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【フィギュア】

紀平選手は曲が合わなかったかも

2019年3月21日 紙面から

練習リンクをみつめる村上佳菜子

写真

 持っている力を出せた選手と、出し切れなかった選手が分かれた印象の女子SPでした。その中で一番印象に残ったのがザギトワ選手。今季は身長が伸びたり、女性的な成長で苦しんできましたが、死に物狂いで練習してきたのがすごく伝わってきました。

 体の成長をどう乗り切るかが女子選手にとって難しいところ。身長が伸びれば、感覚が狂う上にジャンプの軸が保てなくなる。私自身、大学1年で身長が伸び、とても苦労しました。それにザギトワ選手の場合はロシアの後輩たちの活躍もあって、相当なプレッシャーを感じていたと思います。だからこそ、演技後は感極まった表情をしていましたね。

 一方、力を出し切れなかったのが紀平選手でした。冒頭のトリプルアクセルは四大陸選手権と同様にシングルに。精神的なものなのか、別の理由があるのか。もしかしたら、曲とタイミングが合わないのかもしれません。私にも経験がありますが、フリーでは問題ないのにSPで失敗が続いたソチ五輪シーズンは、全日本選手権の前にSPの曲を変えてうまくいきました。6分間練習を見てもトリプルアクセルは完璧。フリーではいつもの紀平選手を見せてくれると思います。

 他の日本選手は坂本選手が素晴らしかった。全日本女王ならではの精神力を見せてくれました。逆に宮原選手はちょっと緊張していたのかな。ただ、冒頭の連続ジャンプの1つ目の3回転ルッツは着氷でバランスを崩していたのに2つ目をつけたのはさすがでした。2つ目が回転不足の判定でしたが、それをマイナスに取らなくてもいいと思います。

 中1日でのフリー。坂本選手はもちろん、他の2人も勝つ実力があるだけに、まだチャンスはあると感じています。 (プロフィギュアスケーター、ソチ五輪代表)

 

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