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ボンジュール!パリからの健康便り

コラム

10人に1人が季節性のうつ病、光療法が効果的

 フランスの秋は短い。夏も日本に比べて短いが、秋はもっと短くあっという間に冬となってしまう。空はどんよりと曇り、雨も多くなってくる。マロニエの落ち葉がれて滑りやすくなっている。

 フランス人は太陽が大好きなせいか、曇り空が続くと気分までどんよりするようで、10人に1人は季節性のうつ病に陥るという。

 症状は、疲れやすい、意味もなく悲しくなる、考えがネガティブになる。ベッドの中で過ごす時間が増え、活動的でなくなる。また食欲が増進し、なかでも甘い物を欲し体重が超過する。地域によっても異なり、特に北部に多く発症する。また男性よりも女性のほうが発症しやすいという。

 こういった季節性のうつ病は治療できるのだろうか。保険からの還付金はなく、自費となるが、ライトセラピー(光療法)は効果があるらしい。約2週間、1日30分ほど光を浴びる。そうすることによって95%以上の改善がみられるという。もちろん投薬による治療もあるが、やはりライトセラピーの方がより一層効果があるらしい。

 日ごろから太陽が出ている日中にはなるべく外を歩く、ランチはテラスなどで光を浴びながら食べる、などの工夫も効果を上げるという。やはりフランス人が日光浴やカフェテラスでのんびりと過ごすことを好むのは、体が太陽の光を欲しているからなのだろう。

 季節性のうつ病が増えつつある今、屋外でのスポーツや、日頃のウォーキングなど太陽光線を浴びる工夫が必要だ。

 もともとフランスにはうつ病が多いと思っていたが、こうした季節性のうつ病もあるということは、やはりフランス人の「太陽大好き」体質は、自分の体が望むことを自然と分かっている証拠なのかもしれない。フランス人の「太陽好き」は、ただ単に日焼けをして肌を小麦色に焼く事ではなく、うつ病を軽減するためのセラピーでもあったのだ。

 フランスの冬は長く、日照時間も短い。これからはライトセラピーが流行はやるのか、もしくは屋外で活動することで自然の光を浴びる時間を増やす工夫をする人が増えるのか。街を歩けば、寒くてもテラスで熱々のショコラショを飲んだり、お食事したりする姿が目につく。今年もそろそろ、自然の光によるライトセラピーが始まりつつある。

■今週の一句

天使飛ぶ 空の彼方の ハロウィーン

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古田深雪(ふるた みゆき)

1992年渡仏。
1997年より医療通訳として病院勤務。

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1件 のコメント

イギリスでも

セントパンクラス

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