永住への道も...外国人労働者の今後は 4月から新制度
建設業で働く人の割合を示したもの。
55歳以上は全体のおよそ3割を示しているが、一方で、29歳以下の割合を見てみると、およそ1割と、技術の担い手が減り、深刻な人手不足であることがわかる。
人手不足を補うため、4月には外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行される。
国交省は、将来永住できる可能性もある「特定技能2号」という枠に、5年後には数百人の人材を確保していく方針であることがわかった。
建設現場の現状を取材した。
建設現場で働く、ベトナム人のグエン・バン・ツェンさん(27)。
およそ2年前に来日した。
ベトナムから来日したグエンさんは、「(なぜ日本で働こうと思った?)お金はもちろんですが、日本の技術を学ぶためです」と話した。
日本人でも取得するのが難しい溶接工の資格に合格し、日本人と同等の賃金をもらっている。
グエンさんは、ベトナムにいる両親と兄、妹のために、自分の給料の半分以上を仕送りしている。
家族が生活するには十分な額だという。
グエンさんは、「(ベトナムに戻りたい?)今は、まだ残りたいです」と話した。
しかし、技能実習生としての5年の在留資格は、残りおよそ3年。
新たな制度によって、永住できるかもしれないと期待を寄せている。
改正法では、在留資格が特定技能「1号」と「2号」に分けられるが、熟練した技能を持つ「2号」に合格して資格を与えられた場合、家族を日本に呼び寄せることができる。
また、一定期間滞在し要件を満たせば、その後、永住者への資格変更も認められる可能性がある。
グエンさんは、「(家族を呼びたい?)呼びたいですね。今27歳だから、30歳くらいには結婚したい。結婚したら、家族も連れてきたい」と話した。
グエンさんが働く埼玉・所沢市の建設現場には、日本人に交じって、ほかにも外国人30人ほどが働いており、4月から新たに施行される法制度を外国人に説明する予定。
一方で、建設業界からは、新しい制度では試験がどのように行われるかわからないといった、不安の声も聞かれる。
また、外国人労働者が何らかの理由で失踪したり、犯罪を起こしたりするのではないかと心配する声もあり、法制度の面だけでなく、現場での受け入れ態勢も重要。
この現場では、日本人が管理者になり、食事を共にしたり、コミュニケーションを密に取るよう心掛けたりしているという。
鹿島クレス・伊藤聖毅職長は、「日本とベトナムですが、大差があるとは思わない。日本の若者と一緒の感覚。恋愛の話もしますし。国籍は違いますが、20歳そこそこですし、同じ若者という感覚」と話した。
法務省は20日、運用要領を公表し、受け入れ側が労働者の出入国にあたって空港への送り迎えをすることや、住居についての基準まで細かな方針を示した。
人手不足が実際にどこまで解消されるのか、注目の新制度はスタート目前。