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キツネ一匹、厳冬生き抜く 白鳥・桧峠

車から降りた女性のすぐ近くまで来たキツネ。厳しい冬を耐えた=郡上市白鳥町石徹白で

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 郡上市白鳥町石徹白の桧峠(標高九六〇メートル)に続く県道で二十日、足の不自由なキツネが、通り掛かるドライバーに食べ物をねだるしぐさを見せた。キツネは昨年春にも足を引きずって歩く姿が確認されており、一匹だけで厳しい冬を生き抜いたようだ。

 体長九〇センチほどの成獣。同日午後二時半ごろ、雪が残る県道わきに現れ、停車した車に近寄ってきた。若い女性二人が車外に出ても恐れる様子はなく、手の届く距離まで接近。他の車の男性がカメラを向けると、頭を振って目を細めた。

 キツネは左後ろ足にけがをしたらしく、足を地面に着けることができない。二十分ほどその場にとどまっていたが、だれも食べ物を与えなかったため、あきらめて山に帰った。女性たちは「こんな近くで見られるなんて」と驚いていた。

 キツネは夜行性で、鳥やウサギなどの小動物や昆虫を食べる。不自由な足では獲物を捕まえることも難しく、石徹白のスキー場などに向かう人たちに餌をもらうことを覚えたらしい。昨年春にも、県道脇に立って車を見つめる姿が目撃されていた。

 岐阜、福井県境の石徹白は深い山々に囲まれている。今冬は雪が少なかったものの、山は連日氷点下まで冷え込んだ。苦労して春を迎えたキツネは、昨年よりもたくましくなったように見えた。

 (中山道雄)

 

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