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【社会】

罰則なし 実効性に課題 「親の体罰禁止」衆院提出

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 政府は十九日、親権者のしつけでも体罰を禁止する児童虐待防止法と児童福祉法の改正案を閣議決定し、衆院に提出した。今国会で成立させ、一部を除き来年四月一日の施行を目指す。罰則規定は設けなかった。安倍晋三首相は閣議前に開いた関係閣僚会議で「子どもたちの命を守るのは大人全員の責任。スピード感を持って強力に推進する」と述べた。

 千葉県野田市で一月に小学四年栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡するなど親権者による「しつけ」名目での事件が後を絶たないことから法制化に踏み切った。親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認めている民法の「懲戒権」は改正法施行後二年をめどに検討し、必要な措置を取る。

 立憲民主、国民民主など野党六党派は対案を共同提出し、与党に修正協議を求める方針。与党幹部は「与野党で対立する性格ではない」「虐待根絶の必要性は共通認識だ」としており、国会審議の中で応じる可能性がある。

 法改正案では、親権者だけでなく、児童福祉施設長らによる体罰も禁止。児童相談所の、子どもを保護する「介入」機能も強化する。野田市の事件で、市教育委員会の担当者が「父からの暴力」を訴えた心愛さんのアンケートの回答コピーを父勇一郎容疑者(41)=強要容疑で再逮捕=に渡したことを受け、学校や教委、児童福祉施設の職員に守秘義務を課す。

 緊急閣僚会議では、乳幼児健診未受診者への定期的な安全確認や、児相と警察との連携強化など虐待防止の強化策を決定。野田市の事件を受けて実施された緊急の安全確認で、子どもが一時保護された深刻なケースがあったことも報告された。

 

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