勝利を決定付けたのは、主将のバットだった。1点リードで迎えた終盤8回。2死一、二塁で打席が高橋に回ってきた。目の前でアルモンテが申告敬遠され巡ってきたチャンス。燃えないわけがなかった。
初球ボールで迎えた2球目。吉田一の投じた外寄り144キロ真っすぐを、強くはじき返した。打球は左中間を真っ二つに破り、2人の走者は生還。自らも三塁へと達した。2点適時三塁打に、「ランナーをかえせて良かったです」と満足げに振り返った。
オリックス戦が始まる5時間前。まだ練習が始まっていない時間に、高橋はナゴヤドームのスタンド通路を黙々と走っていた。昨シーズンから「やれることは全てやる」と入念にトレーニングして試合に臨んでいたが、その姿勢は今年になっても変わっていない。むしろ、よりストイックになっているかに見える。
一時は3割以上あったオープン戦の打率も、試合前の時点で2割7分3厘まで下がっていた。それでも「状態は普通です。タイミングさえとれれば大丈夫」とキッパリと言う。不安はない。勝負強い打撃は、今年もきっとチームの力になる。 (島田明)