【カンヌ=山下雄平】野田佳彦首相は3日午後(日本時間同日深夜)の20カ国・地域(G20)首脳会議で、日本の財政再建に関連し「2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%までに引き上げる」との方針を表明した。一方、首相はカンヌ市内で同行記者団と懇談し「信を問うならば(消費増税準備)法案が通って、その後(増税を)実施する前にというやり方にしたい」と語った。
首相はG20首脳会議で「欧州の状況を見るまでもなく健全な経済成長を実現するために財政健全化は不可欠だ」と強調。消費増税に向けた準備法案を今年度中に国会に提出する方針に加え、20年度までに基礎的財政収支を黒字化させる目標も説明した。
消費税増税は事実上の「国際公約」となり、4日にとりまとめる首脳会議の行動計画にも盛り込まれる見通しだ。
欧州の債務問題については「欧州首脳が政治的指導力を発揮し、合意を着実に履行して一体となって危機を克服することが重要だ」と指摘し、各国の取り組みを促した。
首相はG20などでの協議を踏まえ、年末にかけて社会保障と税の一体改革や消費増税準備法案などの議論を加速したい考えだ。ただ民主党内では増税への反発が根強く、調整に手間取る可能性もある。
首相は同行記者との懇談では、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を巡り「挙党一致が望ましい。党を割るようなことは良くない」と語った。決断の時期に関しては「党内の議論が集約された後に態度を決めていきたい」と述べるにとどめた。
東日本大震災の復興財源に充てる復興債の償還完了期間については「政調会長が15年と提示したわけでそういう中でどれくらい幅をとれるかだ」と述べ、自民、公明両党の協力を得るため柔軟に対応する考えを示した。
沖縄県の米軍普天間基地の移設問題では「日米合意にのっとって沖縄の負担軽減を図りながら、ご理解いただけるよう説明しながら進めていく」と語った。