクサス」が、「プリウス」などを抜き、ワースト1位となった。

車名別の盗難ランキングで、これまで4年連続でワースト1位だった「プリウス」を抜き、同じトヨタの高級ブランド「レクサス」がトップに。

レクサスブランド全体の被害件数は、前の年に比べ、2.6倍の66件だった。

レクサスを所有していた人は、「えー、防犯を頑張るわ、気をつけよう。置いておくのもちょっと怖くなる」と話した。

2018年11月には、大阪でパキスタン国籍の男ら12人が、盗んだ車を不正に輸出していた疑いで逮捕される事件が発生。

標的には、やはり「レクサス」も含まれていた。

なぜ今回、「レクサス」の盗難件数が急激に増えたのか。

専門家の自動車評論家・国沢光宏さんは、「インテリアとか外見とかがとてもオシャレな感じがすることと、中身がトヨタなんで、耐久性があって壊れないということ。世界的に人気が高まっているという。(盗難車でも)ほとんどの国が事故車とかそういう扱いにすると、容易に持っていけると。車を1回半分に切って、部品の形でコンテナに入れ、海外に持って行く。海外に持って行ったら、それを溶接して元の形にして車として売る」と話した。

この自動車窃盗。

半数近くが自宅で発生していて、手口は日々巧妙化している。

自動車評論家・国沢さんは、「『リレーアタック』という一番新しい盗難方法があって、数秒で鍵が開く」と話した。

「リレーアタック」とは、まず車のスマートキーから発信される微弱な電波を近くで受信。

キャッチしたその電波を、特殊な装置で増幅し、車のそばにいる仲間に送信することでドアを開けるという、まさにリレー方式の手口。

この手口で2018年9月、「レクサス」を盗まれかけたという男性は、「車を見たら、ハンドルロックがないと鍵も開いてると。すぐ防犯カメラの映像確認したら、ここでアンテナ広げてる動画があって、こないして鍵開けよったんや。これがリレーアタック、その時初めて見たんですね」と話した。

その時の映像には、自宅の玄関先で、不審な動きをする窃盗団の1人。

この時、両手にはスマートキーの電波を受信するアンテナを持っていたとみられ、手を上げると、駐車場の奥でハザードランプが2度、点滅。

車のそばにいた仲間に電波を中継し、車のロックを解除した。

アンテナを持っていたとみられる男が手を上げてから、わずか2秒の出来事だった。

犯行は未遂に終わったが、こうした手口で、男性の車は3回も狙われたのだという。

自動車評論家・国沢さんは、「(どのくらいの距離まで電波届く?)一番新しい手口をみると10メートル。家は全部危ないと考えていい。外出先でも...歩いているところを傍受される危険性。安全なところはないと考えていい」と話した。

では、どうすれば電波の傍受を防ぐことができるのか。

自動車評論家・国沢さんは、「100均とかでも売っている携帯灰皿があります。これの中は金属箔(はく)になっているので、これに入れるだけでいいんですね」、「たったこれだけで、リレーアタック防止できる」と話した。

ほかにも、家で保管する際には缶の入れ物などに保管したり、市販されている電波を遮断するスマートキー用のケースに入れておくことも効果的だという。

自動車評論家・国沢さんは、「メーカーによっては、スマートキーのスイッチを操作することによって、電波が出なくなる節電モードをやっているところもある。キーを置いている状況では、電波が絶対出ないものもあります」と話した。

盗難件数上位の「レクサス」や「プリウス」などを販売するトヨタは、車の追跡サービスやスマートキーを複雑にする対策をとっている。