【大相撲】貴景勝、過去3戦全敗の横綱鶴竜撃破で大関昇進へ前進2019年3月20日 紙面から
◇春場所<10日目>(19日・エディオン アリーナ大阪) 大関昇進を目指す貴景勝(22)=千賀ノ浦=は、鶴竜を破って給金を直した。鶴竜は2敗に後退。白鵬(34)=宮城野=は玉鷲に辛勝して無傷の10連勝。高安は逸ノ城との1敗同士の対戦で敗れた。豪栄道は栃ノ心を上手ひねりで転がして勝ち越し。かど番の栃ノ心は4敗目。1敗は碧山を加えた平幕2人。 前へ前へ、迷いなく攻め切って第一関門を突破した。貴景勝が、過去0勝3敗と歯が立たなかった鶴竜との結びの一番、のど輪で上体を起こされたが、ほとんど下がらない。真っ向から突いて押し、土俵際でバランスを崩した横綱を引き落として5連勝。大歓声と拍手の中、力強く勝ち越しを決めた。 2桁の白星がノルマとされる大関とりの場所。好調ぞろいの2横綱3大関とのヤマ場を最高の形で滑り出したのは、大きなアピールになった。それでも、注目を一身に集める22歳は動じない。 「自分ができることは少ないし、集中して。緊張する必要はない。あまりそういう場所とかは、フォーカスしていない」 1年前の苦い経験と、土俵への純粋な思いが力になっている。昨年の準ご当所は右足を痛め、11日目から初の休場。入院してテレビ観戦する終盤戦に、はがゆさだけが募った。「出場できるだけで、感謝しないといけない」と躍動している。 ちなみに、この日は語呂合わせで「ミュージックの日」。場所前の激励会で、サザンオールスターズの「栄光の男」を熱唱したことを振られると「社会人向けというかリアル感があるけど、悲観する内容じゃないのがいい」と思い入れを語った。長嶋茂雄を題材にしたお気に入りの曲に乗るように、大関という栄光に着実に近付いている。 引き揚げたばかりの支度部屋で、手応えを問われて「考えたくない。終わったことは。明日の相手に向かってやりたい」と、早くも11日目に視線を向けた。2日連続の結びで待ち受ける白鵬との大一番、初場所の初撃破を再現すれば、大関待ったなしだ。 (志村拓)
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