ギターの弦って気が付いたら錆びていますよね。
プロのミュージシャンであればほぼ毎日変えているであろうギターの弦ですが、私のような一般人としては月に1回ぐらい弦を変えることができたらいい方ですね。
しかし、ギターの弦も無料ではなく、一般的によく使われているD’Addario(ダダリオ)の弦であっても約650円程します。
できれば安く済ませるために同じ弦を使い続けたいですよね。
そこで今回はギターの弦のサビを紙やすりで落として弦の寿命が長くなるかを調べてみることにしました。
紙やすりで弦の錆びを落とせばもしかしたら半永久的に使えるのでは?なんて甘い期待を持ちつつやり方や音色の変化を紹介します。
弦がサビてしまう原因
そもそもギターの弦はなぜ錆びてしまうのでしょうか。
湿気や水分が原因で錆びてしまうことが想像されますが、実は手の汚れやギターを保管する環境が大きく関わっているのです。
手の汚れによって弦がサビる
ギターの弦が錆びてしまう原因の大部分は手に付着している汚れと汗です。
特に手汗は塩分と油分を含んでいるため、手汗がついた弦を放置してしまうと簡単に弦は錆びてしまいます。
手汗に含まれる塩分は空気中の水分を集めてしまう効果があるので弦が錆びてしまう大きな要因となっています。
ギターを保管する環境によってサビる
ギターのフレットや指板以外の部分が錆びてしまった場合、ギターを保管する環境に問題があります。
例えば台所から飛んでくる油分やお風呂からくる湯気、海が近い家庭の場合ですと潮風などもギターの弦が錆びてしまう原因です。
ギターを保管する際はギタースタンドに置いておくのではなく、ちゃんとソフトケースやハードケースにしまっておいた方がいいですね。
弦がサビてしまった時の悪影響
ギターの弦が錆びてしまうとよくないということは分かりますが、なぜ弦が錆びてしまうとよくないかをしっかりと言えるかというと微妙です。
ギターの弦が錆びてしまったときの悪影響について復習しておきましょう。
フレットが摩耗してしまう
コードを押さえたり、ソロを弾いたりするときにギターの弦はほぼ必ずフレットに触れています。
ギターの弦が錆びていると弦がフレットに当たるたびに「フレットを削っている」ことになってしまいます。
錆びついたギターの弦の表面は非常にザラザラとしているためヤスリと同じような働きをしてしまい、結果としてフレットが削れてしまいます。
フレットが削れてしまうとコードストロークの度に弦がビビッてしまい(フレットと弦がぶつかって変な音になってしまう)ノイズが発生するようになります。
フレットは消耗品なのでギター工房などで打ち直しや交換などもできますが、安くても約1万円程かかってしまうので大切に扱った方がいいですね。
オクターブチューニングが狂ってしまう
ギターのチューニングと弦の錆びは関係がないように思いますが、実はとても深い関係があります。
ギターは開放弦から12フレットを押さえた時に同じ音がなるようにできています。
例:6弦開放から1フレットずつ押さえると E、F、F#、G、G#、A、A#、B、C、C#、D、D#、E
サドルの位置や削り方を調整して「1オクターブ越しのE」を揃えることがオクターブチューニングとなります。
ギターの音程は「張力」と「重さ」によってバランスによって決まっているので、ギターの弦が錆びている状態ですと弦の重さが変わってしまいます。
弦の重さが変わってしまうと「張力」と「重さ」によってバランスが崩れてしまうので音程が狂ってしまうのです。
きっちとした音程を身に着けることはギタリストとしてとても大切なことなのでオクターブチューニングは非常に重要です。
音が変わってしまう
ギターの弦が錆びてしまったときに起こる音の変化は錆びた弦の表面がザラついていることが大きく影響しています。
スライドやチョーキングをした時に弦がザラついていると綺麗な音がでないことは想像できますよね。
またピッキング時やフィンガリング時にも大きな影響を与えています。
錆びた弦からは倍音が薄くなった尖った音が出やすいのでギタリスト好みの音が出にくくなります。
倍音が薄いギターは「音が小さくなった」に感じてしまい所謂「音抜けの悪い音」と表現されます。
紙やすりを使った弦の錆びを落とす方法
弦にできた錆びの恐ろしさについて確認した後は錆びを落とす方法についてです。
今回使用したのは100円ショップで売られていたサンドペーパー。
目の粗さが粗目、中目、細めと3種類ありましたが今回は#400を使用しました。
#300~#600を目安に使用すると特に問題なく弦の錆を落とすことができます。
ギターの弦を緩めてからサンドペーパーで弦をこすっていきます。
やりすぎかな?と思うぐらい強めにこすってみましたが特に問題ありませんでした。
ただフレットを削らないようにギターの弦だけをピンポイントにこすってくださいね。
弦のサビを落とした後の音の変化
私が所有するストラトとSGの2種類のギターの弦の錆びを落としました。
実際にオーディオインターフェース「UR22」から録音した音を紹介します。
ノンコンプレッサー、ノンEQのギター本来の音です。
ストラトの場合
シングルコイルの歯切れがよい明るい音が特徴のストラト。
弦が錆びた状態と錆を取った後をチェックします。
錆びた状態
音声プレーヤー音の跡触りが何となくですがざらついているイメージがしますよね。
大音量の歪み系サウンドではたいして気にならないでしょうが、クリーン系の音を鳴らすときに少しでも綺麗なサウンドに近づけたいですよね。
錆び取り後
音声プレーヤー僅かにですが音の艶感が増したような気がしますね。
画像でみると弦の光り方も錆をとった後の方が綺麗に見えます。
錆びた状態で放置するよりかは多少でも音がよくなるように錆びを落とした方がいいですね。
SGの場合
ストラトに比べて力強く温かい音がするSG。
深い歪み系サウンドを鳴らすときにはこのSGを使うので煌びやかなサウンドに近づけるためにも錆はとっておきたいものです。
弦が錆びた状態と錆をとった状態をチェックします。
錆びた状態
音声プレーヤー柔らかいサウンドですが弦の鳴る感じがほんの少しだけ悪い気がしますね。
もはや誤差程度かもしれませんが錆をとった後と聞き比べてみてください。
錆び取り後
音声プレーヤーコードを鳴らした時のざらつき感が無くなってよりスムーズな響きになった気がします。
細部までこだわることでよい音は作られるので気になる人はぜひ試してみてください。
弦のサビを防ぐ方法
ギターの弦は消耗品なのでいつか必ず切れてしまいます。
しかしできるだけ長持ちさせて経済的にお得になりたいですよね。
日常的に弦を長持ちさせるために行うべき行動を紹介します。
演奏前にはしっかりと手を洗う
恐ろしいほどシンプルなことですが、効果は絶大です。
弦が錆びる原因の項で紹介しましたが、手汗に含まれる塩分や油分をしっかりと石鹸で洗い流すことによって弦が錆びてしまう原因を防ぐことができるからです。
自分の手が綺麗だと思う人でもスマートフォンの画面を触った跡はついていることが多いですし、何か物事するときに必ずと言っていいほど手は使われます。
液晶画面についた指先の油分をギターの弦に塗りたくっていると考えると石鹸で手を洗う必要性が分かりますね。
近くに水道などがなく手が洗えない場合はウェットティッシュなどを使用して清潔な手でギターを演奏することを心がけましょう。
演奏した後はクロスでしっかりと拭く
意外と忘れがちな演奏した後にギターの弦をクロスで拭くことも錆びを防ぐうえで大きな効果を発揮します。
ギタークロスを弦に挟んで演奏でついた汚れを拭きます。
このときにギターのボディを拭いたクロスとは別に弦のようのクロスを用意するといいですね。
ボディ用のクロスでギターの弦を拭くとボディを拭いた時についた汚れが弦に付着するので綺麗にしているか汚くしているか分からなくなってしまいます。
ギターをケースにしまって保管する
一日のギターの練習が終わったら必ずハードケースやソフトケースに入れてギターを保管しましょう。
ギターのケースは温度や湿度の変化やエアコンの風、湯気などの様々な要因からギターと弦を守ってくれます。
ほんの少し面倒くさいですがギタースタンドよりもギターケースにしまうことを絶対におすすめします。
結論
ギターの弦が錆びる前、錆びた後に気にすることは以下の通りです。
- 手の汚れでギターの弦は錆びてしまうので演奏前には手を洗う
- 演奏後にはクロスでしっかりと弦の汚れを無くす
- ハードケースやソフトケースに保存して錆から弦を守る
- 弦が錆びた状態でギターを弾き続けると悪影響がある
- 弦が錆びてきたらサンドペーパーで錆を落とすと僅かに音がよくなる
今回一番実験したかったことは、サンドペーパーでギターの弦の錆びを落とすと音の変化があるか調べることでした。
実際に自分のギターを弦をサンドペーパーでこすってみて黒い錆のようなものが地面に落ちていたので、確かに錆びを落とすことはできていると思います。
ただサウンドを聞いた間奏はほんのわずかに変わった程度。
ギターの日常メンテナスにサンドペーパーで弦をこするを追加しておけば一つの弦を長持ちさせることができそうですね。
格段に音をよくするまではいきませんでしたが、僅かに音がよくなったので気になる方はぜひ試してみてください。